日本社会への「目に見えぬ侵略」――中国共産党の浸透工作と日米同盟分断への警告
中国共産党は、メディア、政財界、社会運動などへの長期的な浸透を通じて日本の世論を分断し、日米同盟を弱体化させようとしているのではないか。沖縄の基地反対運動、オーストラリアへの浸透工作、中国共産党機関紙『環球時報』による日本への恫喝を取り上げた2020年7月9日の記録。
2020-07-09
日本社会への「目に見えぬ侵略」――中国共産党の浸透工作と日米同盟分断への警告
中国共産党による他国社会への浸透工作は、軍事力を直接行使する侵略とは異なり、その全貌が国民の目に見えにくい。
メディア、政界、経済界、大学、文化団体、市民運動などに長い時間をかけて影響力を浸透させ、相手国の世論を内部から分断し、自国に有利な方向へ導いていく。
それが、クライブ・ハミルトン氏の著書『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』が明らかにした、中国共産党の対外工作の本質である。
本稿で語られているのは、決してオーストラリアだけの問題ではない。
日本においても、中国は長い年月をかけて親中派を増やし、国民世論を分断し、日本と米国との間に亀裂を生じさせようとしてきたのではないかという、重大な警告である。
沖縄で展開される基地反対キャンペーンの背後で中国共産党が暗躍しているともいわれるという指摘は、1960年の日米安全保障条約改定に反対した勢力をソ連が支援していたとされる構図と重ねて語られている。
さらに、中国共産党機関紙『環球時報』が日本に対して発した言葉は、一見すると日本の立場を理解しているかのように装いながら、その実、「米国側につけばただでは済まない」と恫喝するものであった。
民主主義国家の内部対立を利用し、同盟国同士を切り離し、最終的に中国の覇権を拡大する。
本稿が提起したこの問題は、2020年当時だけの問題ではない。
以下は前章の続きである。
「目に見えぬ侵略」
櫻井
オーストラリアにおける中国の浸透工作の実態を暴いた『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(クライブ・ハミルトン著、奥山真司訳、山岡鉄秀監訳)という本があります。
『目に見えぬ侵略』では、オーストラリアとニュージーランドを第二のフランス、つまり「米国にノーと言う国」に仕立て上げるため、両国の社会全体を親中に染めていく戦略が暴露されています。
中国は米国と同盟国の分離工作を図り、米国の力を削ぎ落とし、最終的に中華帝国の覇権を築き上げようとしている。
日本に対する警告の書といえるでしょう。
いま日本人に、ぜひ推奨したい本です。
葛西
中国は長い時間をかけてメディアや政財界に親中派を増やし、日本の世論分断と日米の離間を画策してきました。
沖縄で行われる基地反対キャンペーンの背後で、中国共産党が暗躍しているともいわれる。
1960年の日米安保改定に反対した勢力をソ連が支援していたのと同じ構図です。
櫻井
中国の浸透の実態に気づいたオーストラリアのモリソン首相は、新型コロナウイルスをめぐる中国政府とWHOのやり取りを検証するよう求めるなど、中国に強い警戒感を示しています。
太平洋諸国への影響を強める中国に対する牽制の意味合いもあるでしょう。
安倍首相が5月25日、「新型コロナウイルスが武漢市から広がったことは事実です」と述べたとき、その翌日、中国共産党機関紙『環球時報』が即、「日本は豪州にあらず、中立を迫られている」という社説を掲載しました。
「安倍首相は新型コロナウイルスが中国から広がったと述べたが、中国に由来するとは言わなかった。安倍首相は米国を唯一の同盟国と呼ぶ一方、中国は非常に重要な国だと言った。日米同盟は日本外交の要であるから、安倍首相はトランプ政権に配慮せざるを得ない」と、一見、日本を擁護するかのような論調でした。
しかし同時に、恫喝することも忘れていません。
「米中摩擦の中で日本が正義の側(中国)でなく、同盟国側につくなら、日米同盟を当然の策として活用することはできない」と結論づけているのです。
「米国側につけばタダでは済まない」という恫喝にほかなりません。
この稿続く。