愚かな議員への提言――「桜を見る会」より尖閣・台湾有事・難民問題をこそ国会で論じよ

2020年2月17日発信。
大阪大学名誉教授・加地伸行氏の産経新聞連載「古典個展」から、「愚かな議員への提言」と題された論考を紹介する。
野党が「桜を見る会」追及に終始する一方で、尖閣諸島周辺に出没する中国船、台湾有事、朝鮮半島からの難民、赤字国債、社会保障費の膨張といった喫緊の国家的課題が国会で十分に議論されていない現状を批判する。

2020-02-17
国民生活に不安を与える、それこそ〈喫緊〉の重要問題をこそ優先して議論すべき…尖閣諸島周辺に出没してやまない中国船に対しての対応問題など議論されていないではないか
大阪大名誉教授加地伸行氏は産経新聞に、古典個展、のタイトルで連載コラムを書いている。
以下は今日、愚かな議員への提言、と題して掲載された論文からである。
現国会の様子は異様である。
政府主催の「桜を見る会」への招待者決定において政府関係者が自己の利益を図り、職権乱用をしたのではないか…等々といったことを、野党は昨秋以来、延々と質問をし続けている。
公の私化―それだけに限って言えば、それは重要な政治問題である。
しかし、政治はそれだけが問題なのではない。
国民生活に不安を与える、それこそ〈喫緊〉の重要問題をこそ優先して議論すべきであろう。
例えば、以前にもこのコラムにおいて述べたが、尖閣諸島周辺に出没してやまない中国船に対しての対応問題など議論されていないではないか。
この件、近く国賓として来日する中国の習近平国家主席に申し入れせよ、と政府に迫る野党質問などないではないか。
また例えば中国と台湾とが、突如、戦闘状態となったとき、当然、米軍は沖縄から出撃して台湾を援助する。
そのとき、日本はどういう立場に立つのか、国会で議論したことが一度でもあったのか。
国家問題は山積。
一朝有事のとき、朝鮮半島から押し寄せてくる何十万人という難民問題。
巨額の赤字国債、社会保障費の絶望的な膨張等々、難問山積。
それに対して少しでも解決への努力をするというのが国会議員の任務ではないのか。
そのような要求に応えられないのならば、せめて「桜を見る会」の前向き改革を提案してはどうか。
すなわち、「桜を見る会」の最大問題点は、招待者の人選基準が明確でない点であるようであるから、それを改める方向に進むことである。
招待の趣旨は国家・社会に寄与した功績とのこと。
それならば、肩書はなくとも、一生懸命に働いて社会に寄与している人は山ほどいるではないか。
例えば、老生がいつも利用している市営バスに定時的に乗り降りしている男性障害者がいる。
両足は義足、しかも補助杖を突いての通勤。
定時に乗降する毎日の勤務は立派である。
また例えば、老生は溜まった古紙・雑誌などを、ある女性に連絡して譲っているが、同女はリヤカーに古紙などを積み、リヤカーにつないだ自転車を漕いで運んでいる。
立派である。
こういう人々をこそ「桜を見る会」に招待すべきであろう。
江戸時代、諸藩において、一生懸命に家族のために働いた人々を顕彰していた。
その事実記録が「△△孝子伝」や「○○孝義録」という書物になって数多く刊行されていた。
明治初期にもあったようである。
現在、そういう公的顕彰がほとんど行われていないのは残念である。
苦労しながら家族のために働いている多くの人々の中から「桜を見る会」に招待して顕彰することは、国や地方公共団体ならば、今すぐにでもできることではないのか。
上策を提案しても、愚かな議員には分かるまい。
『論語』陽貨篇に曰く、ただ上知と下愚とは移らず、と。
(かじ のぶゆき)

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