被取材者が「騙された」――NHK台湾報道が切り捨てた柯徳三の証言

2017-6-19
以下は前章の続きである。
被取材者が「騙された」
多くの視聴者がこの番組を「何かおかしい」と思った理由の一つには、被取材者の一人に柯徳三氏がおられることでしょう。
八十七歳になる柯氏は番組内で様々な証言をされていますが、それは「日本統治への憎しみ」でした。
「(旧制台北第一中学校の)クラスメイト五十人の内、台湾人は二人だけ。同化政策の実態は、台湾人には制限つきの厳しいものだった」
「小さいころは日本人になりたい、どうして台湾人に生まれたのかと考えた」
「喋るのも日本語。台湾語でこういう演説はできない」
「頭のコンピュータはすでに日本化されてしまっているから、あの二十数年間の教育は実に恐ろしい。頭が全部ブレーンウォツシュ(洗脳)されているからね。だから日本式に物を考えたり、日本語を喋ったりする」
このように柯氏の日本に対する怨み言は続きましたが、実は柯氏は日本で『母国は日本、祖国は台湾』(桜の花出版)という著書を出版されています。
その中で柯氏は次のように書かれているのです。
「大東亜戦争で、日本人が悪いことをした、悪いことをしたと、一生懸命、何十年も経っても謝っていますが、日本が戦争に突入していかざるを得なかった当時の状況を、日本人はきちんと学ぶ必要があるのです」
このように考えておられる親日台湾の代表のような柯氏が、なぜ怨み言を並べ立てたかということに疑問を持った人は多かったようです。
ブログ『台湾は日本の生命線!』(http//mamoretaiwan.blog100.fc2.com)を書かれている永山英樹氏(台湾研究フォーラム会長、日本李登輝友の会理事)も同様で、すぐさま国際電話をかけて柯氏に取材をされました。
その永山氏の取材に対して柯氏が答えた内容は以下のようなものです。
「私は日本による五十年間の台湾統治はプラス面が五〇%でマイナス面が五〇%と考える。NHKの取材を受け、インフラや教育のよさを語ったのだが、番組は全然取り上げなかった」
「日本による差別待遇など、欠点への恨み事ばかりを取り上げ、あたかも台湾人が朝鮮人と同じく排日だとの印象を植え付けようとしているらしいが、これは心外だ」
「怨み言は、あのころの日本政府に対するものではない。私たちを健やかに育ててくれた日本政府には感謝している」
「(怨み言は)『日本に捨てられた台湾人の怨み言』であると解釈してほしい。黙って国民政府(蒋介石政府)に引き渡したときの怨みだ」
「国民政府は日本政府の倍悪かった。(四七年の)二・二八事件では台湾人のエリートが犠牲になったが、そのことをたくさん話したのに、まったく取り上げていない」
「同窓会では怨み言がたくさん出たが、あれはみんなが押さえつけられていた感情をさらけ出したものだった。しかし私たちは日本に対し、一定の評価をしている」
「私は親日でも反日でもない。私にとって日本は養母なのだ。中国から切り離され、日本に養子として拾われたのだから。日本人に差別はされたが、私か今日一人前の医者として活躍できるのは(もう引退はしているが)、日本のおかげだ」
「NHKには利用された、騙されたという気もしている。日本に対するネガティブな印象のところだけ取り上げられた」

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