中国のマスク外交と欧州分断の危機
新型コロナウイルスの感染拡大によりEUが苦境に立たされる中、中国とロシアが医療支援を通じて欧州へ影響力を拡大している実態を論じる。中国の「マスク外交」、米国陰謀説、5Gを含む中国依存の危険性を警告し、欧米で強まる中国警戒論を取り上げる。
2020-04-21
「中国がウイルスを発生しながら米国『陰謀説』を流し、西側ルールに従わないなら、感染封じ込めから次世代通信『5G』まで中国依存をやめるべきだ」と警告。
以下は今日の産経新聞に、マスクの下心を警戒せよ、と題して掲載された岡部伸の論文からである。
瞬く間に世界中に感染が広がった新型コロナウイルス。
パンデミック、世界的大流行、震源地となった欧州で、グローバリズムの落とし子の欧州連合、EUが苦境に立たされている。
「ヨーロッパは一つ」の看板ゆえに、国境審査なしに人が移動できることが感染拡大の一因となった。
ところが、イタリアで感染が蔓延すると、どの国も瞬く間に国家主義へと転じ、国境を閉じた。
医療品の共同調達や被害国の経済支援のコロナ債発行でも、足並みがそろわない。
共同体の結束どころか、EUは、「創設以来の試練」、メルケル独首相、を迎え、感染封じ込めにてこずり、都市封鎖を解除できないでいる。
分断が続けば、コロナ後の欧州に力の真空地帯ができるだろう。
そんな力の空白が生まれる欧州に、医療支援で“侵入”しているのが中露だ。
中国は、「医療崩壊」したイタリアに3度、医療チームを送った。
先進7力国、G7、で初めて一帯一路推進覚書を締結した蜜月を誇示した。
医療用マスク、人工呼吸器が寄付されると、セルビアのブチッチ大統領は「欧州に団結は存在しない。助けられるのは『兄弟』中国だけ」と語り、欧州の足並みの乱れを露呈。
*セルビアにも大馬鹿者の権力者がいたわけである*
台湾問題で反中だったチェコは、中国が110万枚のマスクと人工呼吸器を空輸すると、親中に豹変した。
*チェコも残念な始末になっているわけである*
127ヵ国に38億枚のマスクや医療品、医師団を送ったとする中国の「マスク外交」は、本来、称賛されるソフトパワーだ。
しかし、医療物資に不具合が相次いで判明し、「政治的影響力を強めようと援助を利用している」、フランスのドモンシャラン欧州問題担当相、との警戒が広がる。
ウイルス発症地の汚名に加え、初期対応が遅れ、世界にウイルスを拡散させた批判をかわす下心があるのだろう。
強権体制で感染を封じ込めた中国が「米欧の民主主義モデルより優秀」と宣伝する狙いも滲む。
実際に中国共産党系の環球時報は、「感染対策で中国が段階的勝利を収めた」「コロナが他国を助けられない米国の世紀を終わらせた」と自賛する。
さらに、ロシア政府がイタリアに派遣した医療チームに、ロシア軍参謀本部情報総局、GRU、のスパイがいると化学兵器専門家がイタリア紙で証言し、ロシア支援にも警戒が深まる。
米軍がウイルスを中国に持ち込んだと主張した中国外務省の趙立堅副報道局長らの「陰謀説」に、ロシアとイランが同調する情報戦。
これに、スウェーデンのフルトクビスト国防相は、「中露のメディアが危機への対応を傷つけるための偽情報キャンペーンに従事している」と警戒感を強める。
「アメリカ外交政策評議会」のソボリク研究員は『ナショナル・レビュー』で、中国はコロナウイルス発生を隠蔽工作し、拡散をあおって大感染の火をつけながら、その責任を隠して感染被害を受けた諸国を助けるふりをして消火する、「放火犯と消防士の両方の役割を果たしている」とマッチポンプを批判した。
英国のヘイグ元外相は、14日オンラインで講演し、「中国がウイルスを発生しながら米国『陰謀説』を流し、西側ルールに従わないなら、感染封じ込めから次世代通信『5G』まで中国依存をやめるべきだ」と警告。
欧米諸国では、「中国の策略に騙されるな」との「中国警戒論」が強まっている。
論説委員。