誰が宣伝と説教だらけの共産党機関紙など読むものか――「ファッション政治」の自己顕示と日本共産党

中国共産党の機関紙「人民日報」が人民に読まれず、日本共産党の「しんぶん赤旗」日曜版には著名な俳優や歌手が登場する。
湯浅博氏が、芸能人による政治的発言と日本共産党の過去を論じ、私財を投じてチベットの被抑圧者を支援したハリソン・フォードやリチャード・ギアらの行動との違いを明らかにする。

2020-06-30
読者本人が九千万人の党員の一人ならいざ知らず、支配を受ける十三億人の誰が、宣伝と説教が満載の共産党機関紙など読むものか。
いや、党員でも読みたくはなさそうだ。
以下は、「ファッション政治の自己顕示」と題して、月刊誌WiLLに掲載された湯浅博氏の連載コラムからである。
月刊誌WiLLは、日本国民のみならず、世界中の人たちが必読である。
まだ購読されていない人たちは、今すぐに最寄りの書店に向かわなければならない。
何故なら、本稿のような本物の論文が満載されているからである。
それでいながら、価格はたったの920円、消費税込みなのだから。
かつてハワイで開催されたシンポジウムで、中国共産党の機関紙「人民日報」の論説委員が、「人民に読まれなくて困っている」と嘆いていた。
これを聞いて、一般の中国人の感覚は、なお真っ当なのだなと思う。
読者本人が九千万人の党員の一人ならいざ知らず、支配を受ける十三億人の誰が、宣伝と説教が満載の共産党機関紙など読むものか。
いや、党員でも読みたくはなさそうだ。
日本の政党の中で、一党独裁の中国共産党と唯一「友好関係」を結んでいるのは日本共産党である。
空気を読むのがうまい志位和夫委員長が最近、香港への国家安全法の導入で中国側に抗議した。
中国共産党と同様に見られてはまずいとの判断なのか。
友党に対して、人権抑圧の強化を中止せよと批判したとは、結構なことである。
党機関紙「しんぶん赤旗」は、人民日報よりも随分と“営業努力”の跡が見られる。
その日曜版には、なじみのタレントや女優が登場するから、ほっこりさせて、多様な支持があることを思わせる。
登場人物や寄稿者は、よほど日本共産党に信頼を寄せるか、党の暗い過去を知らない世代なのだろう。
かつては「天皇制打倒」を唱え、火炎瓶闘争を行うなど、何といっても暴力革命を目指していた政党であるからだ。
近頃、目を引いた掲載者は、女優の小泉今日子さん、歌舞伎俳優の松本幸四郎さん、それに歌手の加藤登紀子さんらで、にこやかな写真とともにインタビュー記事が一面を大きく飾っていた。
中でも話題の人物は、「なんてったってアイドル」の女優、小泉さんで、「黒川検事長問題」に一石を投じたお方である。
「#検察庁法改正案に抗議します」
彼女を筆頭に、芸能人たちがこれに和した。
ことは定年延長問題なのに、かの検事長は、賭け麻雀をしていたことが発覚し、予想外の結末を迎えたから話にならない。
だが、その途中経過を眺めると、どこか懐かしい、安全保障関連法の時に「戦争法案を許すな」とタレントたちが声を上げた騒ぎを思わせる。
振り返ってみれば、彼らの大半は安保法制の条文を知らず、共産党と一緒に「戦争法案反対」「徴兵制の復活を許すな」などと叫んでいた。
実際には、戦争法には程遠い条文で、当然ながら、自衛隊による戦争も徴兵制も実施される気配はあり得ない。
人々をさんざん扇動しておいて、このプロパガンダ発言に対する責任は誰も取らない。
タレントや俳優が転換期や黄昏時を迎えると、ハリウッドを真似て、政治的な発言で脚光を浴びる。
知名度のあるうちに売らない手はないと考えるのかどうか。
かような野心を見抜くのは政党の候補者スカウトマンで、売る人あれば買う人あり。
知事選や参議院選への候補者として、声がかかるかもしれない。
そこへいくと、ハリウッドの俳優たちは、ファッション政治や政治的な打算より、むしろ自由や人権のために、私財をなげうってでも力を尽くす真摯な人が多い。
チベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世が訪米中の1995年9月に、俳優のハリソン・フォード夫妻が、米上院外交委員会で、中国から弾圧を受けるチベット人の悲惨な実態を証言する姿を見た。
夫妻は、現地視察した際に雇った通訳のリンチェン青年が、帰国後に投獄された事実を語った。
さらに、夫妻の前でチベットの歌を披露したばかりに逮捕され、獄死した娘の話を切々と訴えた。
リンチェン君の釈放運動を成し遂げた夫妻は、「残忍な中国占領下のチベット」を告発していた。
夫人のメリッサさんは、世界的なヒット映画『E.T.』や、ダライ・ラマの半生を描いた『クンドゥン』の脚本家で、支援団体インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベットの理事でもあった。
同じく長くダライ・ラマを支援してきた俳優に、リチャード・ギアさんがいる。
彼は、中国の江沢民国家主席が訪米した1997年10月に、ワシントンでチベット問題への抗議デモを呼びかけ、ハリウッドの人気スターたちを続々とワシントン入りさせた。
その中にはフォード夫妻はもちろん、スティーブン・セガール、シャロン・ストーンさんらがいた。
「しんぶん赤旗」の日曜版に登場する日本人俳優たちは、政党の呪縛から離れ、フォードさんやギアさんらの、無私の精神で被抑圧者を救済しようとする姿勢を見習ってほしい。
彼らが日本共産党を知らない世代であるのなら、尚美学園大学名誉教授、梅澤昇平さんの最新刊『こんなに怖い 日本共産党の野望』(展転社)の一読をお勧めする。
小泉さん世代の人々には、必須の書物である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください