自虐史観の呪縛から脱却するために――情報戦・教育改革・国連外交において、日本はいわれなき非難に毅然と反論せよ
自虐史観からの脱却を主題として、日本政府による歴代政権の見解の踏襲、河野談話、海外への多言語情報発信、英国の1988年教育改革法、国連人権機関の慰安婦問題に関する報告書、敵国条項および国連分担金を検証し、日本がいわれなき非難に対して毅然と反論する必要性を論じる。
2020年8月31日
本稿は、前章に続く「第四章 自虐史観の呪縛から脱却するために」の後半である。
日米安全保障条約第五条を掲げたうえで、情報戦争への対応、歴史教育の改革、国連人権機関への対応という三つの観点から、日本が自国の歴史と国家としての立場をいかに説明し、いわれなき非難にどう対処すべきかを論じている。
本文では、政府による「反省と謝罪」の継承、河野談話、海外への多言語発信、英国の教育改革、国連における慰安婦問題、敵国条項および国連分担金などが取り上げられている。
以下、原文を掲載する。
2020-08-31
自虐史観が如何に国家に対する忠誠義務に反し、国際的に軽蔑されているか…政府は歴代政権の見解を踏襲するのを止めよ…いわれなき非難を浴びた時は、機会がある毎に堂々と反論をするべきだ
以下は前章の続きである。
第四章 自虐史観の呪縛から脱却するために
日米安全保障条約第5条:「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危機に対処するように行動することを宣言する。
■ 情報戦争対策 ~もっと毅然として積極的に
そろそろ自虐史観が如何に国家に対する忠誠義務に反し、国際的に軽蔑されているかに気付くべきである。
そのためには:
(一)政府は歴代政権の見解を踏襲するのを止めよ。
従前からの政府の公式な立場は「反省と謝罪」であり、政府はこれを継承する立場を取ってきた。しかし既に限界である。
海外で問題が生じた場合、在外公館は本国から「既に謝罪していると説明をして、穏便に解決するように」との訓令を受けるのが常である。
これでは民間が是正運動を進めても、足を引っ張るだけだ。
今後は、むしろ“厳重に抗議をして、大々的に騒ぎ立てること”、との指示を出すべきだ。
少なくとも当該案件が疑義に満ちた紛争中であることを国際的に知らしめなければならない。
(二)いわれなき非難を浴びた時は、機会がある毎に堂々と反論をするべきだ。
そして積極的に衝突や混乱を作り出す。
周囲も発言者を決して非難してはならない。
国際的な理解を得るのは、そうした衝突や混乱の向こう側にあるので、それを飛び越えることも迂回することもできない。
一番、害があるのは「穏便な大人の態度」だ。
(三)河野談話は、本人が取り消して、世界に対して「談話は、韓国の要望を受け入れて早期に政治的決着をつけるための虚言だった」と言明してもらいたい。
交渉当時の韓国側の担当官の氏名や、非公式に申し入れてきた内容も明らかにする。
グレンデールの慰安婦像問題やパリの漫画際、更には国連の人権関連の委員会で、政府代表や民間団体が真実の説明を行っても、相手は河野談話や歴代の首相の謝罪と矛盾するではないか、といって受け付けてくれない。
このままでは河野談話は永久に日本と日本人を侮辱し続ける。
(四)正しい情報発信を国外むけには、できるだけ多くの言語で根気よく発信を続けることが重要だ。
筆者も会員の末席をけがしている「史実を世界に発信する会」は、現在では日本で唯一の外国語による情報提供運動である。
そのデータベースには十分に活用可能な資料が揃っている。
国内向けには、第一章の「WGIPの実施」の箇所で触れたフーバー米大統領の『裏切られた自由(Freedom Betrayed)』の邦訳を何らかの方法で早期に刊行すべきだ。
日本人の自虐史観の治癒に有効だ。
■ 教育対策 ~英国の「1988年教育改革法」を見倣え
ここは国家百年の計を以って、長期的に教育改革から手を付けてゆくしかないだろう。
「近現代史」を学校で教えることが文科省で検討されているが誠に結構なことだ。
まず教科書問題だ。
執筆者の反日姿勢、および検定の姿勢に問題があることは論を俟たないが、妥当な教科書ができつつあるにもかかわらず、殆ど採用されていない。
最も重要なのは採択権の問題だが、地方自治体の首長でも口を出せないのが現状だ。
サッチャーを見倣って英国式に是正すべきである。
英国は、歴史的に古くから世界各地に植民地を持って搾取を行っていたので、その反省から学童に対する自虐史観の刷り込みを徹底的に行った。
当時の英国教職員組合と労働党が主導して作った「1944年教育法」は、いわば自虐史観・推進法であった。
そうした自虐史観教育は、いわゆる英国病を深刻化させつつあった。
これは20世紀になってからサッチャー首相の決断によって是正された。
サッチャーは「歴史には光と影がある、事実をバランスよく子供の発達段階に応じて教えるべきだ」と述べ、「自国が犯罪国家だとの罪の自意識が精神の基盤に組み入れられると、その国は衰弱しやがては滅亡する」と主張した。
だが、英国教職員労働者連盟の激しい抵抗にあった。
教師は半年間もストをしたり、国会へ向けたデモを行ったりするなど、徹底的に抗戦をしたが“鉄の”サッチャーはこれに屈せずに、ついに「1988年教育改革法」を成立せしめた。
