皇位継承問題に表れる各党の歴史観――男系継承を曖昧にする国民民主党の混迷

2019年7月2日に書かれた本稿では、皇位継承問題をめぐる各党の立場を比較しながら、とりわけ国民民主党の曖昧で矛盾した主張を厳しく批判している。
女系・女性天皇容認論の背景にある皇室観や歴史観、旧皇族の皇籍復帰論、そして愛子さまをめぐる議論の問題点を通じて、皇位継承をめぐる本質的論点を浮かび上がらせる。
各党の皇室観と国家観が最も直接的に表れる論点として、慎重な議論の必要性を訴えた一篇である。

2019-07-02
皇籍復帰に反対する人々は、七十年も民間人だった人の復帰には違和感があると強調しますが、先祖代々、純然たる民間人男性が皇族になることには違和感を覚えないのでしょうか

以下は前章の続きである。
アヤフヤな国民民主党 
最近、特におかしいと思うのが「皇位継承問題」についてです。 
自民党は自民党の青山繁晴参院議員らを中心に「日本の尊厳と国益を護る会」を発足、「父系(男系)の皇位継承」などを目標とすることを表明しました。
これにより自民党内でも、議論が活発化することを期待します。
立憲民主党は「安定的な皇位継承を考える会」、国民民主党は「皇位検討委員会」を立ち上げて、同日(六月十一日)に皇位継承資格についての考え方を発表しました。 
中身を見ると、立憲民主党は女系・女性天皇を認める立場。
私の考えと異なりますが、いかにも立憲民主党らしい主張です。
小泉内閣のときの「皇室典範に関する有識者会議」で論議された内容を踏襲しています。
共産党も女系・女性天皇容認論で、なおかつ「皇室の廃絶」を見越しての見解でしょう。 
共産党の考えに近く、皇室と民主主義は両立しないと主張した憲法学者の奥平康弘氏(故人)は、父方の系統に天皇を持たない女系天皇の誕生について、次のような期待を表しています。
「天皇制のそもそもの正当性根拠であるところの『萬世一系』イデオロギーを内において浸蝕する因子を含んでいる」(月刊『世界』二〇〇四年八月号)と。 
また、世襲の皇室制度は憲法の基本的原理と矛盾するとの立場の憲法学者、横田耕一氏も「女系天皇を認めるということは、社会的に天皇の持つ国民統合力を弱めるように働く」(二〇〇四年二月五日の衆院憲法調査会小委員会)、「女系天皇にした場合には権威ある天皇というものは、恐らく復活しない」(二〇〇五年五月三十一日の政府の皇室典範有識者会議)と発言しています。 
おそらく共産党の狙いはここにありますし、意識しているかどうかはともかく、立憲民主党の主張も同様の意思を孕んでいるように見えます。 
そこで国民民主党です。
玉木代表は「男系の皇位継承」を重視すると発表。
また、男系の女性天皇は認めるとも言っています。
過去、女性天皇が十代八人存在しているのは歴史的事実です。
ところが、さらに踏み込んだことを玉木代表は述べています。
それは皇室典範を改正し、皇位継承権の順番を変え、「愛子さま」を一位にすると。
まったく意味がわかりません。
秋篠宮皇嗣殿下と悠仁さまのお立場を蔑ろにしている。
もっと言えば、悠仁さま廃帝=皇位の簒奪に等しい考え方ですよ。
国民民主党の案は不遜そのもので、皇室の方々にとって大迷惑だと言えます。 
そうであれば、直系にこだわらず、旧皇族をはじめとする男系男子の方々の皇籍復帰をもっと議論すべきではないでしょうか。
簡単に皇籍復帰するのはおかしいのではないか、
という意見がありますが、成人している旧皇族の方々を、いきなり皇籍很帰させようとは誰も言っていません。
まずは宮内庁の嘱託として採用してさまざまな活動に参加してもらい、そのお子様の代から帝王学を施し、皇族として認めるーそういう過程を踏めばいいのです。
第一、仮に愛子さまが女性天皇となり、結婚されたとして、その相手が民間人だったら、どうでしょうか。
皇籍復帰に反対する人々は、七十年も民間人だった人の復帰には違和感があると強調しますが、先祖代々、純然たる民間人男性が皇族になることには違和感を覚えないのでしょうか。
明らかに矛盾しています。 
そもそも立憲民主党など女系天皇容認論を主張する際、彼らはその背景には、あかたも「女系天皇は皇室の意向がある」かのように言うわけです。
しかし、ある政府関係者によれば「女性皇族に意思を確認したら、そんなことは望んでいないと「ハッキリ言われた」と。 
とにかく、国民民主党の主張がまったく理解できません。
「男系の皇位継承」と表では保守の仮面をつけて、裏では国民の人気取りで「愛子さまの女性天皇」を持ってくる。
国民民主党は、当初は論理的にあまり意味がないと切り捨てていた女性宮家創設を、参院選公約としました。
現時点での世論に阿ったわけです。
これでは、国民民主党の存在意義などないに等しいと言わざるを得ません。 
「皇位継承問題」については各党の皇室観・歴史観が直接、表されます。
各党とも慎重な議論を推し進めてほしいものです。

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