人民の怒りを恐れる習近平政権――武漢ウイルスが露呈させた中国共産党最大の危機

武漢ウイルス拡大によって、中国経済の急落、人民解放軍の不在、情報統制、民族問題、香港・台湾問題が一気に表面化した。習近平政権が最も恐れるのは、疫病そのものではなく、人民の怒りである。

2020-03-07
最も信頼できると言われる統計でさえも全面的に信じることは難しい。
中華民族はどこまで行っても融通無碍なのだ。
以下は前章の続きである
人民の政府への怒り
最も信頼できると言われる統計でさえも全面的に信じることは難しい。
中華民族はどこまで行っても融通無碍なのだ。
だがいま、中国経済はもはや隠しようもなく大きく落ち込んでいる。
「日本経済新聞」が3月1日付で、景気指数で最も信頼できるといわれる製造業の購買担当者景気指数(PMI)が、2月は市場予想の46を大きく下回る35・7だったと報じた。
リーマン危機よりもっと深刻だ。
こうした緊急事態で、習近平政権は情報のコントロールにしても、人民の統制にしても、国家の秩序を維持し自身の政権基盤を守るための、より強硬な締めつけ策に走っている。
今回、武漢ウイルス撲滅の現場に中国人民解放軍(PLA)の姿が全く見えない。
地震などの場合、いち早くPLAが投入され、国民に奉仕する軍として喧伝されてきたのとは対照的だ。
これは、湖北省を捨て、軍は北京を守るために温存するという習氏の決断の反映ではないか。
中国歴代の王朝は、明も清もペストなどの疫病を一つのきっかけとして滅びた。
習氏は、疫病を抑制できなかった場合の人民の政府に対する怒り、その結果としての革命と政権交代の恐さを知っているのである。
氏が最も恐れるのは人民の怒りであり、今回の武漢ウイルスを、建国以来の大危機ととらえているはずだ。
中国は事実、49年の成立以来の最大の危機に直面している。
数年前から経済が悪化する中、トランプ米大統領に貿易戦争を仕掛けられ、経済はさらに落ち込み続けている。
ウイグルをはじめとする民族問題について、その非人道的抑圧の実態が、あろうことか中国共産党内部からの告発で国際社会の知るところとなった。
ウイグル問題が香港問題につながり、さらに台湾で民進党の蔡英文氏に大勝利をもたらした。
中国共産党は深い傷を受けてのた打ち回っている。
米中の対立はこれからも続く。
日本がすべきことは、日米両国が他の多くの国々と共有する価値観に基づいて、国際社会を中国化する如何なる動きも抑制していくことだ。
武漢ウイルスへの対応で当初見せたように、中国からの情報に惑わされることは決して繰り返してはならない。

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