歴史的なトランプ演説…1 WHO(世界保健機関)からの脱退 2サプライチェーンからのチャイナ排除、産業スパイの根絶 3金融市場からのチャイナ企業追放 4「国家安全法」制定への制裁
2020年5月29日にドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスのローズガーデンで行った対中国演説を紹介する。
WHOからの脱退、中国人民解放軍と関係する留学生・研究者への対策、産業スパイと知的財産窃取の摘発、米国金融市場に上場する中国企業の監督、香港国家安全法に対する香港の優遇措置撤廃と制裁という、米中対決時代を決定づけた政策を論じた2020年7月19日の記録。
2020-07-19
以下は前章の続きである。
歴史的なトランプ演説
全人代が閉幕した翌日、トランプ大統領がホワイトハウスのローズガーデンで行った演説は今後、「歴史的な演説」として人々の記憶に残るでしょう。
トランプ政権はこれまで、2018年10月4日、2019年10月24日の2回の「ペンス演説」でチャイナ政策の基本姿勢を示してきましたが、今回の演説は米中対決時代を決定づける画期的なものでした。
次の4点に集約される演説を理解しないと、日本の外交は道を誤ることになるでしょう。
1 WHO(世界保健機関)からの脱退
トランプ大統領はチャイナが武漢ウイルス問題を隠蔽し、その対応を誤ったことで世界中に被害を拡大させたという事実を述べ、チャイナがWHOへの報告義務をかったばかりか、WHOに圧力をかけ、世界を間違った方向へ導いたと指摘しました。
また米国は、チャイナの10倍以上の拠出金を提供しているにもかかわらず、WHOはチャイナの支配下にあり、米国が望むような改革を実行しないことが明らかになったため、「今日をもって米国はWHOを脱退する」と宣言しました。
チャイナが「ウイルスが武漢から拡大した事実」を否定しようとしているなかで、トランプ大統領がハッキリと「武漢ウイルス」(Wuhan Virus)という言葉を使っていることも特筆すべき点です。2 サプライチェーンからのチャイナ排除、産業スパイの根絶
独裁国家であるチャイナは軍部と民間のあいたに明確な区別はなく、留学生や研究者を使い、軍民一体となって外国から知的財産を窃盗し続けています。
そこでトランプ政権は、人民解放軍と関係があるような留学生や研究者を完全に排除する方針を打ち出しました。
また司法省とFBIはこのような知的財産窃盗や産業スパイ、ハッキングなどを徹底して取り締まり、犯罪者を訴追する方針を決定しました。
3 金融市場からのチャイナ企業追放
トランプ大統領は演説の冒頭で次のように述べています。
「何十年にもわたって、チャイナは米国経済を搾取してきており、その酷さは歴史的な前例がない。チャイナと取引することによって、毎年何千億ドルもの富が失われ、特にその傾向はわれわれの前の政権(オバマ政権)で顕著だった」
チャイナの法律により、チャイナ企業は会計報告(貸借対照表:バランスシート)を公開しないことになっている一方、米国で上場するには透明性の高いバランスシートの公開が求められます。
これまで多くのチャイナ企業は、バランスシートをごまかして米国市場に上場してきました。
これは米国市場に上場している最大のチャイナ企業、アリババも例外ではありません。
米国の上場基準では認められなかったチャイナ企業が、なぜ上場できたのか。
それはチャイナブームに乗ってカネ儲けを企んだウォールストリートの金融資本の悪事を、ビル・クリントン、息子ブッシュ、オバマの各政権が野放しにしてきたからです。
チャイナは違法上場や債券販売によって膨大なドルを手に入れ、経済大国へと成長したのです。
トランプ大統領は金融市場改革大統領作業部会に対し、上場しているチャイナ企業が米国の法律に基づいて活動しているかどうかを調査するように命じました。
今後、チャイナが米国金融市場で資金調達することは不可能になります。
米国は投資家を保護し、公正性と透明性を要求すると主張していますが、これは極めて正しい政策です。
というのも、国民の資産である年金基金は投資によって運用されています。
年金基金の一部がチャイナ企業へ投資され不正利用されることは、米国民の大切な資産が敵国の経済力・軍事強化につながることを意味します。
それだけでなく、ただでさえ武漢ウイルスによってチャイナ経済の先行きは明るくありません。
いまチャイナ企業に投資することは、純粋な運用失敗につながる可能性もあるのです。
チャイナ投資は二重の意味で回避しなければなりません。
4「国家安全法」制定への制裁
トランプ大統領は、香港の「最恵国 待遇」の取消を行政府に指示しました。
米国は米中貿易戦争でチャイナに高関税を課していますが、香港は最恵国待遇があるため通常関税のままでした。
つまりチャイナ企業は、香港を抜け穴に米国へ輸出することができていたのです。
また米国がチャイナに利用を禁じている特許も、香港企業には与えられていたのです。
しかし最恵国待遇取消により、チャイナ企業は香港という抜け穴を使うことができなくなったのです。
最悪の場合、米国はチャイナ・香港の金融機関にドル取引を全面禁止する可能性すらあります。
ドル取引ができないということは、北朝鮮のように世界経済から完全にデカップリングされるということです。
ヒトヘの制裁も考えられます。
制裁の詳細は演説で語られませんでしたが、香港の自由を弾圧した政府関係者の米国への入国禁止、彼らが保有している在米資産の凍結・没収などが考えられます。
チャイナの政府関係者は相当な資産を海外に持ち出しており、在米資産も多いと伝えられています。
彼らにとって大ダメージになるでしょう。
この稿続く。