NHK「ニュース7」はなぜ沖縄県知事選の歴史的結果を報道しなかったのか――公共放送の「報道しない自由」を問う

「NHKは13日夜には当確を報道している。しかし私が問題にしているのはそこではない。翌14日19時の『ニュース7』で、この歴史的な選挙結果を扱わなかったことである」

今日は新聞休刊日で朝刊がなかったため、私は珍しくNHKの夜7時のニュースを見た。
理由は言うまでもない。
昨日行われた沖縄県知事選挙で、古謝玄太氏が現職の玉城デニー氏を大差で破り、初当選したからである。
古謝氏の得票は42万票を超え、玉城氏との差は約14万7000票に達した。
これは僅差の勝利などではない。
沖縄県民が明確な意思を示した選挙結果である。
しかも、12年ぶりに沖縄県政の流れを変える結果となった。
辺野古移設、安全保障、南西諸島防衛、沖縄振興、そして今後の日米関係にも関わる、日本の明日にとって極めて重要な選挙だったのである。
ところが、私が今夜7時のNHKニュースを見た限り、この重大な沖縄県知事選挙の結果をNHKはニュース7で報道しなかった。
私は耳を疑った。
NHK自身が、この選挙の告示日に「選挙の結果は国の安全保障政策などに影響を及ぼすことも予想される」と報道していたのである。
それほど重要だと自ら認めていた選挙で、実際に12年ぶりの県政転換が起き、現職知事が大差で敗北した。
それなのに、なぜ、その結果を翌日の夜7時の全国ニュースで伝えないのか。
NHKは国民に説明すべきである。
これは単なるニュース項目の取捨選択という一言で済ませられる問題ではない。
公共放送に「報道する自由」があるなら、同時に、その編集判断が公共放送として妥当だったのかを国民から問われる責任もある。
自分たちにとって都合のいいニュースは大きく扱い、都合の悪いニュースは扱わない。
もし、そのような政治的選別が行われているのであれば、それは報道ではない。
世論を特定方向へ誘導する行為である。
しかも今夜のNHKは、その一方で浜岡原発をめぐる問題を大きく報道していた。
浜岡原発の問題を報道するなと言っているのではない。
重大な問題であれば当然報道すればよい。
私が問うているのは、なぜ浜岡原発について時間を割く一方、日本の安全保障政策にも影響するとNHK自身が位置付けていた沖縄県知事選挙の歴史的な結果を全国ニュースで扱わなかったのか、という一点である。
さらに私が今夜の放送で強烈な違和感を覚えたのは、中部電力について「特異な考え」という趣旨の表現が繰り返されたことである。
報道機関が取材対象をそのような言葉で特徴付けるのであれば、その評価の客観的根拠を明示する責任がある。
何を基準として「特異」と判断したのか。
誰と比較して「特異」なのか。
NHK自身の価値観と異なるから「特異」なのか。
それを説明しなければ、報道機関自身の価値判断をニュースの形で視聴者に押し付けているだけではないか。
そして私はNHKに言いたい。
異なる考えを「特異」と呼ぶ前に、自分たち自身の報道姿勢を検証したらどうなのか。
沖縄県民が選挙によって示した重大な民意を全国ニュースから落とす。
一方で、特定の問題については特定の価値判断を想起させる表現を繰り返す。
これこそ、公共放送として極めて異様な編集ではないのか。
さらに今夜、NHKは高市内閣の支持率を53%とする世論調査を報じた。
私はこの数字にも重大な疑問を持つ。
もちろん、世論調査は調査主体、質問方法、標本抽出、回答率、固定電話と携帯電話の比率、年代構成、回答結果の補正方法などによって数字が変動する。
だからこそNHKに求めたい。
53%という数字だけを大きく報じて終わるのではなく、なぜ他社の調査と大きな差が生じるのかを、国民が検証できる形で明確に説明すべきである。
誰を対象にしたのか。
何人に電話し、何人が回答したのか。
固定電話と携帯電話はそれぞれ何人だったのか。
年代別の回答者構成はどうだったのか。
回答しなかった人はどれほどいたのか。
集計にどのような補正を行ったのか。
質問文は正確にどのようなものだったのか。
公共放送を名乗るのであれば、結果だけではなく、その数字が生まれた過程まで可能な限り透明にすべきである。
私はNHKに思想統制を求めているのではない。
正反対である。
公共放送だからこそ、政治的立場にかかわらず、国民にとって重要な事実を等しく伝えよと言っているのである。
沖縄県知事選挙でどちらの候補を支持したかは、この問題の本質ではない。
古謝玄太氏が勝とうが玉城デニー氏が勝とうが、日本の安全保障に影響する重要選挙である以上、その結果を全国の視聴者に伝える。
それが公共放送として最低限の責務ではないのか。
ましてNHKは、民間放送とは全く異なる立場にある。
国民から受信料を徴収し、公共放送として巨大な組織を維持している。
だからこそ、その報道には民間放送以上の公平性、透明性、説明責任が要求される。
自分たちと異なる考えを「特異」と形容する前に、まず自らに問うべきである。
なぜ沖縄県知事選挙の結果を今夜のニュース7で伝えなかったのか。
誰がその編集判断をしたのか。
どのようなニュース価値の基準によって外したのか。
そして、その判断は、NHK自身が告示日に「国の安全保障政策などに影響を及ぼす」と報道したことと、どう整合するのか。
NHKはこの問いに答えるべきである。
中国、韓国、北朝鮮など外国勢力の政治的主張とNHKの報道内容が重なって見えることについても、疑念を抱く国民がいるのであれば、NHKは「そんな事実はない」と言うだけでは足りない。
政治的独立性を、日々の報道と徹底した透明性によって証明すべきである。
根拠なく外国勢力の支配下にあると断定するつもりはない。
しかし、今日のような編集を続ければ、そうした疑念をNHK自身が招くことになる。
問題は右か左かではない。
報道機関として事実を公平に伝えているのかどうかである。
公共放送とは、国民に何を考えるべきかを教える組織ではない。
国民が自分自身で判断するために必要な事実を、政治的な好き嫌いによって選別することなく提供する組織でなければならない。
今日のニュース7を見て、私は改めて思った。
NHKが問われているのは一つのニュース番組の編集ではない。
公共放送としての存在理由そのものである。
NHKは国民に説明せよ。
なぜ、沖縄県民が投票によって示したこの重大な結果を、今夜のニュース7で報道しなかったのか。

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