「アメリカ帰れ」と「アメリカ居てよ」を使い分ける左筋メディアの無思想
加地伸行氏の月刊誌WiLL連載を引用し、トランプ大統領就任後の日本メディアの右往左往を論じる。トランプを無教養と断じながら、中国との軍事的緊張に際しては米国の庇護を期待する矛盾を批判し、左筋メディアに見られる反米と対米依存の御都合主義を明らかにする。
2020-04-11
時にはアメリカ帰れ、時にはアメリカ居てよ、と自分の事情でくるくる立場を変え、それを矛盾と思わないのが、左筋の弁証法的態度である。
そこに在るものは、無限の御都合主義という無思想である。
それを整理して言えば、メディアは、自分らは高級な知的集団で偉いのだ、トランプは無教養の愚者だと断ずる独りよがりの世界から発言していることに帰す、と題して2019年4月10日に発信した章を再発信する。
最新号の彼の論文は実に見事なもので、私は呵々大笑した、と題して2017年3月7日に発信した章を再発信する。
月刊誌WiLLを購読している方は良くご存知だと思うが、巻頭の連載コラムは大阪大学名誉教授加地伸行氏が執筆している。
最新号の彼の論文は実に見事なもので、私は呵々大笑した。
加地氏も時には私の論説を読んで呵々大笑しているかもしれない。
文中強調は私。
トランプ大統領着任という意外な展開となってきた今、メディアは右往左往している。
有り体に言えば、二種類の型。
一つは、馬鹿にしている。
いま一つは、怖がっている。
前者の一例を挙げると、トランプはビジネスマン生活を送ってきた人であり、政治についてなにも分っていない、との断罪。
これ、本気で言っているのか。
もしこの発言が妥当であるとするならば、生まれつき政治家以外、政治家になれないことになるではないか。
こういう調子になる。
彼は研究生活を送ってきた人なので政治は無能。
彼女はお主婦さまだったので政治音痴。
あの人は医者だったので政治は無知。
すなわち、生まれつき政治家以外はだめだという話になってくる。
しかし、生まれつき政治家などという人種が、この世に存在するのか。
そんなものは存在しない。
どの人も生きてゆくために、それぞれまずは社会で働く。
その内になにかの事情や本人の意志などがあって政治家になるのがほとんどである。
もし仮に十代で政治家志望をしたとしても、選挙の壁があり、そう簡単に政治家になれるわけではない。
まずは政治家秘書あたりからのスタートであろう。
しかし、政治家秘書は政治家ではない。
職業の一つであり、そこから出発して政治家になれるわけでもない。
次に、第二型。
すなわちメディアがトランプ怖ろしの気分にあること。
メディアは、政治批判が看板であるのに、政治の現況の変化を恐れている。
その恐怖感の極致こそ、まずは戦争の恐怖である。
ただし、中近東の騒ぎなどどこ吹く風、関心はひたすら東北アジア。
具体的には中国との軍事的緊張である。
もちろん、北朝鮮の核ミサイルも恐怖の一つであるが、それは抑えられるという希望的期待で話をごま化している。
韓国は日本に攻めこんでこないと勝手に決めこんでいる。
結局、中国との軍事的紛争という恐怖がある。
その恐怖がもし現実化したとき、トランプが日本側につくのかどうか不明というトランプ怖ろし気分がメディアにある。
情けない。
自国は自国が守るという国家の基本を心得ているメディアは少ない。
我が国への中国の侵略が発生したとき、大半のメディアは、日本の反撃など言わず、ひたすら日米安保条約の適用、つまりはトランプ大統領への哀訴を書きつらねることであろう。
以上のようなことを、老生、ここ1ヵ月のメディアの発言から受け止めている。
それを整理して言えば、メディアは、自分らは高級な知的集団で偉いのだ、トランプは無教養の愚者だと断ずる独りよがりの世界から発言していることに帰す。
その傲慢さから来るのであろう、自分らの意見の矛盾に気づいていない。
その矛盾は、日本の左筋の発言とみごとに重なっている。
例えばこうである。
メディアの大半は基本的に反米である。
これは、ナショナリズムからする反米ではない。
すでに崩れたが、彼らの祖国、旧ソ連などが屁理屈をつけていたアメリカ帝国主義反対の流れである。
つまり、アメリカは帰れ、である。
ところが、トランプ政策が、アメリカは世界の警察であることをやめ、アメリカ本土の繁栄にもどろうとする姿勢を打ち出してきたのを見るや、なんとアメリカの内向き、アメリカ本土中心はいけない、もっと国際的になれと言い出している。
これは、アメリカ、居て頂戴、という話。
時にはアメリカ帰れ、時にはアメリカ居てよ、と自分の事情でくるくる立場を変え、それを矛盾と思わないのが、左筋の弁証法的態度である。
そこに在るものは、無限の御都合主義という無思想である。
古人曰く、末、梢、異常に大なれば、木は必ず折れ、動物はその尾が大なれば、自由に掉えず、振り動かせない、と。