朝日は「特定の人々」を発見――サル痘報道でも肝心の真実を伝えない朝日新聞
以下は、高山正之の最新刊『変見自在 安倍晋三を葬ったのは誰か』からである。
本書は、週刊新潮の高名な連載コラムを書籍化したシリーズの最新刊だが、原文には更に磨きがかけられ、より一層読みやすくなっている。
この一冊だけでも、彼はノーベル文学賞に値する。
日本国民のみならず、世界中の人たちが必読。
朝日は「特定の人々」を発見
サル痘の流行が始まり、流行日の7月23日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
世界的なパンデミックとなった武漢コロナが発生したとき、「大して心配することはない」と言った、あの男である。
あのときは習近平に札束で頬を張られても平然としていたが、今回は表情が違った。
誰もが大変な病気が流行し始めたのかと恐れた。
そこでWHOの専門家グループが、緊急事態に当たるかどうかを再検討した。
カリフォルニア州は独自に非常事態を宣言し、米疾病対策センター(CDC)も動き出した。
同じころ、日本でも最初のサル痘患者が現れ、新聞も記事を書き始めたが、どんな病気なのか、なぜ世界がこれほど大騒ぎしているのか、さっぱり分からなかった。
例えば朝日新聞は、国内最初の患者が欧州で感染者と接触し、帰国後に発症したと説明している。
事情は最初の武漢コロナ患者のときと似ている。
あのときの患者は武漢から帰国した中国人だったが、朝日はその国籍を隠した。
今回も国籍は明らかにしない。
記事はさらに、この病気は「狂犬病と同じカテゴリー」に属し、「患者の体液や血液を介して感染する」と続ける。
まるで患者が人に嚙みついて感染させるようにも読める。
しかし、「感染者の多くは軽症で回復する」とし、別の記事では「患者への偏見を助長しないよう注意が必要だ」と書く。
テレビも同じだ。
テドロスの宣言から一週間後、テレビ朝日の番組では、いつも真実とは無縁の池上彰が、「感染しても軽症です」「すぐに治ります」と、心配する必要はないかのように語っていた。
緊急事態なのか、それとも心配する必要はないのか。
日本の報道では要領を得ないので、ブルームバーグ通信でテドロスが何を言ったのか調べてみた。
彼の声明の要旨は、「この感染症は、特定の人々を対象とした対策を講じれば封じ込めることができる」というものだった。
特定の人々とは、「男性と性交する男性」、あるいは「同性、異性を問わず、不特定の相手と性交する男性」を指す。
平たく言えば、第二のHIVである。
ニューヨーク市でこの病気に対する天然痘ワクチンの接種が始まったとき、接種を求めて列をつくったのは男性ばかりだった。
サル痘は、もともとサルの病気だったため、その名が付いた。
資料によれば、1970年にザイールで発見され、長い間、その地域の風土病として扱われてきた。
ところが数年前、米国で感染例が確認され、50種もの変異株が見つかった。
そして今、世界中で急速に感染が拡大している。
世界の感染者は2万2千人に達し、その4分の1を米国が占めている。
幸い、有効なワクチンは存在する。
しかし朝日の記事を読んでも、どのような人々が警戒すべき病気なのか、まるで分からない。
朝日の胸中を推し量れば、LGBT、つまりゲイを名指しすれば、「社会の偏見を煽った」と非難されるのが怖いのだろう。
それとも、弱者の味方を気取ってきたのに、ゲイから「裏切った」「密告した」と責められるのを恐れたのか。
そのころ、ゲイにはひどく気を遣う朝日新聞が、社会面に「真実を知りたい」という見出しの記事を載せた。
森友事件で自殺した財務局職員の妻が、夫の上司を相手に起こした訴訟が結審したという記事だった。
本来なら、ベタ記事で済む程度の話である。
それでも、この見出しを付けたのは、凶弾に倒れた安倍元首相を悼む空気に「水を差したい」という思いがあったからだろう。
朝日は、慰安婦の嘘を暴き、自分たちを三流紙にまで落とした安倍元首相を恨み、森友事件をでっち上げた。
だいたい、この事件で亡くなった夫自身が、不当な値引きも不正もなかったと証言している。
彼が自殺に追い込まれたのは、朝日の記事に乗じて彼を罵倒した野党議員たちのためだった。
ここで「真実」を持ち出すくらいなら、ゲイの人々の為に真実を告げる勇気を持ったらどうなのか。
(2022年8月11・18日号)