この改革法において、英国は教育内容の決定とその実施の最終的責任を、地方や教育現場から取り上げて国が持つことを明確にし、教育水準の向上と自虐的偏向教育の是正の二つの政策を断行したのである。教科書の採択権限問題:雑誌「正論」平成9年(1997)『教科書採択の内幕』長谷川潤
■ 国連対策 ~国連の侮辱的勧告に対して日本は撤回と謝罪を要求せよ
現在、国連の人権関連の諸機関は、日本人が自虐史観を発揮する舞台となっている。
国連の主要機関のうちの「経済社会理事会」およびその傘下の各種委員会は、国連憲章第71条によって、資格を有するNGOと直接協議をすることができる。
特に人権理事会は、慰安婦に関するクーマラスワミー報告書に関して前述の通り屈辱的かつ脅迫じみた勧告を突き付けてきている。
また、これとは別に2014年7月に行われた自由権規約委員会(総会の補助機関)によるNGOヒアリングには反日左翼団体などが多数参加していた。
朝鮮学校の高校無償化除外問題を人権侵害であると訴えるチマチョゴリを着た日本の朝鮮大学校の女子学生や、特定秘密保護法案、慰安婦問題について日本が人権を侵していると訴える団体だ。
もし国連がこれを取り上げたら明らかな内政干渉になる。
人権問題は民主主義国家の重要課題であり、それを決めるのは主権者たる国民を代表する国会と政府だ。
国連ではない。
一方、国連安全保障理事会(以下、単に安保理と称す)はアジアの安全保障問題には何の役割も果たせないままだ。
日本は安保理の常任理事国にもしてもらえない。
さらに、国連憲章第53条、及び第107条により、日本はいまだに“敵国”という位置づけだ。
中国からは、国連の主要機関:総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、及び事務局がある。国連憲章第七十一条〔民間団体〕:経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議するために、適当な取極を行うことができる。この取極めは、国際団体との間に、また、適当な場合には、関係のある国際連合加盟国と協議した後に国内団体との間に行うことができる。
国連の敵国条項:日本とドイツは平成七年(一九九五)の国連総会で敵国条項の削除を提案して賛成多数を得たが、加盟国の批准(三分の二・百二十八ヵ国)を得ていないためにまだ実現していないし、その目途も立っていない。憲章で「敵国だった国が、戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こした場合、国連加盟国は安保理の許可が無くとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認される」と脅迫されている始末だ。残念だが、これが国連の正式のポジションなのだ。
日本は、こうした問題点にもかかわらず多額の分担金(米国に次いで第2位)を負している。
律義な日本は唯々諾々として毎年負担金全額を遅滞もなしに支払っている。
こんなことでは国際社会では尊敬されるわけではなく、軽くみられるだけだ。
人権問題では既に日本は侮辱的な勧告を受けている。
クーマラスワミー報告書、及び同様趣旨のマクドゥーガル報告書が言及する慰安婦問題は、全くの事実誤認だらけだ。
仮に百歩譲って真実であったにしても、既に70年以上も昔の話で現在では何の問題も起こっていない。
国連は、そんな暇があったら現在進行中の中国新疆ウィグル自治区におけるウィグル族への弾圧、中国のチベット侵略問題、シリア内乱における国民の虐殺、中東のイスラム過激派のテロ行為、米軍基地における韓国人慰安婦の韓国政府への集団訴訟、その他中東やウクライナにおける人権侵害問題、等々をしっかり取り上げるべきだろう。
日本は国連に対して両報告書の撤回と謝罪を断固として要求すべきだ。
もし受け容れられなければ、分担金の支払いや国連メンバーとして日本の国連通常予算の分担金:日本が支払っている分担金は、GDPの減少によ って少なくなっているが、それでも約11%の約2億7700万ドルで米国に次いで第2位だ。
第1位の米国の約半分で,第6位の中国の約3倍(2014年度)に相当する。
なお、安保理・常任理事国は5か国でそれぞれの分担金は次のとおりである。
米国(22%)、英国(5.6%)、仏(5%)、露(1.7%)、中国(3%)。
マクドゥーガル報告書:1998年8月、国連人権委員会(現在の人権理事会)差別防止・少数者保護小委員会で採択された戦時性奴隷制に関する報告書。
報告者はゲイ・マクドゥーガルで、「武力紛争下の組織的強姦・性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する最終報告書」のこと。
主な対象は、旧ユーゴスラビアでの戦争とルワンダ虐殺であるが、附属文書として日本の慰安婦問題についても取り上げている。
クーマラスワミー報告書に続くもので、慰安所は性奴隷制度の産物、「強姦所」であり女性の人権への著しい侵害の戦争犯罪であるので、日本政府は責任者の処罰と被害者への補償を行うべきであるという。分担金の支払いを存続すべきかどうかを再検討する位の強固な姿勢を示すべきだ。
日本の国連至上主義は、国連内部では軽く見られているだけなのだ。 (完)