習近平体制下で萎縮する中国の言論空間――許章潤教授の拘束と改革派知識人の警告
習近平国家主席への個人崇拝と言論統制を批判してきた清華大学法学部の許章潤教授が、中国当局に拘束された後、釈放された。
改革派学者は「言論の自由が認められなければファシズム国家だ」と警告し、一字一句が犯罪の証拠とされ得るため文章を書けなくなった中国知識人の現状を語った。
2020-07-20
本稿は、2020年7月20日に発信した章である。
当時の産経新聞に掲載された、西見由章記者による北京発の記事を紹介した。
清華大学法学部の許章潤教授は、習近平国家主席への個人崇拝、言論統制の強化、習近平指導部の強権政治を公然と批判してきた中国の知識人である。
許章潤教授は2020年7月6日、中国当局によって「買春容疑」で拘束され、行政罰としての拘留を受けた後、同月12日に北京の自宅へ戻った。
記事に登場する改革派学者は、拘束の実質的な理由を、許章潤教授の言論が既存の政治秩序に与えた衝撃にあると分析した。
そして、中国では共産党と政権の維持が最優先され、民族、庶民、個人の利益は二の次に置かれていると批判した。
同教授は、自らも大学当局から年に一、二度警告を受け、一字一句が「犯罪の証拠」とされ得るため、文章を書かなくなったと証言した。
さらに、20年前には週に二度ほど開かれていた社会問題を語り合う民間研究会が、当局の圧力によって完全に姿を消したと述べた。
これは、一人の教授の拘束にとどまらない。
中国共産党の統治下で、学問、言論、民間の議論の空間そのものが、いかに萎縮させられているかを伝える記事である。
以下に、2020年7月20日に発信した日本語原文を、一字一句変更せずに再掲載する。
日本語原文
2020-07-20
20年前には週に2回ほど、社会問題などを話し合う民間の研究会に出ていたものだが、現在は全く開かれなくなった」と当局の圧迫による言論空間の萎縮を嘆いた
以下は、習指導部批判の教授釈放、拘束は警告か、改革派反発、と題して、先日の産経新聞に掲載された記事からである。
【北京=西見由章】
今月6日に中国当局が拘束していた清華大法学部の許章潤教授が12日釈放され、北京の自宅に戻ったことが分かった。
関係者が明らかにした。
許氏は習近平国家主席への個人崇拝や言論統制強化に反対し、習指導部の強権政治を批判する急先鋒に立ってきた知識人で、拘束は“警告”とみられる。
北京の改革派学者は「言論の自由が認められなければファシズム国家だ」と危機感を強めている。
関係者によると、四川省の公安当局は6日、北京の自宅にいた許氏を「買春容疑」で拘束。
行政罰の拘留の後、許氏は12日午前に自宅に戻ったという。
北京の大学で社会・経済を研究する50代の男性教授は許氏の釈放前に産経新聞の取材に応じ、「許氏の言論が現有秩序に与えた衝撃」が拘束の理由だと分析。
「共産党と政権を守ることが最優先であり、民族や庶民、個人の利益は二の次だ」と当局を批判した。
許氏は2月、新型コロナウイルス感染症への習指導部の対応をネット上で批判。
6月末には米国で著書を出版したばかりだった。
先の教授は「いずれも許氏の研究の範囲内だ。言論や学問の自由を認めず、犯罪行為とするならファシズムだ」と指摘。
教授自身も「年に1、2度は大学当局に警告」されており「一字一句が『犯罪の証拠』とされ得るので、何も文章を書かなくなった」という。
さらに「20年前には週に2回ほど、社会問題などを話し合う民間の研究会に出ていたものだが、現在は全く開かれなくなった」と当局の圧迫による言論空間の萎縮を嘆いた。