告発者を「被害呼訴人」と呼び、その代理人まで告発する文在寅政権下の「新権力層」

安煕正、呉巨敦、朴元淳をめぐる不祥事に対して沈黙した文在寅大統領と、「被害者」という呼称を避け、代理人弁護士まで誣告教唆罪で告発した左翼政権周辺勢力の対応を論じる。

本稿は、安煕正、呉巨敦、朴元淳という韓国与党・民主党所属の三人をめぐる事件と、これに対する文在寅大統領および政権周辺勢力の対応を論じた前章の続編である。
文在寅大統領が「MeToo」の高まりの中で語った言葉と、政権に近い人物の不祥事に際して実際に取った対応との相違を、当時の報道と発言を引用しながら検証している。
2020年9月7日
以下は前章の続きである。
告発者は酷い目に遭わすぞ
安煕正、呉巨敦、朴元淳―この三人はいずれも政権与党である民主党所属だった。
文在寅大統領にとっては、頬をぺロリと舐めてくれた後輩、昔からの”お友達“、司法試験合格同期で首都の首長。
いずれも因縁浅からぬ存在なのに、3人の事件について、大統領の公式コメントはまったく出ていない。
最も新しい事件である「朴元淳パワセク自殺」について、大統領府報道官は「被害者にいたわりの言葉を掛けたい」と述べ、大統領の公式コメントに関しては「真相が解明され次第……」と気を持たせた。しかし被告発者の死亡により、警察の捜査は終了した。
真相は解明されないのだから、大統領のコメントもなしというわけだ。
そして、朝鮮日報(20年7月25日)によると、大統領府の”別の関係者”は「いたわりの言葉を掛けたい」とした報道官発言を、「報道官個人の見解だ。青瓦台(大統領府)を代表するものではない」と、わざわざ否定した。
「MeToo」が盛り上がった時、文大統領はこう述べた。
「被害者の暴露があった場合……被害者の告訴がなくても積極的に捜査してほしい」
「強者である男性が弱者である女性を力や地位で踏みにじる行為は、どのような形の暴力でも、どのような関係でも、加害者の身分や地位にかかわらず厳罰に処さなければならない」
「社会のあちこちに根を張った性暴力を抜本的に根絶するという考えで、政府を挙げて手段を総動員してほしい」
「特に勇気をもって被害事実を明らかにした被害者が二次被害や不利益を受けることがないよう、綿密に対策を講じてほしい」(以上、いずれも聯合ニュース18年2月26日)
ここまで述べた大統領が、三人の不祥事については押し黙っている。
そればかりか、政権与党はソウル市長を告発した女性秘書のことを「被害呼訴人」という新造語で呼んだ。
”被害に遭ったと喚いている女”といったニュアンスだ。
「被害者」とは認めていないという意味なのだろう。
さらに左翼政権の周辺勢力は、被害者の代理人(弁護士)を誣告教唆罪で告発した。
「新権力層」なら、パワセクぐらいは許されるどころか、暴露した人間は酷い目に遭わせてやるぞーということだ。
この稿続く。


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