山本太郎とポピュリズムの先端――政治家の劣化と消えた痛烈な男たち

2019年8月29日発信。
月刊誌WiLL掲載の石原慎太郎氏と亀井静香氏の連載対談の続き。
れいわ新選組の山本太郎氏、NHKから国民を守る党の立花孝志氏、小池百合子都政、そして往年の青嵐会や江藤隆美氏らをめぐり、現代政治のポピュリズム、政治家の劣化、かつて存在した気骨ある政治家像を論じる。

2019-08-29
障害者のような弱者自らを国会に引っ張り出さなくてもいい。
健常者が代わりにやればいいんだ…そう思う。
うまく利用しているんだ。
以下は前章の続きである。
*山本太郎と彼の行動についてメディアやジャーナリスト達や所謂言論人達が書いたり語ったりしている事に対して、私は、いつか痛罵しなければならないと思っていたのだが、疲労もあり書く気にはなれないでいた。
この章と後にご紹介する加地信行大先達が、私の言わんとするところである。*
ポピュリズムの先端。
石原
この先の政界も気がかりだよ。
参院選で「れいわ新選組」代表の山本太郎というポピュリズムの先端を行くような人間が一世を風靡した。
亀井
障害者のような弱者自らを国会に引っ張り出さなくてもいい。
健常者が代わりにやればいいんだ。
石原
そう思う。
うまく利用しているんだ。
みんなヒューマニズムだと思って票を入れたんだろうけど、実はとても非人間的だと思うよ。
亀井
さらし者にして、道具扱いしている。
石原
国会が初めてバリアフリーになったから画期的なことだと言っているけど、そんなに必要な話か。
亀井
それだったら、全国の障害者のために金を使えばいい。
無理やり彼らのために、国会活動ができるよう金を使うなんて本末転倒だよ。
後略。
亀井
実は、山本は私に出てほしいと二度来たことがある。
一番で指名すると。
でも断った。
石原
へえ、亀井静香を山本太郎が従えるなんてとんでもない話だよ。
僭越すぎる。
亀井
私を大将にすればいい(笑)。
小沢一郎にも声をかけていたようだ。
後略。
石原
話し方がどうも馴れ馴れしいんだよな。
中略。
「NHKから国民を守る党」の立花孝志も一体何者なんだ。
亀井
実におかしな党だ(笑)。
受信料を徴収するNHKから国民を守るという名目なようだけど。
石原
国営放送だからタダで見せろということか。
亀井
そうなると国の予算を増やさないとダメだ。
石原
NHKを潰すなんて間違った考え方だよ。
NHKならではの番組放送はたくさんある。
感心するよ。
山の映像を見るのが好きだけど、危険なクライミングについていく専門の山岳カメラマンがいる。
抜群の能力があって、よくこのカットが撮れたなと思うくらいだ。
そういう優秀なスタッフを育てるには、国費を使ったNHKみたいな組織が必要なんだ。
亀井
民放だけだったら、テレビなんか見られない。
石原
芸能人の結婚・離婚や麻薬使用、吉本問題……くだらないことばかりを取り上げている。
中略。
亀井
山本や立花は大衆の人気を得るために煽っているだけだ。
そういえば、山本は都知事選に出馬する噂も出ているようだ。
石原
そうか。
今のままだと東京都は死ぬよ。
役人が機能しない恐怖政治状態になってしまった。
亀井
それは大変だ。
石原
現場からの知識や意見を上奏しても、まったく上が取り合ってくれない。
自民党に持っていったところで過半数を割ってしまったから、不全状態だ。
亀井
以前、小池百合子と小沢から政界復活の話を持ち掛けられたことがある。
衆院選で希望の党から比例代表に出てくれと小沢に口説かれたけど、言下に断った。
「こんな年を取って、今さらスカートの下に潜る気になれんわ」と(笑)。
石原
人を見くびったひどい話だよ。
亀井
石原さんとだったら新党をつくってもいいけど、もう年だからな。
痛烈な男。
石原
亀ちゃんと組んでいろいろやってきた。
あの頃のように自分の体を張ってでも血路を開くような政治家がいなくなったよ。
亀井
石原さんという怠け者を担いで、総裁選に打って出たわけだから(笑)。
あの時の石原さんは燃えに燃えていた。
石原
青嵐会のときもそうだ。
小渕恵三まで「入れてくれ」と言い出した。
「君はやめたほうがいいよ」と言ったんだけど(一同爆笑)。
小渕もビルの谷間のラーメン屋と自ら嘯いたように、中曽根・福田と同じ選挙区で戦っていたから、何とか飛び上がろうとしたんだろう。
ただ、僕たちは金権派反対で立ち上げた組織だったから、田中派の人間が入ると、なかなかうまくいかない。
中川一郎や渡辺美智雄、藤尾正行も、みんな「小渕かあ」と困り顔だった(笑)。
入ったら面白かったかもしれない。
亀井
あの頃の青嵐会はゴロッキの集まりみたいだった(笑)。
石原
そんなことないよ(笑)。
血判までしたんだ。
ただ、それが怖くて辞退した人間が四人ほどいた(一同爆笑)。
亀井
威勢のいい連中が多かった。
青嵐会の端くれみたいな政治家がいるといいけど、見当たらないな。
石原
江藤隆美は痛烈な男だった。
亀井
本当にそうだった。
村上正邦さんと立ち上げた志帥会の会長を、村上さんのあとに江藤さんに引き受けてもらおうと思ったら、江藤さんが「亀井君、私は金がない。
ダメだ」と言ってきた。
「金は全部、私が引き受けるから心配するな」と言って会長になっていただいた。
江藤さんと付き合って、嫌な思いをすることは一度もなかった。
石原
竹を割ったような男だった。
亀井
色気ゼロだ。
石原
江藤の選挙区である宮崎県にリニアの実験線があった。
僕は当時運輸大臣で、現場を見に行ったんだけど、短い区間で、豚小屋とか鳥小屋の間を縫ってつくられていた。
「こんな格調の低い実験線では十分なことはできない」と思って、山梨県へ移管させた。
そしたら江藤が激怒した。
「お前は俺を裏切った。
糟糠の妻は堂より下さず、だぞ。
お前はその信義を外したんだ」と言った。
粗末な物しか食べられない貧しい時を共にした妻は、立身出世しても離縁して家から追い出すわけにはいかないという意味だ。
僕は「江藤ちゃん、日本のことを考えろ。
リニア新幹線は東京と大阪をつなぐための実験線だ。
宮崎県のままだったら、本当の時速も出せないし、国のためにもならない。
広い視野で見てほしい。
もう決めたんだ。
君の友情で僕を殴ってもいいから」と答えた。
それで江藤は「わかった、よし!」と言って協力してくれた。
亀井
そう、気持ちのいい男だった。
石原
江藤のような政治家は全くいなくなってしまったな。
この稿続く。

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