『わが敵「習近平」』――楊逸氏が中国共産党政権の崩壊を訴える理由

中国出身者として初めて芥川賞を受賞した作家・楊逸氏は、天安門事件、劉暁波氏への弾圧、文化大革命に翻弄された家族の歴史を経て、中国共産党政権への沈黙を破った。
著書『わが敵「習近平」』で示した新型コロナウイルスをめぐる見解と、「世界の平和のためには中国共産党政権を崩壊させるしかない」とする主張を紹介する。

2020-06-28
『わが敵「習近平」』――楊逸氏が中国共産党政権の崩壊を訴える理由
以下は、2月26日の産経抄からである。
「こんにちは」。
22歳で中国から来日した時、聞き取れた唯一の日本語だった。
それから21年後の平成20年、楊逸さんは芥川賞を受賞する。
中国人として、いや、日本語を母語としない作家として初めての受賞とあって、大きな話題となった。
受賞作の『時が滲む朝』は、天安門事件を題材にしている。
民主化運動に身を投じた、楊さんと同世代の若者の夢と挫折を描いたものだ。
「『学生が正しい』とか『政府が正しい』なんて、単純に結論を出せるものではない」。
当時の小紙のインタビューでは、政治に距離を置く発言だった。
中国政府に対する批判を控えていた楊さんが、ついに沈黙を破る。
きっかけは、作家の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞だった。
天安門事件の際、学生側に立って闘った民主活動家でもある。
中国政府は、当時獄中にあった劉氏の授賞式への出席を認めなかった。
作家として、「表現の自由」の問題は看過できなかった。
楊さんの一家は、文化大革命で辺鄙な農村に下放されている。
月刊文藝春秋で、そんな政治に翻弄された一家の歴史をつづりながら訴えた。
一刻も早く、ものが言える祖国になってほしい。
楊さんの新著の広告が、昨日の小紙に出ていた。
『わが敵「習近平」』(飛鳥新社)。
なんとも大胆なタイトルを付けたものだ。
内容は、それ以上に過激である。
楊さんは、さまざまな情報を分析して、武漢で発生した新型コロナウイルスが生物兵器だと考えている。
すでに日本に帰化している楊さんは、かつての祖国に引導を渡す。
世界の平和のためには、「中国共産党政権を崩壊させるしかない」。
長所も短所も知り尽くした日本人には、こう問いかける。
そんな中国に経済で依存しない構造改革を推進できるのか、と。

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