日本はどっちつかずではいられない――安全保障をヤクザ国家に任せる愚かさ

2019年8月5日発信。
前章に続き、石平、楊海英、矢板明夫による対談を紹介する。
米中対立の中で、日本がアメリカと中国の間で曖昧な態度を取り続ける危険性を論じ、中国を「ヤクザ国家」と見なしながら、日本の安全保障を中国に配慮する発想へ傾ける一部政治家やメディアの姿勢を批判する。
尖閣諸島、日米安保、香港、ウイグル、チベット、内モンゴル問題にも触れ、日本が自由主義陣営の防波堤として明確な立場を取る必要を訴える。

2019-08-05
日本の安全保障をヤクザに任せるような動きが今、一部に出ていますね。
例えばある県の知事は尖閣諸島に中国の公船が来ているのに「あまり刺激しないように」と言い出したりする。
以下は前章の続きである。
日本は「どっちつかず」ではいられない。
矢板 
だから今、日本はヤクザが悪いのか警察が悪いのか迷っているんですよ。
ヤクザが悪いに決まってるのですが、そこまで大きな声を出されると迷ってしまうんですね。
石 
そう。
一番タチが悪いのは、ヤクザと警察との両方にいい顔をすることです。
それでは最後、ヤクザには捨てられ警察にも嫌われます。
楊 
立場を鮮明にしないと危ないですね。
日本の安全保障をヤクザに任せるような動きが今、一部に出ていますね。
例えばある県の知事は尖閣諸島に中国の公船が来ているのに「あまり刺激しないように」と言い出したりする。
これには驚きました。
いわば海賊船が来ているのに「刺激しないで、さもないと攻撃されてしまいますよ」と言うようなものです。
場合によっては裏でみかじめ料も払おう、という発想なんですよね。
日本の政治家や知識人がそういう雰囲気を醸し出していると、それはアメリカからすればたまったものではない。
なんでそんな国を守る必要があるのか、となりかねません。
石 
警察の気持ちからすれば、仕事で命を懸けて市民を守っているのに、市民がヤクザと同調しているのなら「おまえはヤクザの世話になればいいじゃないか」となりますわな。
矢板 
警察が市民の安全を守っているときに市民がヤクザに弁当を差し入れしたりしているから、警察も「もう守ってやらない」みたいな気持ちになっているわけですね。
楊 
今の日本は、冷戦時代ほどにはしっかりしていないという面があると思います。
冷戦時代の日本は一応、西側についたわけですよね。
ところが今の日本には、米中のどちらにつくかという迷いがあるんじゃないですかね。
石 
いや、アメリカでもこれまで数十年間、エドガー・スノーの『中国の赤い星』が出たころからヤクザの本性を見誤っていたわけですから。
中国共産党が延安に行く前ですら普通の地主が殺されたり、毛沢東の粛清も始まっていたのに。
楊 
粛清というか、内ゲバですね。
石 
紅軍(共産党軍)の内部でも数十万人を殺し合っていたのです。
楊 
二個軍団がなくなるほどだったそうです。
石 
そうそう。
それでアメリカ人の視察団が行ったら、毛沢東たちはわざとボロボロの服を着て、質素なご飯でアメリカ代表団を歓待するわけです。
それでアメリカの視察団は感動するのです。
実際は普段、毛沢東たちはぜいたくな食事をしていたのですが。
楊 
蒋介石とはえらい違いですね。
石 
アメリカは共産党にだまされて、それで中国を失ってしまいました。
それで次に鄧小平が出てきて改革開放路線に再びだまされました。
天安門事件が終わったらもう一回だまされて、やっと今アメリカは民主党も共和党もなんとか、ヤクザの本性に気が付いたというような状況なのです。
矢板 
今の日米安保条約は冷戦時代にできたものです。
当時は社会主義と資本主義の対立があってソ連と北朝鮮と中国、それにベトナムという赤い波が東に押し寄せるのを阻止するために、西側社会には日本が必要でした。 
しかしソ連の崩壊以後、もう社会主義との対立がなくなったわけですよね。
中国も事実上、社会主義を捨てて西側社会の仲間になると思っていたのですが、実は中国はヤクザだと分かり、そこで再び米中の対立が始まったんですね。
そこで日本の役割、利用価値は何なのか。
もし日本が防波堤的な役割を果たさないのなら、アメリカにとって日本は必要なく、日米安保ももう要らない…というトランプ発言につながっていくわけですね。 
そこは日本はどうも甘えているんですね。
安倍首相とトランプ大統領が友達だから守ってくれるだろう、という甘えがすごくある。
アメリカにとって日本は、一緒になって中国と対峙することに利用価値がある。
その利用価値がなければ、日米安保はもう要らない、となるでしょう。

G20の前には香港で大規模なデモがありました。
そして大阪でも反中デモがあり、産経新聞は香港から来た陳浩天さんと、ウイグル人のラビア・カーディルさんの話を載せていましたが、内モンゴルからの人も来ているんだけどそれは全然出ていません。
会場ではウイグル人もモンゴル人もチベット人も頑張っているんだけど、日本のメディアは香港は取り上げるけれども他の民族問題は取り上げようとしないんですね。 
おそらく日中会談のときに安倍さんは、なんらかの形でウイグルの人権問題とか、香港の一国二制度についても非常にソフトに言ったと思うのですが、中国側はそれを発表もしていません。
発表しないというのは要するにきちんと受け止めていないということです。
ネットでの世論を見ても日本国民はウイグルの問題、あるいは少数民族問題、香港問題を重要視しているのに、マスコミがベタ記事以上に扱おうとしない、私はそこが非常に問題だと思います。
この稿続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください