高度経済成長真っ只中の東京であなたもまた、平時の1万倍にも上る放射能を浴びていたのである。
週刊新潮4月14日号から。 黒字化は芥川。
ちなみに、ベクレルは放射性物質が1秒間に出す放射線の量。そこに″ミリ”が付くと数値は1000分の1になるので、両者の間には1万倍もの開きがある。つまり、高度経済成長真っ只中の東京であなたもまた、平時の1万倍にも上る放射能を浴びていたのである。
しかも、これらのデータを集めるに当たって、なんら作為はなかったようで。
「放射能の危険性ではなく、大気や潮の流れを調べるために始まった調査で、特殊な物質をトレーサー(追跡子)にし、その動きを追って大気の流れや混ざり具合を調べていたのです。だから、身体への影響については、放射線医学総合研究所に聞いたほうがいいと思います。ただ、心配になって問い合わせて来られる方には″でも、あなたは癌になっていないでしょう″とお答えしています」(同)
…中略。
ところで、気象研究所によるこのデータを見たことがある研究者は、なぜか少ない。大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)も、「そういうものが存在するのは知っていましたが」と、こう続ける。
「改めて聞き、たびたびの核実験で日本に放射性物質が降下していた記憶が蘇りました。私が住んでいる大阪では当時、浄水場の放射線レベルが許容範囲をはるかに超えたことが何度かあったのに、発表されなかった。ずいぶん後で、住民に不安感を与えないように発表を控えたと知らされました。当時、許容範囲を超えた放射線が降る下で暮らしていたのです。でも、今までに際立った被害はなかったと言える。今回の事故は反省すべきですが、放射線を怖れているだけでは、正しい判断はできません」
…以下略