米国で始まった中国政府への損害賠償請求――武漢ウイルスの責任を問う潮流
古森義久氏の産経新聞論文を基に、米国連邦議会、共和党議員、各州の中小企業、世論調査に表れた中国政府への損害賠償請求の潮流を紹介する。武漢発の新型コロナウイルスをめぐり、中国政府の隠蔽工作と虚偽情報発信が世界的被害を生んだとして、米国で中国政府の法的責任を問う動きが急速に拡大していることを論じる。
2020-04-14
フロリダ、テキサス、ネバダなどの各州では、地元の中小企業などが、コロナウイルスでの被害の賠償を中国政府に求める大規模な集団訴訟を、すでに起こした。
以下は今日の産経新聞に、「中国に賠償要求、米の潮流に」と題して掲載された、古森義久の論文からである。
古森義久は、世界有数の現役ジャーナリストの一人である。
彼の以下の記事は、朝日新聞等にとっては不都合な真実であり、おそらく彼らは全く報道しないだろう。
米国では、新型コロナウイルス感染が広がるにつれ、その本来の責任を中国に対して追及し、中国政府に巨額の損害賠償金の支払いを求める動きが顕著となった。
その最も先鋭で明確な動きをとるのは、米国連邦議会である。
3月下旬には、上下両院に、中国政府に賠償金を具体的に要求する決議案が提出された。
上院のジョッシュ・ホーリー議員、共和党、下院のエリス・ステファニク議員、同、ら約10人の議員が、上下両院に同時に、同内容の決議案を出したのだ。
その要旨は、以下のようだった。
中国政府が、コロナウイルスの感染の拡大や殺傷性を、意図的かつ組織的にカバーアップ、隠蔽する工作を実行したことは、米国民を含む多大な人間の死をもたらした。
米国議会は中国政府に対し、その工作が全世界に生んだ被害、損失、破壊への法的責任をとり、損害賠償金を支払うことを求める。
米国議会は国際社会に対し、各国家が中国の行動で受けた損害を数量的、金額的に測定し、中国政府からの賠償金を受け取るための法的なメカニズムを創設することを提案する。
米国の議会は、中国政府に対し、ここまで過激な主張をぶつけるようになったのだ。
だが現実には、ウイルス感染の責任を特定の主権国家に帰して、その国から賠償金を取得するという行為には、多々の障害も予測される。
その点に関連して、同決議案の署名者の一人、ジム・バンクス下院議員、共和党は、中国からの賠償金の獲得方法を具体的に提案した。
第1は、中国政府がすでに保有する米国政府債券の一部から取り立てるという方法だった。
第2は、米国政府がこの賠償請求のために、中国からの輸入品に特別な関税をかけて、「コロナウイルス犠牲者賠償基金」を積み立てる方法だった。
米国議会では、この種の中国の責任を追及する主張が、トランプ政権に近い共和党議員の間で、急速に盛り上がってきたのである。
上院の有力者であるリンゼイ・グラハム議員、共和党は4月上旬、中国政府にコロナウイルスの米国での被害の賠償金を支払わせることを求め、「中国が自国発生のウイルスで諸外国に被害を与えるのは今回が3回目となる。中国政府の隠蔽工作や虚偽情報発信こそが世界的感染を生んだのだ」という声明を出した。
同じ上院のマーシャ・ブラックバーン議員、共和党も、「武漢発の世界的な疫病危機の責任」を中国政府に帰して、中国政府が保有する総計約1兆ドルの米国債券の主要部分を放棄させるという案を議会に提示した。
議会でのこうした動きの背景には、米国の民間での中国糾弾の高まりがある。
フロリダ、テキサス、ネバダなどの各州では、地元の中小企業などが、コロナウイルスでの被害の賠償を中国政府に求める大規模な集団訴訟を、すでに起こした。
ハリス世論調査社が4月上旬に実施した全米調査では、コロナウイルス大感染の責任が中国政府にあると答えた人が全体の77%、さらに中国政府が米国に与えた被害に賠償金を払うべきだと答えた人が54%に達した。
こうした潮流をみると、今後の米国では、中国政府への賠償請求という動きが、国政の場でも重要な課題となっていく見通しが強いのである。
ワシントン駐在客員特派員。