新聞はなぜ真実を書かないのか――東電旧経営陣無罪判決報道に見えた大人と子供の差。

2019年10月17日発信。
産経新聞掲載の門田隆将氏の論文を紹介し、東京電力旧経営陣3人の無罪判決報道をめぐる朝日新聞と読売新聞の姿勢の違い、長期評価、津波試算、新聞報道による読者誘導の問題を論じる。

2019-10-17
以下は昨日の産経新聞に、大人と子供の「差」が見えた、と題して掲載された、作家・ジャーナリスト門田隆将の論文からである。
以下は昨日の産経新聞に、大人と子供の「差」が見えた、と題して掲載された、作家・ジャーナリスト門田隆将の論文からである。
新聞はなぜ真実を書かないのか。
そんな素朴な疑問を持つ人が増えた。
実は以前からそうだったのだが、SNSによる個人の情報発信時代となり、新聞界の慣行がめに見えるようになったのである。
一部新聞が得意とするその慣行とは何か。
重要な事実には触れず、自らの主張通りの結論に導くための情報だけを書くのである。
その典型手法が東京電力旧経営陣3人の無罪判決報道でも見られた。
未曽有の自然災害による事故で個人の刑事責任を問えるか否か。
国民の関心は大きかった。
検察は3人を不起訴にしたが、検察審査会の議決で強制起訴。
大津波を予測できたのに3人は対策を取らず、結果回避義務違反を犯したというものだ。
だが本当にそうだろうか。
ポイントは2つある。
平成14年7月に地震調査研究推進本部(推本)が出した「三陸沖から房総沖の海溝沿いのどこでもマグニチュード(M)8クラスの地震が発生する可能性がある」という長期評価に基づき「対策をとるべきだった」というものと、20年に行った試算で福島第1原発に最大15・7㍍の津波が来ることを東電は知っていた、というものだ。
朝日は一貫して東電幹部が〈長期評価に基づく15・7㍍の津波予測の報告を受けるも、対策の先送りを指示〉と主張。
だが事実は異なる。
推本の長期評価は、福島県沖の今後の地震について〈発生間隔は400年以上〉で〈今後30年以内で7%程度以下〉とし、東電に対策を促すようなものではない。
また首相をトップとする中央防災会議も推本のこの曖昧な長期評価ではなく、その5ヵ月前に出た土木学会津波評価部会の決定論(※津波を起こす日本周辺の8つの波源を策定)を評価し、波源のない福島沖を津波対策の検討対象から〈除外する〉ことを決めていた。
さらに15・7㍍の試算も、実際は吉田昌郎氏(後の福島第1原発所長)が土木学会に波源の再策定を依頼するため明治29(1896)年の明治三陸津波を起こした波源を「目の前の福島沖にあるものとして」試算した“架空のもの”にすぎなかった。
朝日はこれらに触れずに読者を「誘導」したのである。
一方、読売は〈判決は、「自然現象についてあらゆる可能性を考慮して対策を講じることを義務づければ、不可能を強いることになる」との考え方を示した。当時の原発の安全対策に、「ゼロリスク」まで求めなかったのはうなずける〉と判決の妥当性を説いた。
同じ新聞でも、その内容には「大人」と「子供」のような差が生じている。

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