人類文明腐敗の始まり—令和に持ち越された「宿命としての中国問題」を読む—

2019年6月5日に記した本稿は、月刊誌「正論」掲載の中西輝政氏の論文を通して、平成30年を「天安門事件以来の30年」と捉え、日本にとっての中国問題がいかに歴史的かつ文明史的な宿命であるかを論じたものである。
領土侵略、政治工作、情報窃取、土地買収といった多面的脅威を背景に、中国の興隆が日本の国家の在り方そのものに影を落としてきた現実を鋭く見つめ、令和の日本に課された重大な課題を提示している。

2019-06-05
明らかな脅威だけではない。政治工作や情報の窃取、土地買収など、日頃は意識されない脅威とあわせ、日本という国家の行く方に、多くの局面で通奏低音のように影を落とし続けている。
以下は月刊誌「正論」今月号に掲載された中西輝政氏の論文である。
日本国民全員が必読の論文であるだけではなく世界中の人たちにも必読の論文である。
人類文明腐敗の始まり
宿命的脅威出現の前兆
令和の御代の始まりにあたり、過ぎた平成を振り返ると、この30年間、中国の存在が我が国にとっての難題であり続けたことにまず思いが及ぶ。
歴史教科書問題や首相の靖国神社参拝をめぐる内政干渉から、近年の尖閣諸島への執拗な領土侵略行為へと、平成年間、中国による我が国への主権侵害はエスカレートする一方だった。
誰の目にも明らかな脅威だけではない。
政治工作や情報の窃取、土地買収など、日頃は意識されない脅威とあわせ、日本という国家の行く方に、多くの局面で通奏低音のように影を落とし続けている。
ただ歴史を概観すれば、実は我が国はこのような状況を繰り返し経験してきたのである。
古代邪馬台国の女王、卑弥呼が中旧大陸の魏王朝に遣いした「魏志倭人伝」の時代。
そして隋・唐帝国の脅威に対抗して中央集権体制づくりを急いだ聖徳太子や大化の改新。
さらに下って、元寇や日清戦争に至る時代もそうだった。
数百年周期で訪れる中国の大興隆期には日本はいつも、国の在り方を根底から変えるようなぎりぎりの対応と備えを迫られてきたのである。
私はこれを「日本史の宿命としての中国問題」と呼んでいるが、令和に持ち越されることになった今回の中国問題は、これまでの歴史ではなかったほど深刻なものだと言わざるを得ない。
地球上の5分の1を占める人口と世界第2位の経済力、そして無数の核・ミサイルを持ち、サイバー空間から宇宙空間でも飽くなき増強を続ける軍事力。
これらを背景にアジアのみならず世界の覇権への野望を隠さないこの国への向き合い方は、今後の日本にとって、さらに大きな国家的テーマとなり、国の存亡を賭けるという表現も大げさではないほどの厳しい対応を迫られていくものと、心せねばならない。
そのためにもここで、平成の始まりとともに起きた30年前のあの「天安門事件」についての記憶を今一度、新たにしておく必要がある。
平成の30年とは、天安門事件以来の30年とぴたりと重なる。
天安門事件とは、平成年間に世界史的興隆期を迎え始めた中国という日本にとっての宿命的脅威に、我が国がまたも直面することの前兆であったという視点に立つと、さまざまな教訓を得ることができる。
この事件を単なる過去の出来事としてではなく、現代史の大きな流れの中で、さらには文明史的な視野から冷静かつ真剣に分析、考察することが求められている。
この稿続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください