武漢ウイルス禍を世界制覇の足掛かりにする中国共産党――「火事場泥棒」と戦狼外交、その宣伝戦の本質

中国共産党政権は、武漢ウイルスによって欧米諸国が疲弊する中、マスクや医療物資を外交上の取引材料に使い、5G導入を迫る一方、南シナ海や尖閣諸島周辺で覇権主義的行動を強めた。
石平氏と竹内久美子氏が、中国の「火事場泥棒」的行動、戦狼外交、国内外に向けた責任転嫁と宣伝工作、そして人間心理を利用した中国共産党の支配手法を論じる。

2020-06-25
武漢ウイルス禍を世界制覇の足掛かりにする中国共産党――「火事場泥棒」と戦狼外交、その宣伝戦の本質
以下は前章の続きである。
見出し以外の文中強調は私。
*本稿においても、如何にNHKの報道部を支配している連中が、中国を利する報道を繰り返して来たかは明らかなのである*
火事場泥棒
竹内
中国は武漢ウイルス感染拡大を逆手に取って、むしろ世界制覇の足掛かりにしようとしています。
象徴的なのが、マスク不足にあえぐフランスに対して、中国はマスクを10億枚供給するから、5G(第5世代移動通信システム)設備を購入せよ、と取引を持ち掛けたこと。
ほかにも医療品の輸出を制限したり、南シナ海で新しい行政区を設置し、尖閣諸島の領海侵犯を繰り返している。
石平
火事場泥棒以外の何ものでもありません。
いや、自ら放火したようなものですから、もっとタチが悪い。
覇権主義的戦略を進める際、アメリカが大きな存在として立ちはだかっていました。
中国共産党にとって力がすべてであるから、弱い者には横暴だけど、強い者には神経を使って、その顔色を窺う。
そして今は、アメリカが武漢ウイルスで弱まったと思えば、中国は遠慮なく暴走し始めているのです。
竹内
世界、特に日本は、中国共産党政権の本性を認識するべきです。
中国は欧米諸国に対して、新たな宣伝活動を展開しています。
欧米がコロナで疲弊しているため、相対的に中国は高圧的な態度に出ている。
石平さんも産経新聞で「戦狼(好戦的)外交」と指摘されていました(4月30日付)。
その上で、宣伝戦を抜かりなく展開している。
石平
4月以降の中国国内の新聞やテレビニュースを見ると、武漢市内の現状はまったく報じていません。
一方で、鬼の首を取ったように、連日、アメリカやイタリアの悲惨な現状を克明に伝えていた。
なぜかと言えば、中国国民に対して、中国共産党政権の対策を誇示するため。
自由民主主義社会はコロナ感染を防ぐことはできない。
共産党指導体制のほうが優れている――そう言いたいわけです。
竹内
ただ、欧米諸国は、中国の感染拡大の責任を追及し、賠償訴訟を起こすまでになっている。
石平
そこで中国は、「何を言っているんだ。感染源はアメリカだ」と。
要するに「責任転嫁」です。
実は、中国国内で習近平政権に対する責任追及の機運が高まったことがありました。
ところが、4月になって、ニューヨークの悲惨な状況が連日報じられているのを見て、国民の気持ちが様変わりしたのです。
「ニューヨークに比べて、我々の生活は安全だ。我々国民を守ってくれるのは習近平主席以外にない」
と。
今や習近平は、自らを中国を救った英雄、のみならず世界の救世主だと喧伝している。
竹内
信じられないような展開ですが、中国国民は今までずっと宣伝工作に曝されてきました。
そろそろ、そのやり口に気づいてもよさそうですが……。
石平
一部の知識人は、そういった情報戦に対して免疫力がついています。
でも、大半の中国国民は騙されるし、気づいたとしても、また同じやり方で騙される。
竹内
日本人も似たような面があります。
たとえば民主党政権時代、「政権交代」の言葉に騙され、多くの人が民主党に投票した。
フタを開けたら、あまりにひどい政権運営で、日本の国力が削がれる結果に。
ところが、再び民主党政権時代を懐かしむ声が出ている。
反アベもここに極まった感があります。
石平
喉元過ぎれば熱さを忘れると言いますが、それと同じ。
竹内
悲惨な境遇にあるとき、楽になる方法は、自分よりももっと悲惨な人を見て優越感を覚えることです。
中国の情報戦は、そういう人間心理を巧みにくすぐっていませんか。
石平
毛沢東は文革時代、地主や知識支配階級の人権を奪い、社会の底辺に落とし込みました。
その頃の地主の子供たちは大学に行けず、もちろん、まともな就職もできません。
なぜ、そんなことをしたかと言えば、被支配層の農民たちを満足させるため。
農民たちは苦しい生活をしていても、自分たちよりさらに苦しい立場にある地主たちの惨状を見ると、ある程度の満足感を味わえるのです。
竹内
石平さんのご両親も、知識人として文革の犠牲となられましたよね。
しかし、ここまであくどいことを考える動物は、自然界広しといえども、さすがにいませんよ(一同爆笑)。
動物の世界にも序列はありますが、それは無駄な争いを避けるため。
確かに高い順位にいれば、いいエサにありつける確率は高くなりますが、順位がなくなれば、毎回争いごとが起こって、皆がへとへとになるだけです。
実際に犯罪に相当する行為は、オスたちの順位がきちんとしていない場合に起きやすい。
ですが、順位がきちんとしていると起きにくくなります。
順位は、無駄な争いを防ぐだけでなく、犯罪の抑止力となる。
もう一つ面白いのですが、鳥類の中には〝ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)〟と似たような行動をとるものがいます。
アラビアヤブチメドリがそうで、トップと2位の位置にあるオスは、常に仲間に食べ物を分け与える。
さらに夜になると、みな枝に一列につかまって寝るんですが、両端が一番敵に襲われやすい場所なので、トップと2位が両端を陣取って、仲間を守ります。
ただ、さすがに繁殖行為だけは、まわりに譲りませんけれど。
この稿続く。

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