関西経済を襲った15%節電要請――関西電力「三つの誤算」と電力供給の危機

関電3つの誤算 15%節電要請を発表…日本経済新聞6月11日
2011-6-11
原発再開できず 火力にトラブル 不安募らす顧客
関西電力が7月から9月22日まで前年比15%の節電を要請したことは、関西の産業界にも少なからず影響を与えそうだ。
関電の節電要請は石油危機以来38年ぶり。
東日本大震災で打撃を受けた地域に代わり、日本経済のけん引役と期待された関西にとって、重い足かせとなる。
雷力の安定供給を担う事業者として苦渋の選択」(八木誠社長)を迫られた背景には「3つの誤算」があった。
(3面参照)
「このままでは大阪も節電になりますよ」。
6月初旬、八木社長は経済産業省の資源エネルギー庁と原子力安全・保安院を非公式に訪ね、早期の対応を迫った。
関電の原発は11基のうち、4基が定期検査で運転を停止中。
7月中には検査を終えて、再稼働する計画だったが、今もメドは立たない。
さらに7月には定検で2基が止まる。
原発再開には原発がある福井県の同意が必要となっている。
福井県は東京電力福島第1原子力発電所の事故の検証と対策を独自に求めている。
だが、国は津波対策は打ち出したものの、福井県の指摘する原発の長期運転や地震の揺れ対策作りは遅れていた。
災直後から原発の早期再開を模索していた関電だが、菅直人首相の退陣表明問題に伴う政界の混乱もあってか、なかなか国は動かない。
関電は社長訪問などで国の対応を再三促し、海江田万里経産相も今月7日には原発の立地自治体へ説明に行く姿勢を示してはいたが、結局は「(電力需要が高まる)夏が迫ってきた」(八木社長)と時間切れになった格好だ。
国の早期対応による事態の収拾を見込んだ関電のあてははずれ、原発再開は先送りとなった。
2つ目の誤算は自社原発以外の発電設備の運転停止だ。
5月初旬、日本原子力発電の敦賀2号機が燃料漏れ調査で稼働を停止した。加えて、5月末には関電の舞鶴火力発電所1号機が通風機関連のトラブルで停止した。
この2件で落ち込んだ供給量は130万キロワット前後。
原発の停止分を少しでも穴埋めしたい関電にとっては打撃となった。
3つ目は大手製造業などの大口顧客の突き上げだ。
多くのメーカーは、東日本の電力不足を念頭に、地震で被災せず、発電能力にも問題がなかったはずの関西に、生産シフトのほか、部品発注を増やすことを検討していた。
だが、定期検査で運転を停止した原発がいっこうに再稼働しないのを見て、関西での電力供給に不安を募らせていた。
「節電するなら早く、具体的に示してほしい」との多くの顧客企業が関電を問い詰める。
7月に入る前には対応を決めなくてはならないが、節電を求めることをいつ公表するかについては慎重に検討していた。
最後は、こうした顧客の声に背中を押される形で、10日の発表になったもようだ。
関電の節電要請は猛暑など前提条件をかなり厳しく見積もっている。
ただ、強制力のない自主要請だけに家庭や企業の協力をどこまで得られるか、企業努力が改めて間われる。
さらに原発再稼働を国の対応に頼るだけでなく、原発の安全性を疑問視する自治体や一般顧客の理解を極力得るためにも、中長期の電源開発計画を新たに描く必要もありそうだ。
中国電が融通検討
中国電力は電力需要が増加する夏場に、関西電力へ電力融通を実施する方向で検討を始めた。
中国電は、関西電から正式な要請があれば「電力の広域運営の観点から、可能な限り協力したい」としている。

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