アジアの多数派は日韓悪化の原因を韓国に見る。米国有識者が「戦略性の欠如」を叱る。

デジタル版「週刊正論(Sound Argument)」掲載の田北真樹子論考を紹介する。
CSISのマイケル・グリーン氏寄稿と、マクマスター前大統領補佐官の講演内容を手掛かりに、日韓関係悪化の責任が韓国の内政と対日姿勢にあるという米国内の認識の変化を整理する。
対立が中国・北朝鮮を利し、米韓同盟と地域の抑止に悪影響を与える構図を確認し、日本の海外発信の重要性を論じる。

2019-02-08
オーストラリアからシンガポールまで、アジアのほとんどの国は日韓関係の悪化は韓国に原因があるとみている。
以下は先ほど届いていたデジタル版週刊正論である。
【米国人有識者が韓国の戦略性の欠如を叱るー正論調査室次長・田北真樹子】。
日本ではあまり話題になっていないが、韓国紙・中央日報ネット版で1月21日に掲載された米国のマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)の寄稿がなかなか面白い。
ブッシュ政権で米国家安全保障会議アジア上級部長を務めたグリーン氏といえば、知る人ぞ知る知日派だが、大統領選中に候補者だったトランプ氏を批判し政権入りしないと署名までした人物で、昨今は韓国に傾斜していると指摘されている。
ところが、そのグリーン氏でさえ、日韓関係の悪化の責任は韓国の内政にある、と指摘し、韓国が反日を強め、日本との関係を悪化させることは、中国と北朝鮮を利するだけだというまっとうな論を展開する。
遅ればせながら、ついに米国内の親韓派も韓国の対日姿勢が酷いと認識するレベルに達したということであれば歓迎したい。
グリーン氏の寄稿は、マクマスター前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が昨年10月に韓国で行った講演を随所で引用しながら構成されている。
マクマスター氏は講演の大半を中国と北朝鮮に突きつけられている難題について割いたという。
グリーン氏が述べたマクマスター講演のポイントを挙げれば、次のようになる。
・世界の主導的民主主義国家が中国と北朝鮮からの難題にうまく対応するためには、これらの国が戦略的である必要がある。
戦略性を欠けば、中国はもっと挑発的になり北朝鮮は永遠に非核化しないだろう。
・(この通りの表現ではないとしても)文在寅政権の現在の対日アプローチは戦略的に無能である。
・韓国は戦略性を持って、中国と北朝鮮の地政学的ゲームプランの術中にはまることを避ける必要がある。
グリーン氏によると、トランプ政権は、韓国が朝鮮人戦時労働問題をめぐる最高裁判決を控えていたことを踏まえ、マクマスター氏の講演が韓国で関心を集めることに期待していたという。
しかし、最高裁の判決は新日鉄住金に対して賠償金の支払いを命じ、日韓関係は急速に悪化。
また、韓国海軍艦艇による自衛隊機レーダー照射問題によってさらに悪化し、いまや韓国のビジネス界は国内の政治的反発を恐れて日本と定期的な会議や対話を避けるようになったという。
韓国外務省も日米韓の官民参加型の会議には出席しない旨を米国務省側に伝えてきた。
グリーン氏は、悪化した2国間関係を克服するために、志を同じくする外交官やビジネス界のリーダーがもっと対話するべきというタイミングで、関与することへの恐怖が起こっている、と指摘する。
グリーン氏は、米国の議会とシンクタンクは、米国が中国と戦略的な競争関係にあるという広範な総意がある。
悪化した日韓関係は、民主主義国家はアジアの平和と安定に不可欠である規範と価値観を共に守ることができないという、中国の慢心を強めるだけである、と語る。
また、日韓の相違は米韓同盟の緊張増幅にもつながり、アジアでのさらなる覇権を狙う北京の思うツボであるとの見方も示す。
さらに、米国内では、中国が韓国は日本やオーストラリアと比べて、御しやすいターゲットとして見ているのではないかという懸念が出ているという。
というのも、中国は最新鋭迎撃システム(高高度防衛ミサイル=THAAD)配備に反対する中国との関係や、日本との関係悪化をみながら、韓国を冷遇しても戦略的な影響はないという確信を強めるからだ。
それゆえに、同じ考えを持つパートナーが脅しを阻止できなければ挑発は続く、との指摘は正しい。
このほかは割愛するが、グリーン氏は最後にこう強調する。
文在寅政権にとって厳しい現実は、韓国は日本との対立において、政治的に優位に立っていない。
オーストラリアからシンガポールまで、アジアのほとんどの国は日韓関係の悪化は韓国に原因があるとみている。
尚、グリーン氏の寄稿については、小野寺五典前防衛相が2月4日の衆院予算委員会で言及していた。
小野寺氏も指摘したが、国際世論を味方につけるためにも、日本は引き続き正しい内容の海外発信を効果的に行うべきだろう。

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