反日はイデオロギーである――韓国の国民意識を縛る反日教育とその危険性
2019年9月11日発信。
月刊誌WiLL9月号に掲載された松本厚治氏の論文の続きとして、韓国の反日政策と反日教育が、単なる感情ではなく国家統合のためのイデオロギーとして形成され、世代交代とともに暴走してきた構造を論じる。
李承晩、朴正煕、慰安婦問題、徴用工問題、日本海呼称、旭日旗問題などを通じて、韓国の反日主義の本質と将来的危険性を検証する。
2019-09-11
一方、韓国はどうか。
反日教育は今なお営々と続けられています。
国民意識は尖鋭化する一方で、統一したからといってそれに歯止めがかかるとは考えにくい。
以下は前章の続きである。
反日はイデオロギー
初代の韓国大統領李承晩は、たしかに反日政策を実行しました。
戦勝国アメリカから軍用機に乗って帰国したこともあって、対馬を返還せよと言ったり、公海上に李承晩ラインなるものを引いて日本漁船をつかまえたり、さまざまな反日行動をたくましくしました。
しかし、国民の反日意識をうち固めたのは、日本の陸軍士官学校を出て満洲国軍中尉として終戦を迎えた、朴正煕大統領だと思います。
1960年代初めの頃、うち続く政治的混乱と腐敗、経済的停滞に国民は心底惓み、戦前を「古き良き時代」として懐かしむような空気が広まっていました。
朴正煕は吉田松陰など維新の志士を敬慕し、詩吟をたしなむ、日本人のような内面世界を持っていた人ですが、より所を失った国民を一つにまとめていくためには、反日を核にした民族主義を宣揚するしかないと結論したのでしょう。
彼は「韓国史観」の必要を説き、李舜臣の社や安重根義士記念館を建て、今も続く日本文化規制の骨格をつくり、締まりなく続いていた日本法の移用に終止符を打ちました。
反日国の土台をつくったことになりますが、話はそれで終わりませんでした。
酒と酒呑みの関係について、こんなことが言われますよね。
はじめは人、酒を呑み、ついで酒、酒を呑み、最後に酒、人を呑むと。
国家と反日の関係も、こんな風に移り変わっていったのです。
詳しいことは拙著にゆだねざるを得ませんが、反日の根底にあるものは感情ではなくイデオロギーです。
よるべなき民をまとめていくための、もとはと言えば国としての一種の約束ごとに近いもので、朴大統領はもちろん、日本の統治を経験した一世代の国民も、このことはよくわきまえていたように思います。
しかし時とともに世代交代が進み、日本の統治を実際に体験した世代の人は、徐々にいなくなる。
それとともに、「表向きこういうことになってはいるが、実際はこうだった」という感覚が、この国から少しずつ失われていく。
長らく続けられてきた教育が、国民の意識を反日一色に染めあげていくにつれ、イデオロギーが自己運動を始める時代が訪れます。
私が韓国に赴任した頃、40億ドル経済協力問題が両国間の緊張を引き起こしていました。
韓国の国防努力のおかげで日本は共産主義の脅威を免れているのだから、日本はその経費を応分に負担せよ、40億ドル韓国に払え、というわけですね。
日本にとっては寝耳に水の話で、なぜそんなことが今になって突然出てくるのかといって騒ぎになりました。
その後に持ち上がった指紋押捺問題、慰安婦にせよ、日本海の呼称や旭日旗、最近のいわゆる「徴用工」問題にせよ、それまで波静かだったところに、突然韓国側から問題が提起され、軋轢が生じるということが次々と起きています。
反日のマグマが、言わばはけ口を求めてさまざまな箇所から噴出してきた時代、と言ってよいでしょう。
しかし今はまた、新しい様相が生まれつつあります。
もともと国民の統合のために作為されたイデオロギーが、今や国全体をからめとりつつあるという印象を受けます。
反日は暴走する機関車のようで、誰も制御できないというだけでなく、政府も国民も、それから飛び降りることもできなくなっているというのが、目下の状況かと思います。
これは日本にとって、憂慮すべき事態だと言わざるを得ません。
北が韓国を吸収すれば、軍事境界線が対馬の近くまで下りてくる、などとよく言われますよね。
そうなれば確かに大きな脅威だが、その逆、つまり韓国が北を吸収した場合はそれほどではないのかというと、どうもそうとも言い切れないように思います。
北は全体主義の国ですが、少なくとも反日主義ではない。
それなりに国益の打算ができるから、自国が中国と日本の間にあるという地政学的条件の意味を理解できると思います。
日本の友好国になるとはちょっと考えにくいが、中国と日本の間でバランスを取るのが得策だと判断する可能性は十分あると思います。
一方、韓国はどうか。
反日教育は今なお営々と続けられています。
国民意識は尖鋭化する一方で、統一したからといってそれに歯止めがかかるとは考えにくい。
日本ではよく、年間700万人を超える韓国人観光客が日本に来ている、などと言って楽観視する言説が見受けられますが、こんなものは問題の本質とは何の関係もありません。
金正恩氏はスイスに留学していたから、人権や民主主義に理解があるだろう、などと以前解説していた人がいましたが、それと同じで、安心したいという気持ちが先に立つのでしょう。
韓国の反日主義に歴史上最も近いものは、ナチ党の反ユダヤ主義です。
一民族を総体として絶対悪視するイデオロギーが国家の正統意識と結合した時に何が起きるか、日本国民はもう少し真剣に考えなければならないと思います。
―韓国の方が危険かもしれないということですね。
松本
あまり考えたくもない問題ですが、今の韓国を覆っている国民心理の異常さに、透徹した認識を持つ必要があります。
むろん、今すぐ危険が迫っているわけではありませんし、少なくとも今の韓国には独力で事を起こす力はありません。
しかし国連をはじめとする国際秩序のたがが外れ、民族間のたたき合いのようなことが世界の各地で常態化し始めた時、「民族の核」を手にした反日国が何を考えるか、はかり知れないものがあります。
この稿続く。