消防士のふりをする放火犯――中国共産党のマスク外交と隠蔽された感染拡大
中国共産党が感染拡大を隠しながら世界中でマスクとPPEを買い占め、その後「支援」と称して各国に医療物資を送った実態を論じる。米国・カナダ企業への禁輸、NHKなど日本メディアの沈黙、さらに中国内部文書の流出が示す習近平体制の危機を記録する。
2020-06-06
中国で現地生産している米国の「3M」やカナダの「メデイコム」なども禁輸措置に遭っている。
これを知ったトランプ大統領が激怒したのは、言うまでもない。
以下は前章の続きである。
消防士のふりをする放火犯
日本でも1月以降、あっという間にマスクが街から消えた。
買い占めに加えて、中国が国内で製造したマスクの輸出を禁止したからだ。
中国で現地生産している米国の「3M」やカナダの「メデイコム」なども禁輸措置に遭っている。
これを知ったトランプ大統領が激怒したのは、言うまでもない。
*この事実をNHKの報道部を支配している連中は全く報道しなかった事は全ての視聴者が周知の事実である*
中国は国内の感染が一段落したあと、逆に感染が広がった国にマスクやPPE、新型コロナウイルスの検査キットを寄贈したり、医療チームを派遣したりした。
日本にも、中国の企業や個人、自治体などからマスクが送られてきた。
こうした動きを、日本では「中国の恩返し」と好意的に扱う報道が溢れている。
たしかに、中国で感染爆発が起きたとき、多くの日本企業や自治体、個人が中国に寄贈したので、恩返しの返礼と言えば、言えなくもない。
たとえば、東京都は少なくとも33万着もの防護服を中国に送った、と言われている。
だが、よく考えてほしい。
感染拡大を隠しながら、世界中でマスクやPPEを買い占め、異常な品不足に各国を追いやったのは中国なのだ。
それも、米国土安全保障省によれば「意図的に」である。
米国やカナダの報道で分かったことだが、いまになって日本が、そんな中国からのマスクをありがたく感謝して受け取っているとすれば、あまりにおめでたすぎないか。
中国共産党の恩着せがましいマスク外交を「アメリカ外交政策評議会」の若手研究員、マイケル・ソボリク氏は「消防士のふりをする放火犯」と評した。
まさに言い得て妙だ。
組織的な大作戦によって、あとから仕組まれた消防士がおもむろに登場したのだとすれば「消防士以上の役者」である。
中共は大厄災の裏側で、悪知恵を働かせて壮大なスケールの作戦を展開していた。
まさに「中共、恐るべし」と言うほかない。
中国はいま、いち早く疫病から脱出し、「回復軌道に乗った」と盛んに宣伝している。
だが、はたして本当にそうなのか。
中国共産党の足元を揺るがすような事態が、支配層の最深部で進行している。
極秘のはずの内部情報が相次いで、西側報道機関に漏れているのだ。
いくつか紹介しよう。
AP通信は4月15日、中国共産党のトップ指導者たちが1月14日の時点で「異常な疫病が武漢で拡大している」と知りながら、習近平国家主席は動かず、20日になって初めて声明を出した事実を報じた。
独自に入手した共産党の内部文書を根拠にしている。
驚くべき内部文書の内容
遅れは、この6日間に留まらない。
それに先立つ1月5日から17日までの間に、中国全土で数100人の患者が出ていたにもかかわらず、中国の疾病予防管理センター(CDC)は患者の発生を一人もデータ登録していなかった。
別のメモでは「クラスターのケースは『ヒトからヒトヘの感染もありうる』ことを示している」と記されていた、という。
つまり、共産党指導部は1月5日から習氏の公式声明が出された20まで、実に2週間以上にわたって、感染の実態をほとんど正確に掴んでいなかったのである。
1月中旬には、何が起きていたのか。
新型肺炎の感染状況を精力的に報じていた中国メディア、財新は1月15日、武漢病院で「放射線科医が50例の新規症例を発見した」と報じている(英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」報告書)。
財新は、政府に反抗的なメディアとして有名だ。
つまり、メディアを通じて感染情報は国内に流れていたのに、党指導部と官僚組織は実態を把握していなかった、という話になる。
これ自体、驚くが、私はそんなお粗末な事実が「内部文書の流出によって暴露された」という点に注目する。
もう一つ、挙げよう。
こちらのほうがもっと重要だ。
ロイター通信は5月4日、中国のシンクタンクが「新型コロナウイルスの感染爆発によって、中国は米国と軍事衝突しかねないほどの深刻な敵意に直面している」と警告している、と報じた。
これも内部文書を基にした報道だった。
この報告書を書いたのは、中国現代国際関係研究院(CICIR)という組織である。
ただのシンクタンクではない。
中国の情報機関と安全保障政策の全体を束ねる「国家安全保障省」の外郭団体だ。
1980年までは同省のなかに置かれていた。
いわば、党直轄の「陰の政策立案機関」と言ってもいい。
ロイターは記事を書くにあたって、国家安全保障省にコメントを求めたが、外部の取材対応に当たる部署がなかった、という。
組織の閉鎖性がうかがえる。
報告書は4月はじめ、国家安全保障省を通じて、習近平国家主席を含むトップ指導者たちに提出された。
内容は以下のとおりだ。
・「新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界に広がった反中国感情は、1989年の天安門事件以来の盛り上がりを見せている」
・「その結果、中国は感染が収束したあと、米国に主導される反中国感情の大波に直面し、米国との軍事衝突を含めた最悪のシナリオに備える必要がある」
・「米国は中国の躍進を『西側民主主義国にとって経済的、かつ安全保障上の脅威』とみなし、米国は中国国民の党に対する信頼を失わせることによって、中国共産党による国家支配の崩壊を狙っている」
・「新型コロナウイルスの感染拡大で高まった反中国感情は、中国の『一帯一路』構想に対する反発を強める。そこで、米国が同盟国への金融、軍事的支援を強化すれば、アジアの安全保障環境は一層、流動化する」
この稿続く。