日本の発明を潰してきた役所と新聞――精工舎、ヤンマー、八木アンテナ、フェライトから「もんじゅ」へ
2020年1月17日発信。
高山正之の著作から、高速増殖炉「もんじゅ」廃炉問題を、日本の頭脳潰しという視点から論じる。精工舎のクォーツ時計、ヤンマーの小型ディーゼル、八木アンテナ、フェライトなど、日本の独創的発明が役所や軍部、特許庁、外国企業によって理解されず、潰されてきた歴史を批判する。
2020-01-17
世界が諦めたとき、我が精工舎が箪笥をとうとう腕時計の中に入れてしまった。精工舎はその特許をただで世界に公開した。せこいビル・ゲイツとは違った。
以下は下記の高山正之の著作からである。この論説も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
もんじゅ廃炉は日本の頭脳潰しになる
例えば製鉄の歴史を見ると、まずスウェーデンが最初にいい鉄を市場に出したが、英国がコークスを使ったもっと純度の高い鉄を売り出した。
それが刺激となって欧米各国で新しい炉が研究され、平炉や電気炉、熱風吹込み式のベッセマー転炉などが次々登場してきた。
競い合いは発明の母だ。
その点、日本は周りが中国と朝鮮。
そういう前向きの刺激は一切出てこないから結局、独り我が道を行く定めにあった。
だから、今の歩行型ロボットにも匹敵する絡繰り儀右衛門が登場したところで、さてそれをどう兵器化するかとかの発想はなかった。
日本は昔から平和だった。
それでも国際社会で目標が設定されれば日本は強い。
ピエール・キュリーが水晶に通電すると正確な振動をすることを発見する。
それを使えば正確な時計ができる。
世界中の時計屋が腕時計に納まるクォーツの小型化を目指したが、装置は箪笥より小さくならなかった。
箪笥をしょって「正確な腕時計」もない。
世界が諦めたとき、我が精工舎が箪笥をとうとう腕時計の中に入れてしまった。
精工舎はその特許をただで世界に公開した。
せこいビル・ゲイツとは違った。
箪笥の何倍もあるディーゼルの小型化ではヤンマーの山岡孫吉が成功した。
今は世界の車がその恩恵に浴すが、フォルクスワーゲンは山岡の小型エンジンの恩恵に浴した上で排ガス規制逃れのアプリを付けて特色を出している。
ただゴールがあると強い日本も枠を飛び抜けたアイデアの処理に問題があった。
その凄さを周り、とくに役所が理解できなかった。
東北帝大教授八木秀次が超短波無線の指向性アンテナを発明したときもそう。
日英米で特許が下りた。
米国ではすぐ暗夜の飛行機誘導やレーダ上交信などを試して有用性を確認した。
日本では軍部が「自ら電波を発信するなど狂気の沙汰」と実験すら拒否した。
特許局も右に倣って昭和16年、真珠湾攻撃の前に特許更新を拒否した。
翌年2月、シンガポール陥落で鹵(ろ)獲した英国製電探がすべて八木アンテナで機能していることを日本人は初めて知った。
同じころ現TDKの武井武が非金属磁石フェライトを発明して特許を取った。
これを機体に貼ればステルス戦闘機ができる。
しかし戦後、オランダのフィリップス社が戦勝国の立場を使って日本政府にフェライト特許の放棄を要求し、特許庁は愛想よく署名した。
特許庁はモノの理非も判らない。
そのくせ白人は神様と思っている点で朝日新聞によく似ている。
この稿続く。