この明恵上人よりやや遅れて輩出したのが、東大寺の凝然大徳である。…鎌田 茂雄
この明恵上人よりやや遅れて輩出したのが、東大寺の凝然大徳である。
彼は『八宗綱要』『三国仏法伝通縁起』など、八宗兼学の大学者であったばかりでなく、華厳教学の集大成者でもあった。
彼の著『法界義鏡』こそは、日本人の生んだ勝れた華厳学概説である。
凝然は華厳経を研究することが、すなわち行である、という行学一如に生きた人であった。
『法界義鏡』を著わすにあたり、華厳経の一文一文を仏陀の言葉として受けとり、ひとことの私語をはさむことなく、
華厳経、および法蔵の『探玄記』、澄観の『演義鈔』を讃仰し、引用したのであった。
鎌倉時代、旧仏教の祖師方の精神には、華厳経に対する信仰と、華厳学の研鑚とが一つになって力強く生きていたのであった。





2012/6/10、世界遺産・高山寺にて。(C)芥川賢治。
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