脱中国へ舵を切り、自国経済ファーストで日本経済を再生せよ
田村秀男氏の論文の続きとして、新型コロナウイルス・ショック後の国際金融環境と中国膨張の再加速を考える。リーマン・ショック後と同様、FRBや欧州中央銀行の金融緩和が余剰資金を生み、中国へ流入する危険がある。日本は対中協力ではなく脱中国へ舵を切り、消費税撤廃と大胆な内需拡大策によって「自国経済ファースト」を徹底すべきである。
2020-04-07
そうならないようにするためには、マイナス成長から脱するため、大胆な内需拡大策を中心とする自国経済ファーストを徹底するしかない。
消費税を経済再生までの間は撤廃する。
以下は前章の続きである。
余剰資金が中国へ
国際金融環境はどうか。
前述したように、中国が米国の覇権に挑戦するようになるまで急速に経済力をつけたきっかけは、2008年のリーマン・ショックである。
当時、米国は1930年代の大恐慌のような事態を回避しようと、米連邦準備制度理事会、FRB、がゼロ金利とドル資金を大量発行する量的緩和政策に踏み切った。
金融市場は次第に落ち着きを取り戻し、消費者は消費を維持した。
そこに中国が安値輸出攻勢をかけて巨額のドル資金を入手し、金融を易々と拡大して、中国経済は2桁台の高度成長軌道に復帰した。
FRBは2014年秋に量的緩和政策を打ち止めたが、前年に始まった日本のアベノミクスにより、日本から巨額の余剰資金がニューヨーク市場に吸い寄せられていく。
超低金利の膨大な余剰マネーは投資先を求めて、米国からさらに中国などへと流れ出る。
中国は外貨債務を増やして、資本逃避に耐えていく。
これがリーマン後、金融からみた中国膨張の方程式だ。
新型コロナウイルス・ショックはその点、リーマン後の金融モデルを再現させようとしている。
引き続く株価大暴落を前にしたFRBの緩和策がそうだし、欧州中央銀行も量的拡大を打ち出した。
日銀は異次元金融緩和政策が限界に来ていることから、株価指数連動型上場投資信託、ETF、の購入など小幅な量的追加にとどめたが、米欧の中央銀行の資金発行によって、金融市場の余剰資金が大幅に増えることは間違いないだろう。
しかも、通常なら株式を売ったあとの投機資金が向かうはずの原油相場は、株価以上の急激な暴落だ。
新型コロナウイルス・ショックを受けた実体景気の減退に伴う石油需要の大幅低下の予想から、原油価格は3月18日時点でそれまでの3分の1、1バレル20ドル台まで下落した。
このままでは中東、中南米、アフリカの産油国への中国の外交攻勢に弾みをつけるばかりではない。
世界最大の石油輸入国中国は国家経済全体の負担を減らせる。
外貨債務の支払いに窮していた中国企業は、超低利で豊富な余剰資金で借り換えられる。
シェア拡張を狙う中国の巨大企業は、海外市場で思う存分低コストの資金を調達できる。
日本はどうすべきか。
習政権の中国との協調強化を意味する「日中新時代」の構築が、とりあえず延期になった習氏の国賓来日の最大のテーマだった。
ウイルスの感染拡大までは行き詰まりつつあった中国経済が息を吹き返し、再び膨張を加速させかねない状況では、日本は圧倒されかねない。
日本経済は消費税率10%のために、昨年10~12月期のGDPで前期比年率換算マイナス7.1%に落ち込んだ。
新型コロナウイルス・ショックの追い討ちで、1~3月期以降はさらにマイナス幅が拡がるのは必至の情勢だ。
中国にV字型回復の希望が見えようものなら、経済界では対中協力で色めき立ち、疲弊する北海道などは中国資本にますます傾斜し、全国の商店街は中国旅行者のインバウンド消費依存を強めるだろう。
安倍晋三政権がとるべきは、もはや対中協力ではない。
敢然と脱中国へと舵を切るべきだ。
コロナ禍以降の経済力をめぐる日中のギャップの拡大可能性を考えると、対中依存への傾斜がもっとも安易な道になるだろうが、このままでは、中国に呑み込まれるシナリオが現実味を帯びよう。
そうならないようにするためには、マイナス成長から脱するため、大胆な内需拡大策を中心とする自国経済ファーストを徹底するしかない。
消費税を経済再生までの間は撤廃する。
足りない財源は国債でまかなえばよい。
日本には余剰資金が家計と企業合わせて一千兆円以上もある。
しかも世界最大の債権国だ。
有り余るカネという膨大な資源を自国のため動員する安倍晋三首相の決断さえあれば、日本経済は明日にも再生の道が見えてくる。
コロナ禍は膨張中国の脅威を遮断する路線への転換好機なのだ。