政治とは、敵と味方を明らかにする行為である――カール・シュミットが示す国家主権の本質
政治哲学者カール・シュミットの「政治とは敵と味方を明らかにする行為である」という定義を軸に、八方美人的な合意形成では国家は守れないこと、外為法改正による安全保障上の意義、原子力・兵器情報の流出防止の重要性を論じる。
2020-06-02
つまり、「幅広くみんなの意見を聞く」といった行為は宗教の教義か初等教育のカリキュラムであり、政治とは全く無関係なのである。
以下は前章の続きである。
政治哲学者のカール・シュミットはその著書『政治的なものの概念』(田中浩・原田武雄訳)にて、次のように政治を定義している。
それは、「誰が敵で誰が味方かを明らかにする行為」である。
つまり、「幅広くみんなの意見を聞く」といった行為は宗教の教義か初等教育のカリキュラムであり、政治とは全く無関係なのである。
敵とは自己の存在を否定するものであり、味方とは自己の存在を肯定するものである。
政治を行うものが「誰が敵か」を主体的に定義する必要があり、もしこの判断を放棄したならば、それは「政治的主体」であることの消滅、すなわち主権喪失を意味する。
憎悪がうごめく世界において八方美人では生き残れない。
それこそ、かつてのスイス連邦のように各家庭へ自動小銃、シグSG550を配布し、厳格な国民皆兵をしなければならず、現実的ではない。
今必要なのは、明確な国家観を持ち、敵味方を峻別する指導者の存在である。
時に安倍総理は、昨年11月に外為法を改正し、今年5月8日に施行した。
この改正の目的は、武器製造や原子力産業に携わる企業株が外国資本によって購入されることを防ぐためであった。
確かに、北海道の採水地を外国資本が買い漁るといった、放置すべきではない課題も残されている。
だが、我が国の兵器性能と原子力情報の他国流出を防ぐことは、最優先で解決すべきことである。
例えば、平成28年5月には、北朝鮮に対する日本政府独自の制裁、すなわち再入国禁止措置の中に、京都大学原子炉実験所の男性准教授、原子力学専門、が含まれていたこともあった。
このように、我が国を取り巻く状況は決して平穏なものではない。
為政者が敵味方の識別を明らかにしていかなければ、私たち日本人の生存が許されない場面に陥ることも想定しなくてはならない時局にあるといえる。
この稿続く。