新型コロナ後に拡大する中国の一帯一路圏と全体主義モデルの脅威

田村秀男氏の論文の続きとして、新型コロナウイルス禍を利用した中国の支援外交、一帯一路圏の拡張、途上国への全体主義モデルの浸透を論じる。さらに、武漢の半導体工場、ファーウェイの5G攻勢、中国移動の巨額投資、AI・監視技術を通じて、米欧先進国に対する中国の経済的優位の可能性を警告する。

2020-04-07
そこにつけ込む中国の企業と人が大掛かりに進出し、中華圏に組み込んでいく。
共産主義者レーニンが描いた古典的な帝国主義の悪夢が地球に拡がりかねない。
以下は前章の続きである。
不休稼働の半導体工場
そこに来て、新型コロナのパンデミックである。
武漢などでの新型コロナ新規感染ゼロという大本営発表を鵜呑みにするわけにはいかないとしても、感染のピークが過ぎると、冒頭で述べたように、欧州をはじめ、感染の広がりを阻止できない国や地域に対する支援外交攻勢をかける。
一帯一路参加国は中国発のウイルス禍も招き入れたが、その阻止のためには中国の支援を受け入れざるをえない。
さらに問題なのは、新型コロナウイルス感染症がこれから本格的に拡がる可能性があるアジア、アフリカ、中南米などの発展途上国だ。
習政権は対欧州以上に支援攻勢をかけ、一帯一路圏を拡張していく戦略をとるだろう。
民主主義よりも権威主義に傾斜しがちな途上国の多くが、全体主義モデルの効率のよさに惹きつけられ、自由と民主の輪から離脱する。
そこにつけ込む中国の企業と人が大掛かりに進出し、中華圏に組み込んでいく。
共産主義者レーニンが描いた古典的な帝国主義の悪夢が地球に拡がりかねない。
もう一つの警戒ポイントは、米国を初めとする先進国に対する中国の経済優位の可能性である。
自動車工場の生産中断は米欧全体に拡がっている。
需要に応じて投資する自由市場国家の場合、企業戦略も立ち後れるのだが、中国は党中央の指令によって、戦略的な産業はしっかりと生産と投資を進め、世界市場シェアの拡大のチャンスにしようとしている。
ウイルス発祥地の武漢市では最新鋭の半導体工場が封鎖体制のなか、不休で稼働している。
米国が安全保障上、最も警戒する中国のハイテク企業、ファーウェイ、華為技術、は日本を含む各国に次世代の移動通信システム5Gの売り込み攻勢をかける。
中国移動通信集団の香港上場子会社、中国移動、チャイナモバイル、は習政権の景気てこ入れ策に応じて、今年「5G」整備で前年比約4倍の約1000億元、約1兆5000億円、を投資する。
そればかりではない。
ファーウェイはウイルス感染防止のため、ボタンにいっさい触れずに乗れるエレベーターシステムを開発するなど勢いづいている。
前述したように、自動車生産は大幅に落ち込んだままだが、党中央は地元の電気自動車メーカーには優遇策をとり、生産を早期に回復、増産させている。
コロナ感染の監視・追跡需要を追い風に、AIなどのハイテク機器メーカーも国際競争で先駆けようとしている。
この稿続く。

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