トランプ大統領への最大限の歓迎と、朝日新聞の国際感覚なき批判。

2019年7月8日発信。
月刊誌Hanada八月号掲載の安倍晋三総理と櫻井よしこ氏の特別対談を通じて、トランプ大統領来日に対する最大限の歓迎の意味と、それを「蜜月演出」などと批判する朝日新聞の国際感覚なき姿勢を論じた一篇。
日米同盟における首脳間の信頼関係の重要性、拉致問題への具体的成果、日米貿易交渉、G20と米中対立まで、安倍総理の言葉から日本外交の現実と責務を浮かび上がらせている。

2019-07-08
他方で、一連のトランプ大統領に対する最大限の歓迎に対して、たとえば朝日新聞は…『蜜月演出』空振り」などと批判を繰り返しています

以下は前章の続きである。
櫻井 
ゴルフ場では、自撮りの写真がインスタグラムにアップされて反響を呼びましたね。
お二人ともとても自然ないい笑顔をなさっていた。
あれは総理が撮ったのですか。
安倍 
ええ、私が撮りました。
あんなに自然な笑顔になると思っていなかったのですが(笑)。
若い人たちがあの写真にペイントをしたり、私とトランプ大統領の顔を加工したりしたものがネット上で拡散されていますが、より可愛くしていただいて良かったなと思っています(笑)。
櫻井 
二人の親密な関係が窺える写真でした。
また、最終日には海上自衛隊の護衛艦「かが」を視察されましたね。
安倍 
米軍の最高司令官であるトランプ大統領と自衛隊の最高指揮官である私が「かが」にともに乗艦をし、米軍と自衛隊を激励したことは、抑止力の点でも、隊員たちの士気を鼓舞するうえでも、意義ある訪問だったと思います。
これは史上初のことです。
国際的な目を持たない批評
桜井 
他方で、一連のトランプ大統領に対する最大限の歓迎に対して、たとえば朝日新聞は社説(五月二十八日)で「もてなし外交の限界 対米追従より価値の基軸を」と書き、オピニオン欄(六月三日)でも「安倍外交の手詰まり感」「『蜜月演出』空振り」などと批判を繰り返しています。
安倍 
米国は日本にとって唯一の同盟国です。
そして、もし万が一、日本が急迫不正の侵害を受けた時には、日本を守るために唯一戦ってくれる国が米国です。
信頼関係がない同盟であれば、必ずしもともに戦ってくれるとは限りません。
もちろん、日米安全保障条約の第五条には、日本の施政下にある領域での武力攻撃、共通の危険に日米共同で対処すると宣言する旨明記されています。
しかし米国の若い兵士は、はたして信頼関係のない国を命をかけて守るでしょうか。
首脳同士の信頼関係があれば、米国は日本に対して必ず来援してくれます。
日米の絆を一層強化していくことによって、争いを未然に防ぐこと、すなわち他国から日本に対して戦争を仕掛けようとする企みを挫く抑止力を高めていくことが可能となる。
これは、日本の安全保障にとって極めて重要なことです。
米国大統領と信頼関係を構築し、それを世界に示すことは日本の総理大臣としての義務だと私は思っています。
櫻井さんが挙げられた新聞社のような批判もあるだろうとは思いますが、私は自らの信念に基づいて行っています。
ハノイで行われた第二回米朝首脳会談において、トランプ大統領は初日の二者会談の開始直後、金正恩委員長に直接、私の考えを伝え、拉致問題を提起しました。
さらに、その後行われた少人数の夕食会でも、再び拉致問題に言及してくれました。
これは、トランプ大統領と私の間で信頼関係が築かれているからこそなのです。
金正恩委員長も、おそらく驚いたのではないでしょうか。
と同時に、「拉致問題を避けては通れない」という認識を持ったはずです。
先ほどの批判をするような方に問いたい。
「米国大統領とこのような信頼関係を築く努力をしなくていいと言っているのですか」と。
そうした方々は、トランプ大統領による拉致問題の提起やその過程、背景には言及しません。
全くフェアではない。
国際的な目を持たない批評と言わざるを得ません。
櫻井 
朝日はそのような背景には言及しませんね。
それだけではなく憲法を改正しないことによって日本は様々な弱点を抱えていますが、そうした弱点ゆえに、より緊密な日米関係を築かなければならないという点にも朝日は言及しません。
安倍 
たとえば、NATO(北大西洋条約機構)のように、加盟国が集団的自衛権を行使し合うという多国間の同盟関係を日本は持っていません。
米国とのみ同盟関係にあり、米国一国のみが日本のために軍事力を行使する。
繰り返しますが、その米国のリーダーと信頼関係を築き、それを内外に示していくことは、日本国の総理大臣としての重要な責務だと私は考えています。
今回のトランプ大統領の訪日によって、日米同盟の絆はもはや揺るぎようのない、世界で最も緊密な同盟となりました。
この意義は非常に大きいと感じています。
報じられないトランプ発言
櫻井 
