米国の眼で日本を裁く――連合国史観に従った戦後マス・メディア
1945年秋、日本のマス・メディアは、占領軍によって強制された連合国本位の歴史解釈に従った。日本帝国をナチス・ドイツと同一視した米国中心の占領政策と、その歴史認識を自らの思想であるかのように語り、今日まで奉じ続ける戦後言論界の心理と構造を、平川祐弘氏の論文から紹介する。
2020-06-20
1945年秋、勝者である連合国本位の歴史解釈の宣伝普及を強制されるや、日本のマス・メディアはそれに従った。
以下は前章の続きである。
米国の眼で日本を裁く
ヨーロッパでは、ニュルンベルクでナチス・ドイツの指導者が処罰されつつあった。
極東の東京・市ヶ谷では、日本帝国の指導者も処罰されねばならない。
それが、日本帝国をアジアにおけるナチス・ドイツの等価物として、アナロジカルに把握した、米国を中心とする連合国側の占領政策であった。
1945年秋、勝者である連合国本位の歴史解釈の宣伝普及を強制されるや、日本のマス・メディアはそれに従った。
中には、その見方に積極的に与し、その歴史認識を、あたかも自分自身の内から発したかのように語り出す関係者もいた。
その勢力が声高であったこともあり、その権威を奉じて今日に及んでいる人も、いないわけではない。
その間の心理を説明して、ある心理学者は、こんなたとえを用いた。
米軍の思いのままにされた日本の報道機関が、相手の権威に服した様は、強姦された女性が、無理強いされたとは言わず、そうではなく、自分も同意したのだ、あれは和姦だったと言って、自分自身を納得させ、訴え出ることもせず、世間体を繕った様に似ていた。
露骨に過ぎるたとえで恐縮だが、一面の心理というか、真理を突いていると思う。
この稿、続く。