長居植物園 2022年6月17日――誰もいない紫陽花の小道と《デュエット》

2022年6月17日の長居植物園。誰もいない朝の紫陽花の小道を撮影した207枚の写真集。反田恭平によるメンデルスゾーン《無言歌》より10曲を使用し、冒頭を《デュエット》から始めた、紫陽花園との静かな対話の記録。

2022年6月17日の長居植物園です。
つまり、4年前の今日の記録です。
写真は207枚。
モンシロチョウ、アオサギ、トンボ、鯉、そして紫陽花。
この作品は、私にとって、長居植物園の紫陽花撮影の最高傑作かもしれません。
それまで私は、長居植物園の存在を知らず、紫陽花は主に京都府立植物園で撮影していました。
しかし、長居植物園の紫陽花園を知った時、その素晴らしさに心底感嘆しました。
日本一と言っても過言ではない。
そう思ったほどでした。
この日は、その紫陽花の小道を、まだ誰もいない時間に撮影したくて、朝一番に植物園へ向かいました。
曇り空だったはずです。
だからこそ、朝一番の柔らかい光の中で、紫陽花の色が飛ばず、しっとりと写ってくれました。
人の姿が入らない紫陽花園には、梅雨の朝だけが持つ静けさと、深い美しさがありました。
それは、私が長居植物園の紫陽花園に寄せていた愛に、紫陽花が応えてくれたような時間でした。
紫陽花は、雨の季節の光を静かに抱いて咲いていました。
その小道には、人のいない時間だからこそ写し取れる、澄んだ静けさがありました。
モンシロチョウは花のあいだを軽やかに渡り、トンボは水辺の気配を運び、鯉は池の中でゆっくりと時間を刻んでいました。
そして、アオサギ。
長居植物園で出会うアオサギには、いつも特別な存在感があります。
花と水と鳥と昆虫。
それらがひとつの風景の中に自然に集まっているところに、植物園の本当の豊かさがあります。
この日の写真は、とても良い写真です。
派手な出来事があるわけではありません。
しかし、一枚一枚の中に、初夏の空気、梅雨の光、紫陽花園のしっとりとした気配、そして生きものたちの静かな時間があります。
音楽は、メンデルスゾーン《無言歌》より10曲。
演奏は反田恭平。
時間は27分56秒です。
この作品では、音楽の始まりを《デュエット》からにしました。
それは、誰もいない朝の紫陽花園と私が、まるでデュエットしているように感じられたからです。
人の姿のない小道、しっとりと濡れたような紫陽花、静かな光。
そこにカメラを向けている私と、黙って咲いている紫陽花園。
その呼応を、そのまま音楽の始まりとして再現したかったのです。
《無言歌》という題名の通り、この音楽には言葉にならない歌があります。
それは、紫陽花の色にも、誰もいない小道の静けさにも、モンシロチョウの動きにも、アオサギの佇まいにも、トンボの飛翔にも、鯉の静かな動きにも、よく合います。
言葉ではなく、音楽が語る。
説明ではなく、写真が語る。
2022年6月17日の長居植物園。
4年前の今日、そこに確かにあった、美しい梅雨の朝の記録です。
そして、私が長居植物園の紫陽花園に寄せた愛に、紫陽花が応えてくれた写真集です。

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