「福島の死者」を待つ朝日新聞――原発報道に見る嘘の上塗りと反原発キャンペーン
2019年10月17日発信。
池田信夫氏の論考をもとに、福島第一原発事故後の朝日新聞の報道姿勢、甲状腺がん報道、白血病労災認定記事、反原発キャンペーンの問題点を論じる。
慰安婦問題での偽キャンペーンと同様に、朝日新聞が事実を歪めて恐怖を煽っていると批判する。
2019-10-17
「福島の死者」を待つ朝日新聞…学ばない朝日新聞…嘘を上塗りする朝日…わずか5ミリの被曝で1年後に白血病を発症した例は、世界のどこにもない。
これは、かつて慰安婦問題で彼らのやった偽キャンペーンと同じだ。
と題して2015-12-05に発信した章を再発信する。
題字以外の黒字強調と*~*の文章は私
「福島の死者」を待つ朝日新聞
池田信夫
経済学者
1953年、京都府生まれ。
東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。
1993年に退職後、国際大学GLOCOMM教授。
経済産業研究所上席研究員などを経て、株式会社アゴラ研究所所長。
近著に『原発「危険神話」の崩壊』(PHP新書)、『朝日新聞世紀の大誤報』(アスペクト)、『戦後リベラルの終焉』(PHP新書)など多数。
学ばない朝日新聞
福島第一原発事故による放射線被害はなく、被災者は帰宅を始めている。
史上最大級の地震による事故が大惨事にならなかったのは幸いだが、この結果を喜んでいない人々がいる。
事故の直後に、「何万人も死ぬ」とか「三千万人が避難しろ」などと騒いだマスコミだ。
特に、事故を受けて「原発ゼロ」キャンペーンを張った朝日新聞は「原発事故で鼻血が出た」などという荒唐無稽な報道を繰り返し、最近も「甲状腺癌が50倍も増えた」とか「白血病になった」などと嘘の上塗りをしている。
これは、かつて慰安婦問題で彼らのやった偽キャンペーンと同じだ。
彼らは歴史から何を学んだのだろうか。
中略。
嘘を上塗りする朝日
朝日新聞と提携している『ハフィントンポスト』日本版は、10月8日に「福島の子供の甲状腺がん発症率は20~50倍」という津田敏秀氏(岡山大学教授)の外国特派員協会での記者会見を報じた。
他の大手紙は報じなかったほど、彼の論文は杜撰なものだ。
事故では、甲状腺ガンの原因になる放射性ヨウ素は風に乗って北西に流れたので北西部の数値が高くなるはずだが、津田氏の論文では甲状腺ガンの発生率が約20倍で、濃度が最低だった南部で40倍以上になっている。
これは、ガンの発生率が事故と無関係であることを示している。
この記事でも書いているように、福島県の検討委員会は、事故当時、18歳未満だった計104人が甲状腺がんと確定したことを明らかにしているが、「現時点では原発事故の影響とは考えにくい」とし、理由としてスクリーニング検査による精度の向上や、治療の必要がないのに陽性と診断する「過剰診断」を挙げている。
この記事を書いた吉野太一郎記者は、朝日新聞から出向中だ。
朝日は鼻血が笑い物になったら次は甲状腺ガンで恐怖を煽りたいようだが、さすがに本紙には載せられないので、こうして関連メディアで報じている。
『週刊朝日』や『AERA』は、もっと露骨な反原発記事を書いている。
10月20日の朝日新聞夕刊では「原発事故後の被曝、初の労災認定 白血病の元作業員男性」という記事で、大岩ゆり記者が「原発事故への対応に伴う被曝と作業員の疾病に一定の因果関係がある」と書いている。
*昨年、8月まで私は長い間、AERAを購読していたのだが、ここにも、この大岩ゆり記者にそっくりの女性記者がいて、呆れかえる事を書いていた事がある。
あまりの酷さを非難した事を覚えている読者もいるはずだ。
つまり、これが朝日の体質なのだと私も確信する。*
リードだけ読んだ読者は「ついに福島第一原発事故で被害者が出たか」と思うだろうが、よく読むと、作業員は「2012年から13年まで、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の設置や溶接の作業に当たり、14年1月に急性骨髄性白血病と診断された」。
つまり、原発で作業してから発症までに1年あまりしか経っていないのだ。
原発事故の被害者?
労災基準では、放射線業務の1年以上あとに白血病が発症した場合に労災と認定するが、厚労省は「今回の認定により科学的に被曝と健康影響の関係が証明されたものではない。
『年5ミリ以上の被曝』は白血病を発症する境界ではない」と説明している。
ところが大岩記者は、「一定の因果関係がある」と書く。
被曝線量が百ミリシーベルトを超えると発癌率が生涯で0.5%増えるといわれるが、発症までは平均25年。
チェルノブイリでも事故の5年後からだった。
わずか5ミリの被曝で1年後に白血病を発症した例は、世界のどこにもない。
この稿続く。