司令塔なき復興の道…今朝の朝日新聞5面から。
東日本大震災から3週間経った1日、菅直人首相は記者会見で「復興」への決意を語った。だが、首相官邸内は一枚岩と言えず、政権を支える民主党側とも足並みは乱れがち。今回の決意表明を機に首相は態勢を立て直せるかー。
官邸内…首相・仙谷ラインに溝…会議乱立、主導権争い
「いよいよ復興に向けた準備に入らなければならない」。菅首相がこの日の記者会見で一番訴えたかったのは「復興」への意気込みだ。「すばらしい日本を作るという大きな夢を持った計画を進めていきたい」と強調。エコタウンや福祉都市構想などを披露した。
満を持して語ったかに見える復興のビジョン=会見要旨参照=だが政権内の震災・原発対応の体制の中で本格論議された形跡はない。
被災地の首長が、被害に遭った低地の住宅を高台に移せるよう電話で首相に要望したことが伝わっている程度だ。
地震発生以来、首相は原発事故への対応に追われた。その間、首相官邸では仙谷由人官房副長官が復興に向けて動いていた。
官房長官時代に重用した古川元久、松井孝治両氏ら「チーム仙谷」が集まり、独自の復興案を議論し始めた。
だが、仙谷氏は今回の復興ビジョンづくりの中心になれなかった。なぜか。
副長官就任直後、原発にかかりきりの首相を横目に、仙谷氏は避難所への物資輸送などを陣頭指揮し、各府省幹部が連日仙谷氏を訪ねるように。こんな様子について「放っておくと全部仙谷さんがやってしまうと、首相が危機感を抱いた」 (官邸関係者)。
そんな空気をかぎ取ってか、最近の仙谷氏は「まだまだ復旧段階。復興を言うのは早い」と周囲に語る。
復興の司令塔を誰が担うか、いまだ定まらない首相官邸。1日、首相は有識者らの「復興構想会議」を設置し、自らが主導する意欲を示した。
ある内閣宣房幹部はこう心配する。「官邸は『何とか会議』とかどんどん作っているが、物事が動いていないじゃないか」