中国共産党の極秘買い占め作戦――世界中のマスクとPPEを祖国へ送れ

中国共産党が在外中国人組織や領事館を通じ、世界中でN95マスクとPPEを買い集めて中国へ送らせたとされる実態を、カナダの調査報道をもとに記録する。極秘に進められた買い占め作戦が、各国の医療物資不足と価格高騰を招いた構図を明らかにする。

2020-06-05
買い占め作戦は極秘だった。
世界が中国のおおがかりな買い占めを知ったら、中国で起きている異常事態がバレてしまうだけでなく、マスクやPPEの価格が暴騰してしまうからだ。
以下は前章の続きである。
「大至急、祖国に送れ!」
中国共産党は、どれほど組織だって買い占めに動いていたのか。
中国福建省からの移住者が多いカナダの例を挙げよう。
カナダの有力メディア、グローバル・ニュースは4月30日、買い占め作戦を暴露する長文の調査報道記事をネットに掲載した。
以下のようだ。
〈カナダの中国領事館が1月半ば、緊急指令を出した。
「武漢で発生した新型コロナウイルスはあまりに危険で、感染力が強い。
そのために、看護師や医師たちは防護用品を使い果たしてしまった。
彼らは医療用のN95マスクや防護服(PPE)を必要としている。
大至急、買い集めて、祖国に送れ」という内容だった。
直ちに、在カナダ中国人を総動員した「買い占め大作戦」が始まった。
司令塔を務めたのは、バンクーバーとトロント、モントリオールの中国領事館である。
彼らは本国の「中央統一戦線工作部(UFWD)」と連携して、中国人コミュニティに「N95マスクとPPEをできる限り、買い集めよ」と指示した。
UFWDは、習近平国家主席に直結している政府の組織だ。
国営新華社通信が3月2日、彼らの奮闘ぶりを伝えている。
「在外中国人はみな戦士だ。
不気味な疫病が突然、やってきた。
だが、最前線の医療スタッフや党員、福建省出身の中国人たちが活躍している。
彼らは日に夜を継いで世界を駆け巡り、祖国に医療用品を送るために我先に、と競っているのだ」
まさに戦時を思わせる書きぶりだった。
指令を受けた責任者の一人は、1月恒例の大宴会が開かれる直前、中国を訪れた。
医療用品が枯渇している実情を見るや否や、トロントに飛んで帰り、部下に命令した。
「PPEを梱包ごと買い漁れ、いますぐだ!」。
同様の作戦はオーストラリアのメルボルンでも、東京でも展開された。
中共は全世界の中国人に、「N95マスクとPPEをバルク(ばら積み)買いして、祖国に送れ」と指示していたのである。
指令が出てから6週間のうちに、中国は世界中から20億枚以上のマスクと25億セットの防護用品を買い集めた。
買い占め作戦は極秘だった。
世界が中国のおおがかりな買い占めを知ったら、中国で起きている異常事態がバレてしまうだけでなく、マスクやPPEの価格が暴騰してしまうからだ。
値上がりを避けるためには、絶対に秘密だった。
それでも、一部の軍事、諜報関係者は策動を掴んでいた。
活動した中国人のなかには、カナダ王立騎馬警察(RCMP)やカナダ安全情報局(CSIS、注・情報機関)が過去に尋問したり、監視対象にしていた要注意人物が含まれていたのである。
感染が世界に広がると、各国はマスクやPPEを争うように探し求めた。
その結果、4月にはPPE価格が1月に比べて、1000%も跳ね上がってしまった〉
この稿続く。

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