「国会を止めるな」の裏で組まれた閉会日の宴――安住淳氏の言行不一致と野党・報道の二重基準
新型コロナウイルス禍の2020年6月、国会の大幅な会期延長を訴え、「国会を止めるな」運動を展開した立憲民主党の安住淳氏が、閉会日の打ち上げを事前に準備していたと月刊誌『WiLL』は報じた。
黒川弘務氏の賭け麻雀を厳しく批判する一方、安住氏自身については賭けゴルフなどをめぐる関係者証言も掲載された。
政治家の言行不一致、野党と報道機関の二重基準を記録する。
2020-07-10
「国会を止めるな」の裏で組まれた閉会日の宴――安住淳氏の言行不一致と野党・報道の二重基準
以下は、「安住閣下の舌は何枚?」と題して月刊誌『WiLL』に掲載された、ジャーナリスト氷川貴之氏の論文からである。
新型コロナウイルス禍によって最も大きな被害を受けた業種の一つが、観光産業である。
歴代政権の中でも最もまともな政権の一つであり、本当によく仕事をしていた当時の政府が、観光産業を早期に立て直そうとしたことは当然だった。
それに対して野党が繰り返した批判は、結果として観光産業の関係者を、さらに深刻な苦境へ追いやっただけではなかったか。
慧眼の士は皆、漠然と同じことを感じていたはずである。
私は当時、NHKの報道部門に強い影響力を持つ人物の一人が大越健介氏であると見ていた。
大越氏と立憲民主党の安住淳氏はNHK入局時期が近く、「ニュースウオッチ9」の司会を務めていた有馬嘉男氏も、その数年後に入局している。
私は、こうした人的な近さとNHKの報道姿勢との関係についても、疑問を呈してきた。
何の疑問も持たずにNHKの「ニュースウオッチ9」を視聴していた人々の中には、政府が事業を丸投げし、電通が巨額の中間利益を得ていたかのような印象を持った人も少なくなかったはずである。
しかし、ジャーナリストとして検証すべき事実を追い続けていた氷川貴之氏の論文を読めば、野党政治家の発言をほとんど無批判に伝える報道の危険性が分かる。
安住淳氏と石垣のりこ氏が、私の故郷である宮城県を代表する国会議員であることについて、私はこれまでも強い失望を表明してきた。
政治家を選ぶ有権者にも、その政治家の言葉と行動を検証する責任がある。
以下に掲載するのは、国会の大幅な会期延長を訴えていた安住氏が、その一方で、閉会日の打ち上げを事前に企画していたとする氷川氏の報告である。
さらに氷川氏は、黒川弘務元東京高検検事長の賭け麻雀を厳しく批判した安住氏について、立憲民主党関係者による別の証言も紹介している。
これらは氷川氏の記事および同記事に登場する関係者の証言として記録するものである。
会期延長を求める裏で、ちゃっかり閉会日に打ち上げ飲み会の予定を入れていた「ちびっ子ギャング」
安住閣下の大ウソ
6月17日、150日間の会期を終え、通常国会が閉会した。
その夜、東京・赤坂のTBSからほど近いスペイン料理店は、貸し切り営業を行っていた。
店内では、「3密」などお構いなしに、約20人の男女の一団が、和気藹々と生ハムやパエリアに舌鼓を打っていた。
その中心にいたのは、お気に入りの女性党職員からビールを注がれ、ご満悦な「ちびっ子ギャング」こと、立憲民主党国会対策委員長の安住淳氏だった。
赤ら顔の安住氏が、女性職員に囲まれておどけた。
「今日は密になっちゃうな」
この日開かれていたのは、立憲民主党などの共同会派の国会対策委員会役員や職員による打ち上げパーティーだった。
記事によれば、安住氏がどうしても開催したいと希望し、実現した会だった。
しかし、参加した立憲民主党のある議員は、眉をひそめたという。
「安住委員長は、国会の会期延長を求めるキャンペーンをやっていた一方で、1週間も前から、閉会日に打ち上げの予定をしていたんだよ。実際は会期を延長する気なんて、さらさらなかったんだろうね」
