梅雨空晴れ二日目――京都府立植物園、ここは素晴らしい場所

梅雨空晴れ二日目。
先発大谷、そして九回のホームランを見届け、所用を済ませてから、私は京都府立植物園へ向かった。
いつものエレベーターを降りた途端、満開のヤマボーシが目に飛び込んできた。
早速カメラを取り出し、構えようとしたその時、近くにいた中国人カップルの女性が、ヤマボーシと私を交互に見ていた。
何だろうと思って、その視線の先を追った。
真っ白なヤマボーシの上に、黒い揚羽蝶がいた。
これ以上ないほど見事な光景だった。
ところが、シャッターが切れない。
SDカードが入っていなかったのである。
すぐさま予備のカードを入れた。
この小さな出来事さえも、今日の京都府立植物園という一日の中に、見事に収まっていた。
蓮池では、シジュウカラが目の前で水浴びを始めた。
花も、木も、鳥も、蝶も、水も、光も、すべてが生きていた。
2012年、私は一年365日のうち300日も、この京都府立植物園を訪れて撮影していた。
そのことが、今も少しも不思議ではない。
ここは、本当に素晴らしい場所なのである。
今回の撮影枚数は188枚。
音楽は、まずラフマニノフ「ここは素晴らしい場所」から始めることにした。
この日の京都府立植物園、この日のヤマボーシ、この日の揚羽蝶、この日のシジュウカラ、そして私にとってのこの場所の意味を、これほど端的に言い表す曲名はない。
ヴォーカルとアシュケナージのピアノによるこの曲は、作品全体の扉を静かに開く。
続いて、野々村彩乃の歌声を置く。
「坂の上の雲」の主題歌は、空の広がり、遠景、希望、そして日本人の記憶を呼び覚ます名曲である。
私はこの曲を聴くたびに、ドヴォルザークのソナチネを想起する。
それほどに旋律の品格が高く、郷愁と希望を同時に湛えている。
さらに、野々村彩乃の「浜千鳥」「浜辺の歌」へと続ける。
梅雨空晴れの京都府立植物園は、ここで日本の抒情そのものになっていく。
そして最後に、加藤知子によるクライスラー「ロマンティックな子守歌」を置く。
加藤知子は、一時代前の日本が生んだ超弩級の天才ヴァイオリニストである。
そのヴァイオリンは、作品全体を静かに沈め、深い余韻の中で閉じてくれる。
これは単なる時間合わせではない。
ラフマニノフで場所の本質を示し、野々村彩乃で空と記憶を広げ、日本歌曲で水辺と風を呼び、最後に加藤知子のヴァイオリンで一日を柔らかく閉じる。
京都府立植物園は、私にとって、ただの植物園ではない。
病後の私が、2012年に300日通い続けた場所であり、写真家としての私を再び生かした場所であり、今もなお、訪れるたびに新しい発見を与えてくれる場所である。
梅雨空晴れ二日目。
ヤマボーシの白、揚羽蝶の黒、シジュウカラの水浴び、蓮池の光。
ここは素晴らしい場所である。
そして、その素晴らしさを、写真と音楽によって、ひとつの作品として残しておきたい。

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