中国に民主主義は根づくのか――能力主義官僚制、辛亥革命、共産主義という宗教

月刊誌WiLL掲載の高山正之氏と小川榮太郎氏の対談を引き、中国の特異性、民主主義が実現しない歴史、科挙制度、辛亥革命後の総選挙、そして共産主義が中国を束ねた構造を論じる。

2020-06-08
中国の特異性というのは、人類全体にとっても大きなテーマになるのではないでしょうか……一方、最後まで民主主義が実現しない国でもあると。
これは非常に興味深い。
私が言及している月刊誌は日本人のみならず世界中の人たちが必読である。
何しろ本稿の様な本物の記事が満載されているにもかかわらず、たったの950円なのだから。
以下は、武漢ウイルス戦犯国 中国をテロ国家に指定しろ、と題して月刊誌WiLL今月号に掲載されている、高山正之と小川榮太郎の対談特集の続きである。
高山正之は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである。
小川榮太郎は朝日新聞を至極当然に批判した著作に対して、あろうことか、言論機関である朝日新聞から多額の損害賠償請求訴訟、即ち嫌がらせ裁判を受けて、大きな経済的損失を受けながら、全くひるむことなく論文を書き続けている。
大阪大学文学部卒業者の中では誉の一人である。
中国の民主主義。
小川
中国の特異性というのは、人類全体にとっても大きなテーマになるのではないでしょうか。
政治学者フランシス・フクヤマは、血縁関係に依拠した世襲統治ではなく、能力主義的な官僚制を世界で初めて実現したのは、2000年前の中国だったとしている。
一方、最後まで民主主義が実現しない国でもあると。
これは非常に興味深い。
高山
満洲族の清王朝は日清戦争に負けて、ずっとやってきた科挙の制度がマズかったと気づいた。
満洲族だからそんな伝統はどうでもいい。
すぐに日本に学べと留学生を送り出し、留学の実績を科挙合格と同等に扱った。
さらに科挙も廃止してしまった。
それを実行したのは漢民族には評判の悪い西太后。
日本留学組を通して文明を知った漢民族は、民主主義と慈悲を学んだ。
実は辛亥革命のあと、彼らは総選挙もやったんだ。
4億の民のうち、21歳以上の男子で小学校を卒業した納税者に投票権を与えた。
投票した有権者数は4300万人。
議会制民主主義の第一歩が示されたが、2回目の選挙はなかった。
孫文が広東に拠り、北洋軍閥も3派に分かれ、互いに殺し合いを始めたんだ。
日本人が教えた道理や慈悲、民主主義は、たった2年で消えてなくなった。
漢民族は、進歩というか自己改善というものに馴染まないのかもしれない。
小川
それ以来、中国本土で民主主義は実現することなく、いまだに独裁統治ですからね。
高山
中国人というのは、アラブ人に似ているところがある。
もともとアラブ人は部族社会で、まとまった統一行動もできなかった。
ばらばらだから簡単にペルシャ辺りにやられてきた。
そこに預言者ムハンマドが登場し、部族を超えたイスラムの結束が生まれた。
途端に、それまで10世紀以上も中東を支配してきたペルシャすら破ってしまった。
ところがイスラム圏が広がり過ぎて集団としてのアイデンティティを失い、結局また部族に戻って弱くなった。
中国も同じで、各民族がバラバラだから、一緒に力を合わせて戦うことができない。
そこに共産主義というイスラムに匹敵する「宗教」が出てきて人民をまとめた。
でも、アリババとかここまで富裕層が増えると、共産主義という「宗教」の正統性が揺らいでくる。
アラブと同じ轍を踏むんじゃないかな。
この稿続く。

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