韓国社会に残る権力型セクハラの構造――室谷克実「パワセク文化の狂風」が論じた両班意識、「新権力圏」、そして朴元淳前ソウル市長の裏の顔
韓国情勢に精通する室谷克実が月刊誌『Hanada』の連載「隣国のかたち」で論じた「パワセク文化の狂風」を紹介する。李王朝時代の両班意識から文在寅政権下の「新権力圏」、呉巨敦前釜山市長、朴元淳前ソウル市長をめぐる権力型セクハラ問題までを検証する。
世界有数の韓国通の一人である室谷克実は、月刊誌『Hanada』に「隣国のかたち」と題する論文を連載している。
以下は、同誌2020年掲載の「パワセク文化の狂風」と題する論文からの引用である。
本稿に記された韓国社会、人物および事件に関する評価や表現は、引用された室谷克実の論述によるものである。
2020年9月7日
世界有数の韓国通の一人である室谷克実は月刊誌『Hanada』に、「隣国のかたち」と題して、日本国民のみならず世界中の人たちが必読の論文を連載している。
以下は、「パワセク文化の狂風」と題して、今月号に掲載された彼の論文からである。
「人権派」の裏顔はド助平親爺
李王朝時代の朝鮮半島は、「身分が高い者」(両班)なら、下の階級の人間に、どんな阿漕(あこぎ)なことをしても罪に問われない社会だった。
この伝統はいまも続いている。
「日帝統治36年」だけが例外期間だったと言える。
身分制度の廃止で両班はいなくなったが、その後の時代は「職位が高い者」「金がある者」が事実上の両班だった。
「有銭無罪」と言われた時代だ。
いまは「文在寅政権と近い者」「文在寅政権を支える組織に属する者」が、いわば「新権力圏」として法を超越した存在になりつつある。
李王朝時代の両班は、強姦も恣(ほしいまま)にしたらしい。
今日の韓国も「性犯罪大国」だ。
犯罪統計の技術的解釈の差異により諸説あるが、だいたいのところ「強姦事件の発生率は日本の十倍以上」という。
「上の者は、下の者に威張りくさる」のが当たり前という社会文化的伝統。
そこに「性犯罪大国」の現状が重なれば、発生するのは権力型のセクハラ行為だ。
パワハラ型のセクハラ――私はそれを「パワセク」と呼んでいる。
韓国の外交官が、海外の任地でパワセク事件を起こすことは珍しくない。
その時、加害者である外交官が述べる言い訳は、しばしば「文化の違い」というものだ。
となると「パワセクこそ現代韓国文化」ではないのかと思えてくる。
釜山市長とソウル市長と言えば、日本の大阪市長と東京都知事に比定される存在だ。
この二人が、三ヵ月の間隔もなく、パワセクを告発された。
呉巨敦(オ・ゴドン)釜山市長は今年四月、秘書からパワセクを告発され、「記憶にないが、容疑は認める」との迷文句を残して辞任した。
朴元淳ソウル市長は今年七月、秘書がパワセクを告発したことを知ると、自殺した。
呉巨敦氏は、とかくの噂があった人物だが、文在寅大統領の昔からの“お友達”として知られている。
そのためだろう。
警察も検察も何もしていないようだ。
朴元淳氏は、文在寅氏と共通点が多い。
司法試験の同期生であり、ともに「人権派弁護士」を売りにしてきた。
朴元淳氏は韓国で初めてのセクハラ裁判の弁護士を務め、勝訴した。
慰安婦問題にはとりわけ熱心で、2000年12月の女性国際戦犯法廷(模擬裁判)では、韓国代表の検事役を務め、昭和天皇を10万人以上の韓国人女性を日本軍慰安婦として強制連行・虐待した罪で起訴した。
市長としての公約は「女性が安心できる町づくり」。
現金バラマキ型の福祉政策と、スタンドプレーで人気を集めるポピュリスムの政治家であり、次期大統領候補の一人だった。
しかし、その裏では、市の付属施設を視察した際に目を付けた女性を秘書に抜擢し、市長室の小部屋で昼寝をしてシャワーを浴びたあとの下着の世話をさせていた。
さらにメールで自分の下着姿(韓国の噂では局部)の写真を送り、口説き続けていた。
息子には徴兵逃れの疑惑がある(親が権力を振るわない限り、徴兵逃れはできない)。
表の顔は「人権派のフェミニスト」、裏の顔は「権力を笠に着たド助平親爺」。
この人物がもしかしたら、次期大統領に就いたかもしれないのだ。
朴元淳氏は、韓国では例外中の例外に当たる「井戸塀政治家」だったことになっている。
公職者に義務付けられた財産申告では、資産より負債が多く、差し引き7億ウォンのマイナス。
しかし、マイカーはレクサスであり、実権を握る財団はトヨタから多額の寄付を受けてきた。
朴元淳一家の裏金疑惑が提起されるのも、そう遠くはないかもしれない。
この稿続く。