日米同盟を基軸とする日本の選択――米中対立の時代に「八方美人」では国家を守れない
2020年8月7日。
米中対立が深まるなか、日本はどこに軸足を置くべきなのか。
日米同盟、中国への経済依存、核抑止、言論の自由、全体主義と自由・民主主義という体制の違いをめぐる岩田氏と佐々木氏の対話。
「米中双方と仲良く」という八方美人的外交の危険性と、日本の財界が中国に過大な期待を寄せることへの警鐘を論じる。
以下は前章の続きである。
前章では、中国共産党の情報戦と、経済発展によって中国も自由化・民主化するだろうと考えたアメリカの「大誤算」が論じられた。
本稿では、その米中関係の変化を前提として、日本はいかなる国家的立場を取るべきなのかという問題へ議論が進む。
中心となるのは、日米同盟を日本外交・安全保障の基軸として明確に位置づけること、中国への過度な経済的期待を戒めること、そして自由・民主主義と言論の自由を守る国家体制をどちらに求めるのかという問いである。
八方美人になるな
佐々木
対中貿易では、共和党よりも民主党のほうが強硬姿勢を示すこともあります。
岩田
アメリカの対中姿勢の変化に対して、日本はもっと敏感になる必要があります。
米中両国と仲良くという方針は賢い振る舞いのように見えますが、東西冷戦時代、その論理で通ったかといったら、それは違います。
アメリカともソ連とも仲良くなどという選択肢はあり得なかった。
どちらの国を選ぶかと突きつけられたら、必ず「自由・平等・民主主義」の国、アメリカだと、軸足を明確にすべきです。
佐々木
一気に舵を切る必要はありませんが、八方美人でもいけない。
日本の立ち位置はハッキリしています。
日米同盟が基軸です。
米中両国に媚びを売っている韓国のように、大きなリスクを背負うことになりかねません。
日本の財界は中国に対して大きな期待を寄せ過ぎています。
安全保障の面にしても、日本は現状どうしてもアメリカの核の傘が必要な状況にあります。
一方で、中国も核を持ち、核ミサイルの波状攻撃に曝されている現実もある。
仮に日中が安全保障条約を結んだとしましょう。
その際に問われるべき点は、アメリカの核に対抗する意思があるのかどうか。
アメリカに攻撃されたとき、果たして中国は身を挺してでも日本を守ってくれるのか。
むしろ、ここぞとばかりに人民解放軍が進駐してくるのでは。
岩田
全体主義国家中国は信用に足る国家ではありません。
佐々木
もちろん理想を言えば、日米同盟を維持したまま日本が自主的に核武装することが望ましい。
岩田
日米安保が揺らぐだろうという意見がありますが、長距離弾道ミサイルを保持しなければ、アメリカ、とりわけトランプ大統領は納得するでしょう。
佐々木
中国にすり寄るということは、いわばアメリカと再び対峙する可能性があるということ。
そこを日本人は熟慮する必要があります。
しかも、中国の覇権下に身を置いたら、言論の自由なんて絶対にありませんよ。
岩田
中国は自由と民主主義に代わる理念を持っています。
中国共産党による指導が素晴らしいという思想です。
ところが、政治は全体主義でありながら、経済は自由主義を採用している。
では、日本も同じような社会体制になりたいかと問われたら、断固として拒否するしかありません。
佐々木
しかも見せかけの市場経済ですから、貧富の格差は増大する一方です。
このまま中国国民の間で怨嗟の声が高まれば、香港デモのようになりかねません。
外出禁止令は、反政府デモを封じる効果も狙ったようにも思えます。
岩田
現状は力ずくで押さえています。
でも、ウイルス対策にしても、国民の不平不満は高まっています。
いつ暴発してもおかしくない。