日本のメディアが買われる――中国資本による買収への警告と、言論・学術の自由をめぐる証言

2022-11-30
以下は、2022年11月25日発売の月刊『WiLL』2023年1月号に、呪い殺したい 習近平独裁!と題して掲載された、阿古智子 東京大学教授、 譚璐美 作家、 楊 逸 作家、 劉燕子 中国文学者の4人による対談特集からである。
何度も言及するようにWiLLとHanadaは、本物の論文が満載されていながら980円!なのである。
今、世界最高の月刊誌であると言っても全く過言ではない。
本稿は日本国民のみならず世界中の人達が必読。
老若男女、わけても若い人たち全員が必読である。
今、中国で起きている現象を既にして予感させていた箇所もある。
見出し以外の文中強調は私。

日本のメディアが買われる
阿古 
先日、台湾に行ってきましたが、緊張感が高まりつつあるように感じました。
2020年、香港が国家安全維持法によって中国の影響下に置かれてしまったことで、台湾は香港からの移民を受け入れていますが、有事が取り沙汰されていることもあり「移民のなかにスパイがいるかもしれない」と疑心暗鬼になっているようです。
日本にはそうした緊張感はありませんが、今後は中国のスパイが増えるかもしれません。
劉 
入国規制が緩和されたことで、日本には多くの中国人が来ています。
その中国人のなかには、日本の自由民主主義を利用してメディア買収を企てる者もいる。
とくに出版不況に苦しむ出版社のなかには、莫大な中国マネーに飛びつく会社もあるでしょう。
出版社が買われてしまえば、習近平を礼賛するような本がつぎつぎと日本語で出版されてしまう。
北海道の土地や水源、沖縄のように内部から。目に見えぬ侵略々が進むことになります。
阿古 
2022年1月発表の内閣府の外交に関する世論調査では、18~29歳の4割以上が中国に対して親近感を抱いていると結果が出ています。
文化や人のつながりにおいて中国理解が進み、日中関係が強化されるのはよいとしても、民主主義の価値を損なおうとする動きに、若者たちは十分に注意を払っているとは思えません。
劉 
おっしゃるとおりです。
さらに日本の大学は多くの中国人留学生を受け入れていますが、中国政府の意向を恐れる雰囲気が、いわゆる「客観」「中立」の大学、研究機関、学会でしばしば感じられます。
中国に不都合な研究をすれば、すぐに大使館から留学生に指令が入り、留学生たちは数で大学側を圧倒する。
研究者たちは「自主規制」するようになり、中国政府に合わせて政治的態度を表明しなければならなくなる。
知らず知らずのうちに独裁政権の影響を受けてしまうわけです。
楊 
私は1987年に来日しましたが、当時の日本の空気感はバブル時代ということもあり、いまよりもずっと自由でした。
しかしここ10年、中国からの影響があったのか文化的にも言論的にも窮屈さを感じています。
新聞記者やライター、作家たちは文章を書いているときに「これは言うべきではない」と自主規制をしてしまう。
なぜ日本には中国のような言論統制はないのに自主規制してしまうのか、いつも私は「日本はもったいないな」と思いながら文筆活動をしています。
この稿続く。

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