強固な日米同盟の構築を歓迎する一方で、今回の日米首脳会談の冒頭、トランプさんが、日米貿易交渉について「おそらく八月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」と述べました。
これは予想外の発言でしたか。
会談の前日には、トランプさんがツイッターで「多く(の成果)は七月の選挙後に待つ」と書き込んだことから、参議院選挙と絡めて様々な憶測が飛び交っています。
そもそも四月にワシントンで行われた首脳会談でも、トランプさんが「五月末の訪日時に妥結できる」と発言し、話題となりました。
安倍 
たしかに、トランプ大統領はツイッターや記者会見で私たちの予想外のことを述べられることがあります。
しかし、いま日米の貿易協定交渉において「密約があるのではないか」との批判があるのですが、極めてバカバカしい話です。
昨年、茂木・ライトハイザー間で協議し、九月に私とトランプ大統領で最終的な日米共同声明を発出しています。
ポイントは二点あります。
一つは、農産品について過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との大前提を、明確に日米で合意している点。
二つ目は、交渉が継続している間に日本の自動車に対して追加的な関税をかけないという点です。
繰り返しますが、どちらも大統領との間で確認し、日米共同声明を発出している。
非常にオープンな交渉を進めてきているのです。
「密約」などと全く論外な批判をする人たちは、もう一度、この合意をよく確認していただきたい。
この共同声明の下に、今後交渉を行っていくわけで、国益をしっかりと守り、日米ウィンーウィン(共存共栄)となる形の早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論をさらに加速させることで一致しています。
トランプ大統領も、「両国の経済に恩恵をもたらすものを」と明確に述べています。
なぜか、こうした発言は報道されないのですが。
櫻井 
意地の悪いメディアは、首脳会談でトランプさんが発言した際、安倍総理の表情が曇ったと伝えていましたが。
安倍 
そんなことは全くありませんでしたよ(笑)。
いたって平常心です。
G20と米中貿易戦争
櫻井 
六月二十八日、二十九日には大阪でG20が開催されます。
米国をはじめ、ロシアや中国、韓国、欧州など各国の首脳が日本を訪れます。
課題が山積するなかで、議長国として難しい舵取りとなりそうですね。
安倍 
なかでも自由貿易体制は、国際社会の最重要課題です。
特に、米中間の貿易摩擦は日本を含めて国際社会の大きな関心事項となっていますが、貿易制限措置の応酬はいずれの国の利益にもならない、と私は考えています。
米中貿易協議の動向が日本経済や他国に与える影響については引き続き注視していきたいと思いますし、米中両国が対話を通じて建設的に問題解決を図ることが重要です。
こうした日本の考えや立場については、トランプ大統領や習近平主席にもしっかりと申し上げています。
G20大阪サミットでは、日本ならではの議長国としての役割を果たし、良い結果を出していきたい。
とりわけ違いを強調するよりも、各国が合意できる共通点を見出し、議論をまとめ、G20が一つの方向に向かっていくというメッセージを出したい。
それこそが日本の役割だと思っています。
櫻井 
五月三十一日からシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」(シャングリラ・ダイアローグ)で、米国のシャナハン国防長官代行と中国の魏鳳和国防相が激しい非難の応酬をする場面がありました。
いまや両国の問題は、単なる貿易問題を超え、特に米国は中国の国柄や価値観を問題視し、問うているように感じます。
安倍 
価値観という重要な点については、日本と米国、そして欧州も基本的に共通の価値観を持っています。
他方、中国には、知的財産権の侵害や技術の強制移転、市場歪曲的な国有企業への補助金の問題など大きな課題があります。
これは貿易体制のみならず、自由で開かれた公正なルールに基づく経済秩序の根幹にかかわる問題です。
貿易は、あくまでもWTOルールと整合的でなければなりません。
したがって、中国には国際的な経済秩序と調和するものに変えていくことが求められている。
その点においては、日米も完全に同じ考えです。
繰り返しますが、貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもなりません。
同時に、世界経済は複雑なサプライチェーン(供給連鎖)を通じて相互依存関係にありますから、経済へのインパクトをどこまで悪影響にならないよう抑えていくか。
その努力をしていくことも大切です。
この稿続く。

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