日本の死者数は先進国で断トツの低さ――世界トップレベルの医療現場の足を引っ張った自称専門家とテレビ
新型コロナウイルスによる日本の人口100万人当たりの死者数は、先進国の中で断トツの低さだった。
掛谷英紀氏は、その結果を日本の感染症対策、医療制度、医療従事者の実力が世界トップレベルであることの証と評価する一方、PCR検査の無制限な拡充を主張した自称専門家や、日本のテレビ報道の問題を厳しく指摘する。
2020-07-02
先進国の中では断トツの低さである。
この結果は、日本の感染症対策と医療制度、および医療従事者の実力が世界トップレベルであることの証である。
以下は前章の続きである。
読者は、例えば、PCR検査についての私の論説が正しかったことも再認識するだろう。
見出し以外の文中強調は私。
足を引っ張る自称専門家
世界における新型コロナウイルスによる死者数は、6月7日に40万人を超えた。
一方、日本の死者数はというと、同日時点でも1000人に達しておらず、人口100万人当たりの死者数は7人と、先進国の中では断トツの低さである。
この結果は、日本の感染症対策と医療制度、および医療従事者の実力が世界トップレベルであることの証である。
社会の危機は、普段は覆い隠されていることをあらわにする。
これは、東日本大震災の時も同じであった。
東日本大震災において活躍したのは、原発作業員、消防士、自衛隊員、警察官など、現場の最前線で働く人たちだった。
彼らは世界中から称賛され、スペイン皇太子賞も授与された。
今回も、現場の医療従事者や自衛隊員の活躍は、同様の称賛に値するものである。
その一方で、現場の足を引っ張るのは、いつもマスコミや評論家、そしてテレビに出たがる自称専門家たちである。
テレビの情報番組で、新型コロナウイルスに関するコメンテーターとして登場したのは、学会から干された非主流派の医師や、そもそも医療関係の資格を持たない自称専門家が主であった。
彼らは、口をそろえて盛んにPCR検査の拡充を主張した。
その無責任な意見に従わなかったことが、医療現場の混乱を防ぎ、日本の成功をもたらした要因の一つになっている。
PCR検査拡充の弊害は、そもそも陽性と分かっても治療法がないこと、偽陽性や偽陰性など、検査精度の問題があることによる。
偽陽性、偽陰性がもたらす弊害は、「ベイズの定理」と呼ばれる理論で説明できる話であり、私が専門の一つとする機械学習でもよく用いられる。
日本の医師たちが、これをしっかり理解していたことは、頼もしい限りであった。
日本のテレビのひどさは、留学生にも容易に理解できるようである。
新型コロナウイルスが中国で流行し始めた今年1月、研究室で中国人留学生がYouTubeを観ていた。
内容を尋ねると、新型コロナウイルスに関する台湾のニュース番組だという。
多数の専門家を招いて詳しく報道しているので、いろいろ参考になるとのことだった。
そこで、彼に日本のニュースはどうかと聞くと、「中国政府の発表をそのまま報道しているだけで、全く役に立たない」と酷評した。
この出来事をTwitterで紹介したところ、「いいね」が10万件に達するという大きな反響を得た。
日本のテレビに対する不満は、それだけ大きいのである。
私も、日本のメディアは全く信用できなかったので、新型コロナウイルスについては、海外のYouTubeチャンネルから情報を得ていた。
具体的には、看護師のジョン・キャンベル博士(Dr. John Campbell)、Peak Prosperityの病理学者クリス・マーテンソン博士(Dr. Chris Martenson)、MedCramのロジャー・シュールト医師(Dr. Roger Seheult)の三名のチャンネルである。
これらはいずれも、公式の統計データと学術論文に基づいて解説を行っており、科学者である私にとっても、信頼に足る情報源だった。
日本語で同様の情報発信をするチャンネルがなかったのは、残念である。
この稿続く。