「偶然の一致」か「予測プログラミング」か――『闇の眼』が描いた「武漢―400」の衝撃

1981年に出版されたディーン・R・クーンツのスリラー小説『闇の眼』には、武漢市郊外の研究所で開発された生物兵器「武漢―400」が登場する。
新型コロナウイルスとの不気味な共通点を、「偶然の一致」と見るのか、それとも「予測プログラミング」と捉えるのかを問う。

2020-07-01
「偶然の一致で驚き!」と捉える人もいれば、「予測プログラミング――支配者層による未来計画を、メディアなどを通じて大衆に知らせ、インプットさせること――」とみなす人もいる。
以下は前章の続きである。
河添恵子さんは、今、世界最高の気鋭の作家であると言っても、全く過言ではない。
『闇の眼』の衝撃
武漢ウイルスは、我々の生命、そして経済、生活そのものを脅かしているが、ミステリーとしての想像力も掻き立てる。
そういった中で、1981年に出版された米国の作家ディーン・R・クーンツ(Dean Ray Koontz)によるスリラー小説『The Eyes of Darkness(闇の眼)』が、今、改めて注目されている。
なぜならば、その内容が「予言」というよりも「予告」のようでもあるからだ。
小説に登場するウイルスは、中国の武漢市郊外にあるrDNA研究所で開発された非常に強力な生物兵器で、名前も「Wuhan(武漢)―400」である。
補足すると、1981年の初版の舞台設定はソ連のゴーリキー研究所で、名前は「Gorki(ゴーリキー)―400」だったが、1996年の改訂版から、設定が前述のごとく武漢市郊外に変わった。
詳しく言うと、「イリヤ・ポパロボブというソ連の科学者が作製したゴーリキー―400」から、「リー・チェンという中国人科学者が作製した武漢―400」に改められた。
ソ連が1991年末に崩壊し、米ソ冷戦が終焉したことで、設定を中国に変え、1950年代からウイルス研究所がある武漢を選んだ、ということらしい。
ストーリーでは、生物兵器「武漢―400」に感染すれば即死するという設定になっている。
そして、登場人物の会話には、以下のような内容がある。
「武漢市郊外のrDNA研究所で開発されたもので、そこで作り出された400種類の人工微生物の生きた株だった」
「武漢―400は完璧な兵器。
感染するのは人間だけで、他の生物はキャリアにならない」
「梅毒と同じで、武漢―400も人体の外では1分以上生存できない」
「中国人は武漢―400を使って、都市や国を破壊することができる。
そして、彼らが入ってきて征服した領土を引き継ぐ前に、丁寧で高価な除染を行う必要はない」
「感染するのは人間だけ」という点は、まさに今回の武漢ウイルスの特徴と一致する。
また、「梅毒」という性病名が出てくることも興味深い。
デリー大学とインド理工学院の研究者らが2020年1月31日に発表した武漢コロナウイルスに関する論文には、性感染症に関係する「HIVウイルスの突起部分が、今回のウイルスの一部と酷似している」と記されている。
その論文は、その後、削除された。
このように、『闇の眼』に登場するキーワードを、我々読者はどう考えるのか。
「偶然の一致で驚き!」と捉える人もいれば、「予測プログラミング――支配者層による未来計画を、メディアなどを通じて大衆に知らせ、インプットさせること――」とみなす人もいる。
要するに、「世界は謀略の中にある」という意味なのか。
この稿続く。

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