「私がラス・カサスです」という日本人――河野太郎防衛相と東京新聞記者の応酬が露わにした、自国防衛をめぐる倒錯
高山正之氏が指摘した「私がラス・カサスです」という日本人の存在を、河野太郎防衛相と東京新聞記者の記者会見での応酬、そして同日の「産経抄」とともに再考する。
中国や韓国の了解を得なければ日本のミサイル防衛を進められないかのような質問は、自国の安全保障よりも周辺国への配慮を優先する戦後日本の倒錯を象徴している。
2020-08-06
本稿は、2020年8月5日に世界へ紹介した高山正之氏の洞察を、翌8月6日の「産経抄」とともに再掲載するものである。
高山氏は、ラス・カサスの役割を自ら引き受け、日本を貶める言動を繰り返す日本人が、各界に数多く存在すると指摘した。
その翌日、「産経抄」は、自民党がまとめた新たなミサイル防衛策をめぐり、河野太郎防衛相に対して中国や韓国の理解を得る必要性を質問した東京新聞記者との応酬を取り上げた。
自国の防衛政策について、なぜ日本を射程に収めるミサイルを増強している国や、日本の防衛政策を決定する権限を持たない周辺国の了解を得なければならないのか。
この記者会見は、戦後日本の一部メディアが、自国の安全保障よりも中国や韓国の立場を優先してきた現実を、端的に示したものだった。
以下、2020年8月6日に発信した本文を、引用を含めて掲載する。
「私がラス・カサスです」という日本人
昨日、世界中に紹介した高山正之の洞察を、今日の「産経抄」とともに再掲載する。
朝日の悪辣な意図
髙山 やっぱり「私がラス・カサスです」という日本人が、たくさんいるんだね(笑)。
しかも各界に存在している。
特に朝日は完全に中国・朝鮮の犬となり果てている。
1987年、大韓航空機爆破事件があった。
実行犯の一人、金賢姫をバーレーン大使館の職員が捕まえたものの、即座に韓国に引き渡してしまった。
金賢姫が自白する中で、田口八重子さんや横田めぐみさんの名前が出てきた。
大高 北朝鮮による拉致の実態が顕在化しました。
髙山 騒ぎが広がる中、90年代に入って朝日が何をしたかというと、植村隆による慰安婦問題を持ち出した。
吉田清治を復活させ、吉見義明の軍の関与説を引っ張り出し、その間に堤岩里教会事件まで取り上げた。
こうした反日的な記事の連打で、拉致問題がいつの間にか後方に追いやられてしまった。
後略。
以下は、今日の「産経抄」からである。
私も、たぶんWBSだったと思うのだが、記事中の記者会見の場面は、たまたま視聴していた。
朝日、毎日、東京。
これらの新聞社の記者たちの大半が「完全に中国・朝鮮の犬となり果てている」ことの実証である。
つまり、やっぱり「私がラス・カサスです」という日本人がたくさんいることを、東京新聞の記者は実証していたのである。
「産経抄」から
こんな珍妙な出来事を、ほとんどの新聞はまだ取り上げていない。
4日の記者会見での河野太郎防衛相と東京新聞記者との、かみ合わないやりとりである。
自民党がまとめた新たなミサイル防衛策について、まず記者が質問する。
「周辺国からの理解が重要になってくると思われますが……十分に理解を得る状況ではないように思われます」。
河野氏は聞き返す。
「周辺国ってどこのことですか」
「主に中国や韓国になります」
「中国がミサイルを増強しているときに、何でその了解がいるんですか」
「韓国に関してはいかがですか」
「何で韓国の了解が必要なんですか」。
記者会見の模様は、動画サービスで視聴できる。
マスクを外した河野氏の気色ばんでいく様子がよく分かる。
無理もない。
自国の防衛策について、世界のどこの国が、いちいち周辺国にお伺いを立てるだろうか。
まして、日本にとって周辺国による脅威は高まるばかりである。
中国と北朝鮮が多数保有しているミサイルは、確実に日本を射程に収めている。
75年前の今日、広島市に世界初の原子爆弾が投下され、10万人を超える尊い命が失われた。
今なお、多くの人が放射線による健康被害に苦しんでいる。
犠牲者を慰霊し、核廃絶への誓いを新たにする日である。
同時に、核兵器の搭載可能なミサイルから日本をいかにして守るのか、議論を進めることは矛盾しない。
「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」。
原爆死没者慰霊碑に刻まれている碑文の、曖昧な「主語」をめぐって、論争が続いてきた。
広島市の公式見解は「全人類」である。
ただ、碑文の理念をあざ笑うかのように、核兵器の開発に今も突き進む国が存在する。
その事実を忘れてはならない。