この9日前、安住氏は国会で記者団に対し、次のように熱弁を振るっていた。
「新型コロナウイルス感染の第2波、第3波が来たときに、本会議や委員会を開けないで国民は納得するのか」
そして与党に対して国会の大幅な会期延長を求めるとともに、Twitter上でハッシュタグを付けて賛同の投稿を促す「国会を止めるな運動」を展開する考えを明らかにした。
しかし、その裏側で、安住氏は党職員に指示し、内輪の打ち上げパーティーを企画させ、スペイン料理店を予約させていたと記事は報じている。
党職員は議員らに対して、次のように伝えて回ったという。
「打ち上げがあることは内密にしてください。案内の紙も作りません」
安住氏の呼びかけを真に受け、「#国会を止めるな」と投稿した人々は約3万人に達したとされる。
それにもかかわらず、安住氏本人が閉会を前提として打ち上げを準備していたのだとすれば、その言動に国民は納得するだろうか。
安住氏の振る舞いについて、氷川氏が疑問を呈したのは、これだけではない。
東京高検の黒川弘務元検事長による賭け麻雀が報じられた際、安住氏は次のように批判した。
「高検検事長という職責を果たすことは、これ以上無理だ。組織のリーダーとして失格。直ちに辞任すべきだ」
さらに、安住氏は安倍総理の責任についても、次のように厳しく追及した。
「賭け麻雀をやるような人の定年を延長したとすれば、『余人をもって代えがたい』というのは、どういう理由なのか」
しかし、この発言を聞いた別の立憲民主党議員は、記事の中で次のように証言したとされる。
「安住は賭けゴルフの常習犯だよ。麻雀だって大好き。よく自分のことを棚に上げて、他人をあそこまで非難できるよ」
これは匿名の関係者による証言であり、それだけで事実が確定するものではない。
しかし、公人である政治家が他人に極めて厳しい道徳的基準を突きつけるのであれば、自分自身にも同じ基準を適用し、疑問に答える責任がある。
記事はさらに、安住氏が、外出自粛を求められていた緊急事態宣言下においても、女性党職員を誘って飲食店へ出かける姿が目撃されていたと報じている。
国民には外出と会食の自粛を求める。
国会では会期延長を叫び、「国会を止めるな」と国民に呼びかける。
一方では、閉会日を前提とした打ち上げを事前に準備し、「今日は密になっちゃうな」と語る。
他人の賭け麻雀については、組織のリーダーとして失格だと激しく非難する。
その一方で、自身の賭け事をめぐる関係者証言には、十分に答えない。
政治家の言葉がこれほど軽くなれば、国民が政治を信用できなくなるのは当然である。
問題は、一度の宴会や、一人の野党議員の言動だけではない。
野党政治家の批判を大きく伝えながら、その政治家自身の言行不一致については十分に検証しない報道機関の姿勢である。
政府を批判することは、報道機関にとって重要な役割である。
しかし、野党の発言を無条件に正義として扱い、与党にだけ厳しい基準を適用するのであれば、それは権力の監視ではない。
特定の政党を支援する政治活動に近づいていく。
国民に必要なのは、政党によって事実を選別する報道ではない。
与党にも野党にも、同じ基準を適用する報道である。
「国会を止めるな」と国民に訴えていた政治家が、本当に国会の延長を望んでいたのか。
他人の賭け事を激しく非難した政治家が、自分自身にも同じ倫理基準を課していたのか。
氷川貴之氏の論文が明らかにしたのは、安住淳氏個人の問題だけではない。
大義名分を掲げながら、その裏側では全く異なる行動を取る野党政治家と、その矛盾を厳しく追及しようとしない主要メディアの二重基準なのである。
この稿続く。