将来のノーベル物理学賞候補・張首晟教授の「飛び降り自殺」と中国「千人計画」の深い闇
将来のノーベル物理学賞候補と目された張首晟教授の突然の死、ピッツバーグ大学の劉兵助教授射殺事件、そして中国の科学技術・軍事力強化を目的とする「千人計画」。米国で相次いだ中国系研究者をめぐる不可解な事件と、中国当局による情報隠蔽の実態を、河添恵子氏と孫尚文氏の対談から読み解く。
2020-06-24
将来のノーベル物理学賞の有力候補だった張教授の飛び降り自殺……張教授は早々に「千人計画」に選ばれた一人で、広告塔の役割も
私は先夜、NHKが山中教授をメインの司会者として放映した、コロナウイルスに関する特別番組を視聴していたのだが、一人だけ気になる発言をした京大の医学者がいた。
彼は、今回の武漢ウイルスについて、自然界で発生したものだと断言していた。
自然界で発生したものか、人工的に制作されたものかは、中国が完全に情報を隠蔽している以上、断定できない状況であるにもかかわらず。
私見だが、他の出演者たちは皆、尊敬に値する表情と発言をなしていたが、この教授だけは異常に固い表情だった。
この発言以降は、ほとんど登場していなかったと思う。
京大には、中国や韓国からの留学生がたくさんいるはずだ。
つまり、京大と中国や韓国の間にはパイプがあるということである。
プロパガンダがすべてであると言っても過言ではない中国が、京大のめぼしい学者に接触を試みないと考える方がおかしいだろう。
以下は、日本国民のみならず世界中の人たちが必読の月刊誌『WiLL』7月号に、「米国で暴かれた『武漢ウイルス』製造“極秘計画”」と題して掲載された、河添恵子VS孫尚文の対談特集からである。
中国共産党最高幹部が秘密裏に企てた、恐るべき計画とは――。
中国人学者が殺された
河添
武漢ウイルスを巡って、米中の“口撃”は激しさを増しています。
そのようななかで、5月初旬に一つ、気になるニュースが飛び込んできましたね。
孫
米ペンシルベニア州ピッツバーグ大学医学部の助教授、劉兵氏、37歳が、自宅で射殺されるという事件が起きました。
劉助教授の体には、致命的な銃創が複数見られたと。
河添
劉助教授は、顔見知りの中国人男性に殺されたようですね。
しかも、容疑者の郭浩は、殺害後に車中で死亡している姿で発見され、自殺を図ったというのが第一報でした。
孫
連続殺人事件の可能性があります。
郭浩が劉助教授を暗殺し、中国政府が別の殺し屋を雇って郭浩を殺害……と。
そうなれば、アメリカ側も調査しにくくなります。
郭浩の自殺は、見せかけではないか。
河添
私も、殺し屋が殺されるというケースかなと。
孫
その可能性は拭い切れません。
国際医学誌『ランセット』に掲載されたピッツバーグ大学医学部の研究論文によれば、劉助教授は、武漢ウイルスに対するワクチン開発を進めていました。
すでに予備的な動物実験で、十分な抗体の合成・生成を確認していて、順調にいけば、数か月後には臨床試験が始まるとみられていた。
河添
ただ、ピッツバーグ大学の公式発表には、劉助教授が中国政府と深く関わっていたか、その確証は得ていないと。
そして、その直後から出たのは、殺人は「三角関係のもつれ」によるものだとの情報でした。
孫
中国メディアは、不倫の末の情死であるとして、劉助教授を批判しています。
不倫相手との間に子供もいるそうですが、不可解なのは、二人のやり取りが世間に暴露され、中国メディアがそれを報じたことです。
劉助教授への人身攻撃の様相を呈しています。
河添
殺された方、被害者を叩くのは、中国と日本社会の大きな違いかも。
しかも、本当か嘘かも分からない(笑)。
ただ、時期が時期だけに、劉助教授が「武漢ウイルス関連のプロジェクト」で、中国政府や軍の手足として動いていた学者だったかどうかが気になりました。
「千人計画」の一人に入っていたかどうかも。
「千人計画」は「刑務所計画」
孫
「千人計画」とは、学者や研究者、技術者などの身分で欧米諸国に在籍する中国人の中から、理系のハイレベルな人材をリクルートするプログラムです。
中国の科学技術の発展と軍拡に貢献してもらう意図があります。
河添
平たく言えば、「産業スパイ」の募集ということですね。
FBIは、5年ほど前から「千人計画」に選ばれた理系の人材を調査対象にしていました。
米国防総省も、2018年6月に開催された米下院軍事委員会の公聴会で、「千人計画の目的は、アメリカの知的財産を獲得することにある」と警告しました。
そのため、「千人計画は刑務所計画だ」と揶揄する声が、徐々に反共産党系メディアから噴出(笑)。
今年1月には、ハーバード大学の化学・化学生物学部長で、半導体ナノワイヤー・エレクトロニクスの世界的権威とされる、チャールズ・リーバー教授が逮捕されました。
彼は、「千人計画」の中でも、外国人を対象とした「外専計画」に選ばれた人物でした。
リーバー・リサーチ・グループの筆頭研究者で、アメリカ国立衛生研究所、NIHや国防総省からも、計1500万ドルを超す助成金を得ていました。
国家の重要機関から助成金を得ている場合は、外国の政府や組織からの経済的援助を含め、すべてが利害関係につながるため、申告しなければなりません。
ところが、リーバー教授は、その申告を怠ったというのが、表向きの逮捕理由です。
武漢理工大学の科学者としても、リーバー教授は、中国当局から多額の報酬を得てきました。
米中の大学を拠点に同じ研究を行い、ダブルインカムを得るなど夢のような話ですが、“ダブルスパイ”ということかと。
孫
中国当局はアメリカ当局の動きを牽制して、中国の検索サイトで「千人計画」と打ち込んでも、まったく出てこないようにしました。
情報を隠蔽したのです。
河添
かつては、「千人計画」に選ばれた人物のリストが、サイトに掲載されていました。
ところが、2018年12月1日、スタンフォード大学の物理学終身名誉教授で、「千人計画」に選ばれていた張首晟氏が、「飛び降り自殺」した。
孫
張教授の死は、ファーウェイのナンバー2、孟晩舟CFOが逮捕されたのと同じ日でしたね。
河添
それから間もなく、「千人計画」のサイトから、まずリストが消えました。
さらに今は、「百度、Baidu」で、その文言すら検索できなくなったということですね。
将来のノーベル物理学賞の有力候補だった張教授の飛び降り自殺についても、いろいろ思うところがありましたが、分かっているのは、張教授は早々に「千人計画」に選ばれた一人で、広告塔の役割も担っていたということです。
彼に比べると、劉兵助教授と中国当局との関係については、情報不足です。
ただ、シンガポール国立大学で博士号を取得し、ペンシルベニア州のカーネギーメロン大学で、著名なコンピューター科学者、エドモンド・M・クラーク博士の下で研究を続け、その後、全米で1、2位を争う名門医学部の助教授になった劉兵氏を、中国当局は人材とみなしていたでしょうね。
ふと、ワクチン開発に関して、何らかの利権争いに巻き込まれたのではないか、と思ったりしました。
この稿続く。