国益を守るための虚偽、国益を損なうための虚偽――外国ジャーナリズム、日本の報道、ラス・カサスから中国の「大外宣」へ

外国のジャーナリズムは国益のためにウソをつき、日本の報道は国益を損なうためにウソをつく――髙山正之氏と大高未貴氏が、鳩山由紀夫、丹羽宇一郎、ラス・カサス、スペイン帝国、トルデシリャス条約、中国の「大外宣」を通じて、日本特有の謝罪と偽善の構造を論じる。

2020-08-05
背景
本章では、外国のジャーナリズムが自国の国益を守るために虚偽を用いる一方、日本の一部の報道や言論人は、自国の国益を損なう方向に虚偽や謝罪を用いるという、正反対の構造が論じられている。
髙山正之氏と大高未貴氏は、鳩山由紀夫氏や丹羽宇一郎氏に見られる謝罪行動の心理を問い、その源流を、スペインによる中南米征服を告発したドミニコ会宣教師ラス・カサスの行動にまで遡っている。
さらに、ラス・カサスの告発が、後にイギリス、オランダ、フランスなどによる対スペイン宣伝に利用された歴史と、中国が相手国を誹謗中傷し、国威を挫き、それを利益へと転換する「大外宣」との関係を論じている。
以下、原文を掲載する。
国益を損なうためのウソ
髙山 外国のジャーナリズムは、国益のためなら大きなウソをついてもいいと思っている。
ところが、日本の場合は、国益を損なうためにウソをつく(一同爆笑)。
大高 どうしてこうも正反対なんでしょう。
髙山 その心理が分からない。
大高さんが謝罪男の鳩山由紀夫や丹羽宇一郎を取り上げて、その奇異さを報告しているけれど。
大高 罠(わな)に陥って弱味を握られ、謝罪パフォーマンスせざるを得ないのかとも思います。
髙山 それもあるかもしれない。
実は何清漣の言う「宣伝戦」で、相手国をいかに誹謗中傷して貶め、国威を挫き、金にしていく中国流の大外宣を描いているけれど、その大もとは、スペインに行き着く。
スペインが中南米を侵略していくとき、同じくスペイン・ドミニコ派の宣教師、ラス・カサスが自国民の非道残虐ぶりを告発した。
大高 『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)としてまとめられています。
この報告書は1542年頃に執筆され、1552年に刊行されました。
髙山 ラス・カサスとしては自国を貶める意識はなかった。
宣教師としての〝良心〟に従って告発したわけだ。
でも、ラス・カサス自身も現地民を奴隷として酷使している。
自分も同じようなことをしているけれど、自分はちょっと紳士なんだと自己弁護する。
もしかして鳩山由紀夫や丹羽宇一郎の心の中にも、そういう偽善性があるのかもしれない。
大高 タチの悪い偽善ですね。
大航海時代、スペインは大英帝国に先駆けて「太陽の沈まない国」と言われるほど、無敵艦隊を率いて世界各地を征服し、大帝国を築いていました。
髙山 その当時、あらゆる海を制覇したスペインとポルトガルの間では、1494年にトルデシリャス条約が結ばれている。
教皇アレクサンデル6世の承認によって、ヨーロッパ以外の新領土の分割方式を取り決めたものだ。
西アフリカのセネガル沖に浮かぶベルデ岬諸島の西約2000キロの海上において、子午線に沿った線の東側の新領土がポルトガルに、西側がスペインに属することが定められた。
あの時代のG2がそう決めたわけだ。
大高 中国が「第一列島線」「第二列島線」と言い出したのも、その条約の取り決めを真似したのではありませんか(笑)。
髙山 中国は単に思い上がった大国だが、確かにそんな感じがする。
トルデシリャスに戻って、ポルトガルは東インド諸島などを領有したけど、中南米を中心に大部分はスペインが制圧した。
その分割後、イギリスやオランダ、フランスなどが植民地獲得に乗り出したが、そこにスペインが大きな壁として立ちはだかっていた。
では、どうしたらスペインを追い落とせるか。
それでラス・カサスの告発本が利用された。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください