中国は本気で台湾を支配下に置こうとしている。 そうなれば、人民解放軍は、米国が条約で守る義務のある日本列島の一部を直接脅かす存在になる。

以下は今しがたTwitterで発見したウォールストリートジャーナル日本語版の社説である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
米国の最も重要なアジアの同盟国が、中国の軍事的台頭に関する懸念の声を高めている。
日本の麻生太郎副総理は先月、中国による台湾侵攻が日本の「存立」を脅かす恐れがあると警鐘を鳴らした。
今度は岸信夫防衛相が、西太平洋地域における米国の相対的な衰退と、その空白を埋めるために日本が軍事面で存在感を高める必要性があることを率直に認めた。

この発言は、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドとのインタビューの中で行われたものだ。
岸氏は、「米中の力関係の変化が『非常に目立ってきた』一方で、台湾を巡る軍事的争いが『中国に有利な方向に大きく傾いている』と述べた」と同紙は報じた。
さらに、同氏は中国が「力と威圧を後ろ盾に一方的に現状を変えようとしている」とし、「われわれは自衛できる構造を構築しなければならない」と述べた。

日本の政府当局者は通常、公の場での物言いが穏やかだが、中国の甚大な軍備増強は無視できなくなっている。
軍事アナリストのトーマス・シュガート氏が作成した豪シンクタンク、ローウィー研究所の新しいリポートによると、中国は「ほとんどの尺度で世界首位のシーパワー(海洋勢力)」となっており、過去5年に中国が追加した軍艦は80隻であるのに対し、米国は36隻にとどまる。

軍艦のトン数で見た場合、2016年以降の中国の海軍拡張規模は、米国の太平洋艦隊と、外交・安全保障政策の枠組み「クワッド」を構成する米国の同盟国であるインド、日本、オーストラリアの海軍の拡張を合わせた規模を優に上回っているとリポートは指摘している。
米海軍は質的な優位性を維持しているものの、結局は量が質を圧倒する。

防衛を主に米国に依存している日本は、このシーパワーの再編を最前列で目の当たりにしている。
一方、バイデン米政権は防衛予算をインフレ調整後の水準で削減することを提案している。
米上院軍事委員会は先月、250億ドル(約2兆7300億円)の予算を追加したが、議会は3兆5000億ドルの福祉拡充策を準備している。
したがって、米国には第二次世界大戦以来してきたように太平洋の安全保障を引き受ける余裕があるのかと、東京の観測筋が疑うのも無理はない。

岸氏はヘラルド紙に対し、「台湾の防衛上の安定は、日本の安全保障だけでなく、世界の安定にとっても非常に重要だ」と述べ、台湾の防衛を巡って日本の中道右派の間でコンセンサスが形成されつつあることをうかがわせた。

中国は本気で台湾を支配下に置こうとしている。
そうなれば、人民解放軍は、米国が条約で守る義務のある日本列島の一部を直接脅かす存在になる。

中国がアジアの覇権を握るのを回避するためには、日本が存在感を高めることが恐らく不可避であり、必要だろう。
にもかかわらず、米国は軍事バランスの崩壊と中国の野心拡大を放置しており、リスクを冒している。
米国の抑止が失敗し、太平洋で戦争が発生すれば、日本人だけでなく米国人もその代償を払うことになる。

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