チャーター機に積まれていた医療品――櫻井よしこ氏が暴く、中国の医薬品支配という武器

櫻井よしこ氏は、武漢から日本人を帰国させるチャーター機に中国向けのマスクや防護服が積まれていた事実を指摘し、中国が医療・医薬品を外交上の武器として利用している現実を論じている。

2020-05-21
チャーター機は、その機内に、中国に渡すマスクや防護服などの医療品を積んでいた。
中国側から要請があったという。
帰国する日本人はいわば人質であろうか。
以下は、親中派の嘘、と題して5月12日に出版された櫻井よしこさんの著作の序章の続きである。
彼女は最澄が定義した「国宝」であり、日本の至宝の一人である。
武漢へのチャーター機については朝日等やNHKが如何に真相を伝えないメディアであるかが明らかである。
レアアースも医薬も
2月28日に来日した楊潔篪共産党政治局員も「ウイルスとの戦いで、引き続き中国政府は日本政府を支持・支援する」と語っている。
在京中国大使館のホームページでは、中国が日本にマスクなどを支援中との情報が紹介された。
武漢駐在の日本人を帰国させるために中国に向かったチャーター機は、その機内に、中国に渡すマスクや防護服などの医療品を積んでいた。
中国側から要請があったという。
帰国する日本人はいわば人質であろうか。
いずれにしても全て日本政府は贈った。
日本は中国を助けたのだが、いま「中国を助ける日本」が「中国に助けられる日本」に反転している。
これも事実歪曲や捏造を得手とする中国のやり方と言うしかないだろう。
現在、マスクは無論、医療・医薬品は中国の強力な武器として活用されている。
3月4日、新華社(中国の国営通信社)は社説で「中国は医薬品の輸出規制をすることも可能だ。
その場合、米国はコロナウイルスの大海に沈むだろう」と恫喝した。
レアアースのことを思い出す。
尖閣諸島の海で中国船が海上保安庁の船に体当たりし、中国人船長らの身柄を日本側が確保した時、中国は日本に対するレアアースの輸出制限に踏み切った。
中国のレアアースに依存する日本にとって、産業の首を締め上げられるに等しい措置だった。
今回はレアアースの代わりに医薬品だと中国は告げているのである。
中国の国営メディアの発信はまちがいなく中国政府の意思表示である。
彼らの強気は中国が世界の医薬品生産の主力にのし上がって久しいという現実に由来する。
医薬品の研究・開発においては米国が世界のトップ水準を保っているが、製薬業の主体を担う力はすでに中国に移っている。
中国の医薬品市場は2017年に1230億ドル(約13兆5000億円)規模だったが、22年までに1750億ドル(約19兆2000億円)規模に成長すると見られている。
他方、米国における薬の製造は下降線を辿る一方だ。
多くの人の命を救ったペニシリンは米国が製造した最後の主要な医薬品となった。
それ以降、米国は抗生物質の80~90%、鎮痛・解熱剤の70%、血栓症防止薬としてのヘパリンの40%などを中国に依存してきた。
米国の消費者向け医薬品の主要成分の80%以上が主に中国からの輸入品だとする統計もある。
このような状況下では、中国は特定の医薬品輸出を止めたり、逆に加速したりすることで、相手国に甚大な被害を与えることができる。
人命に関わるだけに、レアアースよりも切実な影響を及ぼす。
それだけ中国はあらゆる闘いを有利に展開できる。
この稿続く。

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